愛子さまがラオスから帰国…初の外国公式訪問、文書で「充実した心に残る訪問となりました」

天皇、皇后両陛下の長女愛子さまは22日、外交関係樹立70周年を迎えたラオスへの公式訪問を終え、帰国された。帰国後に感想を公表し、「両国の国民の相互理解や関心が更に深まり、日本とラオスの友好親善と協力の関係がより一層進展することを心から願っています」とつづられた。
17日からの滞在でトンルン国家主席を表敬訪問し、不発弾被害を紹介する展示施設を視察。「不発弾が今も社会・経済発展の大きな妨げになっている現状について理解を深めることができました」と記された。金色の仏塔「タートルアン大塔」や寺院を見学したことにも触れ、「厳かな雰囲気や優美な建築が深く心に残りました」と振り返られた。
最後に、初の外国公式訪問について「充実した心に残る訪問となりました」とした上で、「皇室の方々の歩みを受け継いでいく思いを新たにしました」と結ばれた。

国会議員歳費「月5万円増」当面見送りへ 維新が「国民の理解が得られない」と反対

国会議員の給与に当たる「歳費」を決める歳費法の改正案をめぐり、与野党は、月額歳費の5万円引き上げを当面見送る方針であることがわかりました。
関係者によると、自民党と立憲民主党は、国家公務員の特別職の給与を上げる法改正にあわせ、国会議員の歳費を5万円引き上げることで調整していましたが、自民と連立を組む日本維新の会が、「物価高で苦しむ国民の理解が得られない」などとして反対したということです。これにより、国会議員の月額歳費の5万円引き上げは当面の間見送り、増額するかどうかは次の国政選挙後に判断するということです。
国会議員の現在の歳費は月額で129万4000円ですが、1999年以来、引き上げは行われていません。

国民・榛葉氏「尖閣国有化は野田総理」当時猛烈な反日デモ 高市首相への「失言取り」にムッ「損をするのは国民]

国民民主党の榛葉賀津也幹事長が21日、国会内での定例会見で、高市早苗首相に対する「失言取り」に不満を示し「結局、損をするのは日本国民」と指摘した。
立憲民主党の野田佳彦代表が21日の会見で、高市早苗首相が台湾有事が集団的自衛権の行使が可能となる「存立危機事態」になり得ると発言した国会答弁について、繰り返し質問した立民・岡田克也氏に批判があることに「質問者が批判される筋合いではない」となどと語っていた。
「存立危機事態」問題について榛葉氏は「これただ単にですね、外交で与野党がぶつかり合って失言取りをしてれば済むかっていうと、結局、国益を損ねて損をするのは日本国民や民間企業ですよ」と“本当の被害者”がいることを指摘。「お互いにここは極めて発言には慎重になるべきです」とくぎを刺した。
続けて「そもそも日中関係、尖閣含めて最悪な状況になったのは国有化からですよ」と2012年の尖閣諸島国有化に言及。党の幹事長として「国有化の是非を論じることは今日は避けます」と前置きした上で「あれをやったのは野田総理(当時)ですね」と語気を強めた。「あそこからです。台湾海峡と尖閣がリンクして雲霞のごとく(非常に多く集まる様子の表現)、漁船なのか海警(中国海警局)なのか、軍艦なのかわけのわからないのが浮遊してるのは」と中国の艦船がまるで日常のように尖閣周辺に姿を見せるようになったとした。
野田氏は元総理であり、高市氏は現役の総理。榛葉氏は「そういった意味ではお互いに表に出せない苦労を分かり合ってる方々でしょう。もう少し大人の対応があったんじゃないかなという声に理解ができないわけでもないです」と野田氏の「質問者が批判される筋合いではない」を疑問視した。
2012年の尖閣国有化の際には、中国は政府やメディアで猛烈な対日批判が繰り返された。反日感情が盛り上がり、抗議デモなども行われた。日本の商品がボイコットされるだけでなく、暴徒化したデモ隊が日系企業や商店を襲撃するなどの事件も発生した。
(よろず~ニュース編集部)

待ち伏せ、靴カバー 防犯カメラ「リレー捜査」で浮かんだ東京・赤坂女性刺傷事件の計画性

発生から7日目で、急展開を見せた東京・赤坂の女性刺傷事件。容疑者を浮上させたのは、防犯カメラの映像を解析し、つなぎ合わせる警視庁の「リレー捜査」だった。殺人未遂容疑で逮捕された大津陽一郎容疑者(43)は犯行後、自転車で約20キロもの距離を逃走。捜査で明らかになった足取りや行動からは、計画性の高さも伺えた。
事件は16日午前10時半ごろ、東京・赤坂のビル地下1階にあるライブハウス近くで発生。女性は趣味で音楽活動をしており、ライブハウスのイベントに10年ほど前から年1~2回ほど出演していたという。この日も午後のライブに出演予定で、店が開くのを1人で待っていた際に襲われた。
警視庁が防犯カメラの映像を解析した結果、容疑者とみられる人物は、事件当日の午前6時半ごろに朝霞駐屯地(練馬区)を自転車で出発。午前8時ごろには現場周辺に到着し、女性を待ち伏せしていたとみられる。事件の約50分前の映像では、この人物が持参した靴に履き替え、女性が出演予定だったライブのポスターに黒色スプレーのようなものでバツ印を書く様子も確認された。
事件直前には、靴にポリ袋のようなカバーをかぶせた上で、現れた
女性を追いかけてビルの地下へ。再び出てくるまで約30秒で、この間に犯行に及んだとみられる。その後は途中で服や靴を替えつつ、自転車で新宿区や練馬区、埼玉県和光市などを約20キロ走り、正午ごろ駐屯地に戻っていた。
「点」と「点」をつなぐリレー捜査で容疑者の勤務先を特定した警視庁は、21日夕方から大津容疑者に任意で事情を聴き、自宅の家宅捜索を実施。自転車や刃物などを押収し、22日未明、殺人未遂容疑での逮捕に踏み切った。22日は朝霞駐屯地でも家宅捜索を行い、動機など詳細の解明を急いでいる。(前島沙紀)

茨城・常磐道で5台からむ追突事故 男性1人死亡 5歳の女の子含む3人が重傷か 57歳の男を現行犯逮捕 茨城県警

きのう、茨城県土浦市の常磐自動車道で乗用車など5台がからむ事故があり、5歳の女の子を含む男女6人が死傷しました。
警察によりますと、きのう午後3時前、土浦市の常磐自動車道で、ライトバン1台と乗用車4台がからむ事故がありました。
当時、常磐道は渋滞していて、追い越し車線を走行していたライトバンが前方に止まっていた乗用車に追突し、近くの乗用車3台も巻き込まれたということです。
男女6人が病院に運ばれていて、このうち5歳の女の子を含む3人が重傷とみられ、男性1人の死亡が確認されました。
警察は、ライトバンを運転していた会社員の足立和夫容疑者(57)を過失運転傷害の疑いで現行犯逮捕し、容疑を過失運転致死に切り替えて事故の原因を調べる方針です。

大阪府のインフルエンザが「警報レベル」突破 2010年以降で最速ペース

大阪府は20日、インフルエンザの発生状況が「警報レベル」入りしたことを発表した。2025年第46週(11月10日から16日)の府内における定点あたりの患者報告数が「31・57」となり、過去15シーズン(2010年/2011年シーズン以降)と比較して、最も早く警報レベル開始基準値「30」を超え、感染が急速に拡大。昨年度より約1か月早いペースとなっている。
大阪府は「全国的に例年より早く流行しています。高齢者や基礎疾患のある方は重症化することがあり、小児では急性脳症を起こすことがあります。手洗い、咳エチケット、換気などの基本的な感染対策を心がけましょう。また、重症化を防ぐために、早めに医療機関に相談の上、ワクチン接種もご検討ください」と呼びかけた。

虐待など100件以上を防犯カメラで確認 田川市の松原保育園が報告書 園児の口に箸を突っ込む様子も

福岡県田川市の私立保育園で保育士10人が園児の虐待などに関わっていた事案で、園は不適切な行為が100件以上あったと明らかにしました。
田川市の松原保育園は、ことし7月から8月にかけて、保育士10人による虐待などがあったとして、10月に県と市から改善勧告を受けていました。
20日に園側が提出した報告書によりますと、ことし6月からの2か月間で、100件以上の不適切な行為が防犯カメラに記録されていました。
食べ物をほおばった園児の口に箸を突っ込んで飲み込ませようとする虐待もあったということです。
松原保育園をめぐっては元保育士の中村麗奈容疑者が園児への傷害と暴行の容疑で逮捕され、20日に送検されています。
園は報告書で、不適切な保育の原因として保育士の退職による人手不足などを挙げていて、新たな保育士の採用や2人以上でクラスを担当するなどして再発防止をはかるとしています。

「自分をなげうつ」果てにあった自暴自棄 山上被告の10~20代 被告人質問1回目詳報

令和4年7月の安倍晋三元首相銃撃事件で、殺人などの罪に問われた山上徹也被告(45)の裁判員裁判は、20日に初めての被告人質問が行われた。この日は弁護側が質問し、主に10~20代の出来事について述べた。語られたエピソードから浮かび上がったのは、人のために「自分をなげうつ」ことを選ぶという被告の行動原理。ただそれは「自暴自棄」と表裏一体のものでもあった。
黒のトレーナーに茶色のズボンで出廷した被告。裁判長から証言台に座るよう促されると、背中を丸めながらゆっくりと移動し、表情を変えずに着席した。「自分が45歳まで生きていると思っていたか」。冒頭で弁護側からこう問われると、とつとつと話し始めた。
「生きているべきではなかったと思う。このような結果になり、大変ご迷惑をおかけしていますので」
公判ではこれまでに、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に傾倒した被告の母親が入信などの経緯を証言し、妹は「宗教2世」としての苦しみを語った。弁護側はまず、これらの証言を聞いた感想を被告に尋ねた。
弁護人「母親の証言を聞いてどう思った」
被告「相変わらずだなと思った。非常にマイペースというか」
弁護人「証人として出廷したことについては」
被告「非常に辛い立場に立たせてしまった。母の信仰を理由として事件を起こしているので、責任を母も感じるところはあると思う」
弁護人「どんな母親だった」
被告「基本的には悪い人間ではないが、統一教会に関することでは理解しがたい面が多々あった」
弁護人「母親の入信についてどう思う」
被告「あれほど多くの献金さえなければよかったと思う」
弁護人「妹が出廷したことは」
被告「非常につらい思いをさせた」
祖父は包丁を持ち出し
母親が入信したのは、被告が10歳の小学6年の時。父親は4歳の時に自殺しており、母方の祖父と母親、兄、妹との5人で暮らしていた。母親は入信から約7カ月で計5千万円を教団に献金。被告が中学2年の時に、こうした状況が家族に明らかになり、「順調だった」生活は一変した。
弁護人「祖父はどういっていたか」
被告「『いずれは財産を全て持っていってしまうぞ』と」
弁護人「母親が脱会しないことでどうなったか」
被告「家族会議で祖父は包丁を持ち出し、母を殺害して自分も死ぬといったことがあった。(自分は)どうしていいか分からなかった」
弁護人「ほかには」
被告「母が入れないように祖父が家の鍵を閉め、『これからは母抜きでやっていく』といわれた」
弁護人「その後どうなった」
被告「夜暗くなってから玄関ドアの近くにいると、母が『開けてくれ』というので、つい開けてしまうことがあった」
弁護人「祖父に『母を助けるなんて、お前も統一教会員か』といわれたことがあった」
被告「あったかもしれない」
祖父からは「出ていってくれ」と土下座されることもあり、いっそ児童養護施設に入れられる方が悩まずに済むと考えていた日々。自身も「人生や考え方が根本的なところで変わってしまった」という。その中でも高校は奈良県内屈指の公立進学校に進んだ。
応援団「忍耐の訓練になる」
弁護人「部活は」
被告「非常に珍しいが応援団に入っていた」
弁護人「なぜ」
被告「イメージとして上下関係が理不尽。忍耐の訓練になると思った」
弁護人「なぜ理不尽への忍耐力を」
被告「家庭環境が理不尽に思えたから」
弁護人「振り返ると、どんな高校生活だった」
被告「野球部が甲子園に行き、そこで応援団として活動した。応援団はやめようと思っていたが、やめられず流された。自分のために有効に使えなかった時間だった」
弁護人「卒業アルバムに何と書いたか」
被告「『石ころ』と書いた」
弁護人「どういう思いで書いたか」
被告「ろくなことはないという思い」
祖父や兄が母親の信仰に強く反発する一方、ただただ「家庭が元通りに」と願っていた被告。そんな思いとは裏腹に高校3年の時に祖父が死去すると、母親は自宅を売却して全額を献金した。ただ献金したことは被告らには隠していた。
被告は勧められるまま、母親と韓国の教団施設を訪れたり、国内施設で教義を一通り学んだりしたことも。今から振り返ると、10代の頃に祖父や兄と協力し、母親に強い態度を取らなかったことが「解決を妨げた」という思いもあるという。
弁護人「(経済的理由で進学を断念し)高校卒業後はどんな仕事に就きたかった」
被告「特段強い希望はなかったが、消防士になろうと思った」
弁護人「どうして」
被告「応援団とも通じるが、何かのために自分の存在をなげうつ最たるものに思えた」
経済支援に不満「家族として助けるしかない」
結局消防士にはなれず、21歳だった14年に「消防士に似ている仕事もある」という理由で海上自衛隊に入隊した。
弁護人「入隊して収入を得られる。自分の役割をどう思った」
被告「祖父が死んで、(実家の)経済状態が続かないと思っていた。母を助けなければと思ったが、統一教会に対する反発があった」
弁護人「経済的に支援することをどう思っていた」
被告「非常に不満があった。母からも兄からも親族からも自分が利用された。なぜ自分がそんなことをしないといけないのか不満だった。だが、こういう状況になれば家族として助けるしかない」
当初は母親の求めに応じて金を渡していたが、次第に応じないように。その中で母親から、被告が入隊した年に破産していたことを聞かされた。
弁護人「それを聞いてどう思った」
被告「統一教会の教義に照らすと、神のために献金していれば、最後は救われる。裏切られたというか、母が破産の事実にショックを受けているのは感じた」
弁護人「(被告は17年に)自殺未遂をした。破産と関係はあるか」
被告「統一教会とは関係なく、自衛隊の生活がうまくいっていない。家族から望んでいない役割を押しつけられることにも嫌気がさした。(6千万円の保険金を残して自殺した)父のように役割を果たせば、それでいいと思った」
弁護人「保険の受取人は」
被告「兄と妹のどちらかだと思う」
質問に対し、数秒間回答を考えるような場面もあったが、終始感情を見せることなく、淡々と言葉をつないだ被告。この日の被告人質問は1時間15分ほどで終了した。

被告側は殺人罪の起訴内容を認めており、主な争点は量刑。被告の生い立ちが動機形成にどれだけ影響を与えたかが焦点となる。被告人質問は12月4日まで5回に分けて実施され、次回は11月25日午後に行われる。

交際相手にかみつくなどしてけがさせたか 逃走中だったとみられる無職の男(23)を三重県で逮捕 3年前からトラブルの相談も

先月、佐賀県唐津市で同居していた交際相手の女性(20代)にかみつくなどの暴行を加え、全治1か月のけがをさせたとして無職の男(23)が逮捕されました。
傷害の疑いで逮捕されたのは、住居不定・無職の伊藤諒容疑者(23)です。
伊藤容疑者は先月12日、唐津市肥前町大浦の当時の自宅で、同居していた交際相手の女性(20代)にかみついたり身体を殴ったりするなどの暴行を加え、全治1か月のけがをさせた疑いが持たれています。
事件翌日、伊藤容疑者が「彼女とけんかして彼女が家から出て行った」と警察に通報。
その後の捜査で傷害事件が発覚し、伊藤容疑者の関与が浮上したため、警察が指名手配をして捜索し、11月19日に三重県熊野市で逮捕したということです。
警察の取り調べに対し、伊藤容疑者は「何も話したくありません」と黙秘しているということです。
伊藤容疑者と女性については、2022年の7月から、男女間トラブルの相談が7件確認されていて、警察は今回も2人の間に何らかのトラブルがあったとみて捜査を進めています。

イベント中止も「返金不可」 被害起きても「自己責任」…トラブル多発〝強欲規約〟に注意

予約後は一切キャンセル不可、返金はしません-。イベントなどのチケットを巡り、業者側のこうした利用規約が原因でトラブルになるケースが後を絶たない。購入者が一方的に不利益を受けるような規定は消費者契約法上無効だが、実際の返金にはつながらず、泣き寝入りを強いられることもある。被害救済に取り組む弁護士は「主催者が過去に問題を起こしていないか調べた上で、契約の判断をしてほしい」と警鐘を鳴らす。
強風は「天災」?
「イベントが中止になったのに、代金の返還を拒否された」
消費生活センターにこんな苦情が寄せられたのは令和3年12月下旬のことだった。その月の17~19日に大阪市住之江区の会場で予定されていた夜空にLEDのランタンを飛ばすクリスマスイベント。強風を理由に一部日程が中止されていた。
主催者は神戸市のイベント運営会社で、全国各地で同様のイベントを開催している。同社がチケット代金の返還に応じなかったのは、購入者が同意した規約に「天災、感染症拡大、その他の非常事態による中止は返金しない」という定めがあったからだ。強風は「天災」もしくは「非常事態」にあたるというのが会社側の主張だった。
このため、当事者に代わって特定適格消費者団体である「消費者支援機構関西」が会社側を相手取り、代金返還義務の確認訴訟を大阪地裁に提起。今年11月の地裁判決は規約の「天災」に強風は例示されておらず、また非常事態にも該当しないとして、会社側に代金相当額の支払い義務があると認めた。
運営会社は団体から提訴された後、規約を一部変更。「中止までに生じた費用などに相当する額の返金を受けられない」と規定した。しかし、団体側は、費用負担のリスクを消費者側に全面的に押し付けるものだとして改定後の内容も消費者契約法に違反すると主張。差し止めを求めて大阪地裁に再び提訴し、現在も係争中だ。
一切返金不可といった規約は、消費者契約法上の「不当な契約条項」に当たる可能性がある。消費者庁によると①消費者の利益を一方的に害する②契約解除の際に平均的損害を超えて代金を徴収する-といった内容はこの不当条項に該当し、無効とされる。
不当条項、訴訟通じ改善も
これまでに各地の団体が起こした訴訟を通じ、裁判所が無効と判断したり、内容が改善されたりした事例も多い。
「期限までに入校辞退の申し出をしなければ授業料は一切返金しない」。九州地方のある大学受験予備校は、年間授業料を前納していた入学者に対し、中途退学時の学費返還は原則行わないとする規定を設けていた。
しかし大分地裁は平成26年、適格消費者団体が起こした訴訟の判決で、中途退学者がいたとしても「別の人の入学を受け入れるといった対応が可能で、前納した全額分の損害は受けない」と指摘。平均的損害を超える条項だとして、無効と認定した。
別の訴訟では、大阪市の旅行業者がイベント参加者に「生命・身体や財産に対して被害が生じた場合は、(業者の)故意や過失による場合を除き全て自己責任とする」とした同意書の提出を求めたことを巡り、兵庫県の団体が同意書の一部差し止めなどを請求。30年に神戸地裁で和解が成立し、業者側の免責事項が削除された。
ほかにも、不動産の賃貸借契約を巡り、修繕費用やクリーニング代を賃借人に過剰に請求したり、賃借人の破産などを理由に一方的に契約解除したりする規約も問題視され、各地の団体が起こした訴訟で改善された。
消費者支援機構関西の専門委員で、ランタンのイベント運営会社に対する訴訟の原告側代理人を務める松尾善紀弁護士は、不当な契約条項への対応について「契約時に規約の内容に不満があっても、事業者に訂正させるのは事実上困難」としつつ、不審に思った場合は「過去に行政処分を受けていないかなど、事前に評判を調べて判断すべきだ」と訴える。(喜田あゆみ)