神奈川・江の島の岩場近くで親子溺れる、40歳代の母親は死亡…男児は搬送時に意識なし

6日午前11時半頃、神奈川県藤沢市江の島の岩場近くで、通行人の男性から「海で人が溺れている」と110番があった。藤沢署によると、溺れていたのは40歳代女性と男子小学生の親子で、女性はその後、搬送先の病院で死亡が確認された。男児も搬送時に意識はなかったという。同署などが詳しい状況を調べている。現場は島の南西部で、観光客らでにぎわう人気スポットの近く。

家々の屋根飛び「どうすれば」 静岡突風被害、たまる疲労

家々の屋根が吹き飛び、何十本もの電柱がなぎ倒されていた。突風が襲った静岡県牧之原市の住宅街。発生から1日が過ぎた6日、住民は片付けに追われた。「先が見えない」「これからどうすればいいのか」。停電で冷房が使えない中、疲労がたまり、途方に暮れていた。
朝から強い日差しが照りつけた細江地区。100人を超す住民が、家の庭や玄関前に散乱したガラスや屋根瓦を集めていた。屋根や壁には応急処置としてブルーシートが張られ、市役所は罹災証明を申請する人で混雑していた。
「家を建て替えるしかない」。会社員松下和馬さん(46)が、片付けをしながら嘆いた。2階建ての自宅は屋根の大半が吹き飛ばされ、部屋からは空がのぞく。テレビやマットレスが家の外に飛ばされ、生活できる空間はない。電気も通っておらず、しばらくは車中泊をするしかない。「昨晩は全く眠れなかった」
鍼灸師安田茂さん(63)は「命を守ることだけを考えていた」と発生時を振り返った。院内で昼休み中、雨が激しく降っていた。突然風が強くなり、飛んできた瓦が窓ガラスを突き破った。

不妊症の着床前検査、対象拡大へ 35歳以上の女性が目安

不妊治療の一環として、体外受精させた受精卵の染色体を調べる着床前検査について、日本産科婦人科学会(日産婦)は6日、流産や死産を繰り返す夫婦などに限っていたルールを見直し、高年齢の不妊症の夫婦にも広げる方針を示した。35歳以上の女性を目安とする。8日にも新たな運用を始める。
受精卵の染色体異常は、不妊症や流産を繰り返す不育症の一因となる。検査で正常な受精卵を母胎に戻すことで、流産を減らし妊娠率を高めるとの期待があるが、倫理的な課題もあり、日産婦は慎重に運用を進めてきた。
2022年から始まった一般診療では、検査をしても患者あたりの出産率の向上は見られないなどとして、対象を体外受精で繰り返し妊娠できなかったり、流産や死産を繰り返したりした夫婦に限定してきた。一方、不妊治療中の夫婦などからは、流産を経験しなくても初めから検査を受けられるよう求める声が出ていた。
日本生殖医学会は4月、体外受精で多くの受精卵ができた高年齢の患者については、着床前検査で1回の胚移植あたりの出産率が改善するなどの有効性が研究で示されつつあるとして、検査対象を広げるよう日産婦に要望していた。
日産婦の三浦清徳・臨床倫理監理委員長は記者会見で「海外の研究成果も出つつあり、医療現場の実情に合わせて変更した」と説明した。一方、「(染色体の数が異なる)ダウン症などを排除するような、スクリーニング目的の検査ではない」と強調した。【寺町六花】

お台場に世界最大級の噴水…なぜ? 期待と批判の声

東京・お台場に来年3月完成予定の世界最大級の噴水「お台場ファウンテン」。“お台場活性化の起爆剤になる”という期待とともに、批判の声も上がっています。

東京・お台場海浜公園。
記者
「土砂をかき出しているのでしょうか。クレーンを使って土が運ばれていきます」
工事が進められているのは…
東京都が整備する「ODAIBAファウンテン」。
噴射ノズルをおよそ500基設置し、高さ150メートル、横幅250メートルの世界最大級の噴水となる計画です。
都によると、整備費用の総額はおよそ26億4000万円、維持管理費は年間1億5000万円から2億円となる見込みですが…
東京都港湾局臨海開発部・金子雄祐さん
「都民の税金ではなくて、臨海地域の埋め立て地の売却や貸し付けによる収入を財源として整備」
財源について、都は、税金ではなく、土地の売却益などを活用するとしています。
ただ、一部の都議は“埋め立て地とその売却益は都民の財産”などと追及。このほかにも、計画決定までの経緯などをめぐり論争となったものの予算は成立しました。

では、なぜ、“お台場に噴水”なのでしょうか。
東京都港湾局臨海開発部・金子雄祐さん
「臨海副都心のプレゼンス向上とさらなるにぎわい創出に向けた起爆剤として、新たなランドマークとなる 噴水を整備」
お台場を中心とする臨海副都心の来訪者は、2015年をピークに減少。コロナ禍を経て、現在、回復しつつあるといいますが。
デックス東京ビーチ・桑原克典総支配人
「一番にぎわっている時と比べると、やはりまだまだ」
こう話すのは、来年、開業30周年を迎える商業施設「デックス東京ビーチ」。
地元企業でつくられる協議会でも、噴水を活用した集客について検討しているといいます。
デックス東京ビーチ・桑原克典総支配人
「(噴水は)環境デザイン的にも非常にありがたい取り組み。最高潮の時代のにぎわいを創出したい」

噴水が選ばれた理由のひとつは「東京のナイトタイムエコノミーの活性化」です。
これまでにも、プロジェクションマッピングを導入したり、タイ・バンコクで夜の観光資源を視察したりしている小池知事。
3年前にお台場で実施した噴水イベントが好評を得たことや、音楽と光の演出でエンターテインメント性に優れていることが噴水の決め手になったと説明しています。
地元住民
「(大観覧車など)ぱっと見て、お台場っていうのがなくなっちゃった。そういう面では大歓迎です」
地元住民
「ひとつの目玉になるのは、すごく良いことだなって思う。子供も多い地域なので、あまり人が増えすぎるのもどうかな」
地元住民
「それはほかに任せて、東京都はもっとほかにやることがあるんじゃないかな」
地元住民
「地域が活性化することで、どうめぐりめぐってプラスになるかは、これから我々も判断していかないといけない」

東京都・小池知事
「世界に対してのアピールや、もちろん都民の皆様方、子供さんにも楽しんでいただけるようなスポットになることを期待」
都は、年間およそ3000万人が観覧し、その経済波及効果はおよそ98億円と試算。噴水は起爆剤となるのか。完成は来年3月末の予定です。

牧之原市長 「市民の声に寄り添った支援を行いたい」などと述べる(静岡・牧之原市)

突風被害受けて牧之原市の市長は、6日の会見で「市民の声に寄り添った支援を行いたい」などと述べました。
牧之原市では、6日からり災証明書の申請受付やブルーシートの配布をしています。
このほかにも被災者支援として市民が温泉施設を無料で利用できるようになると言うことです。
また、吉田町は6日、町内で63棟の建物に被害があったなどと発表しています。
なお、5日から浜松市中央区で行方が分からなくなっていた80代の男性が現場から離れた湖で見つかり死亡が確認されました。

デジタル教科書を正式な教科書に…中教審素案、使用学年など指針作成へ

学校でのデジタル教科書の使用拡大を検討してきた中央教育審議会のデジタル教科書推進ワーキンググループ(作業部会)の審議まとめ素案が4日、判明した。紙に加え、完全デジタル、紙とデジタルを組み合わせた「ハイブリッド」の3種類を正式な教科書とし、検定や使用義務などの対象とする方針を示した。児童らの発達段階に応じてデジタルを取り入れる学年などを示すガイドライン(指針)の作成も盛り込んだが、学びへの影響といった課題は残されている。
5日に開かれる作業部会で文部科学省が素案を示す。委員らの意見を踏まえて修正し、9月中にも取りまとめる見通しだ。
現在のデジタル教科書は紙と同じ内容を学習用端末などで表示したもの。2019年度から、紙の「代替教材」になっている。
素案では紙、完全デジタル、ハイブリッドを正式な教科書とした。ハイブリッドは、紙に掲載されたQRコード(2次元コード)を端末で読み取り、ネット上にあるデジタル教材も教科書の一部として扱う。教育委員会などは、3種類から教科書を選ぶ。
素案では、教科書会社の教科書編集や、教委による教科書選びの参考となるよう、国が一定の指針を示すべきだとした。指針には、児童生徒の発達段階や教科の特性に応じて、デジタルを活用する学年、教科書の構成について具体的なイメージを盛り込むよう要請した。作業部会では、デジタルの使用にあたり、小学校低学年は、認知処理能力との兼ね合いが重要だとの指摘も出ていた。
デジタルは拾い読みや流し読みといった「浅い読み」につながり、学ぶ際の集中力の阻害などの懸念がある。
文科省は26年度までに学校教育法など関連する制度改正を目指す。新しい教科書は30年度から、小学校で使用される可能性がある。

「うつ伏せの死体がある」岸壁に身元不明の女性の遺体 交通系ICカードから生活圏を特定 情報提供求める

【画像】着衣や女性のものとみられる所持品を公開 交通系ICカードから生活圏を特定 情報提供求める
北海道・小樽警察署は2025年9月4日、小樽市築港の岸壁で発見された身元不明の遺体について、着衣や所持品の写真を公開し、情報提供を呼びかけています。
8月12日午前11時ごろ、北海道開発局の職員から「うつ伏せの女性の死体がある」と110番通報がありました。
警察によりますと、海岸のコンクリート部分に女性の遺体が打ちあがっていて、司法解剖の結果、女性の死因は「溺水による窒息」と判明し、死後6日程度と推定されるということです。
発見された現場近くには、女性のものとみられるリュックサックや傘、杖が放置されていて、リュックサックには交通系ICカードも入っていました。
このICカードには、JR星置駅からJR小樽築港駅の区間を、複数回乗車した履歴がありました。
防犯カメラの映像などから、リュックサックなどは女性の荷物である可能性が高く、警察は現場周辺が女性の生活圏だったとみて、情報提供を呼びかけています。
<情報提供連絡先>
小樽警察署 刑事第一課 0134-27-0110
【女性の身体特徴】
・推定50代以上
・身長150センチメートルくらい
・肥満、左下に部分入れ歯
【女性の着衣】
・白色の半袖ブラウス、黒色のカーディガン
・灰色のズボン
・黒色とピンク色のスニーカー
・紺色の帽子
・白色地に青とピンク柄のスカーフ
・白色靴下
【女性のものとみられる所持品】
・グレー色のリュックサック(パーカー、折りたたみ椅子、折りたたみ傘、タオル、腕時計、鍵2本、メガネ、ボディスプレー、パスケース)
・ピンク系の花柄の傘
・ピンク色の折りたたみ式の杖

台風15号(ペイパー)は沿岸部を東進 西・東日本の太平洋側は大雨警戒

四国に上陸した台風15号(ペイパー)は、9月5日(金)5時の推定で須崎市付近を東よりに進んでいるとみられます。
太平洋側では局地的に激しい雨が降っています。今夜にかけて広い範囲で大雨に警戒をしてください。
▼台風15号 9月5日(金)5時推定
中心位置 須崎市付近
大きさ階級 //
強さ階級 //
移動 東北東 15 km/h
中心気圧 1000 hPa
最大風速 18 m/s (中心付近)
最大瞬間風速 25 m/s
九州の太平洋側で400mm超の大雨
台風は今日1時頃、高知県宿毛市付近に上陸しました。今夜にかけては東海や関東の沿岸部を東寄りに進むとみられます。
今回の台風はいわゆる「雨台風」の特徴をもつと言えます。台風としての発達はさほどないものの、活発な雨雲を伴って本州の太平洋沿岸を通過する予想ですので、主に大雨への警戒が必要です。
昨日は宮崎県など九州の太平洋側で台風の接近前から断続的に激しい雨が降り、多い所では降り始めからの雨量が400mmを超えました。また、四国では24時間雨量が200mmを超えている所があります。
太平洋側の広い範囲で大雨警戒
台風周辺の活発な雨雲は九州から四国や近畿、東海に移り、未明にかけて局地的に1時間に50mm以上の非常に激しい雨が降りました。
また、太平洋高気圧の縁辺をまわる風や秋雨前線の影響で暖かく湿った空気が流れ込み、太平洋側を中心に雨雲が発達しやすくなっています。
台風の中心に近い太平洋沿岸に加え、南寄りの風が山にぶつかるような地域でも雨が強く、1時間に50mm以上の非常に激しい雨の降るおそれがあります。
今夜にかけて多い所では総雨量が200~300mmに達するとみられ、土砂災害や低い土地の浸水、都市河川の急な増水などに警戒をしてください。
線状降水帯が形成されるおそれも
気象庁は「四国地方、近畿地方、東海地方、関東甲信地方、東北地方では線状降水帯が発生して大雨災害発生の危険度が急激に高まる可能性がある」との気象情報を発表しています。線状降水帯が形成された場合には非常に激しい雨が数時間継続し、想定以上の大雨となるおそれもあります。
線状降水帯が発生しなくても雨量がかさんで大雨となることも考えられるため、線状降水帯の情報だけにとらわれることなく、避難情報等に従い適切な行動をとるようにしてください。
9月は台風の上陸が最も多い時期
平年の台風発生数
台風の発生は8月30日(土)に発生した台風14号以来5日ぶりで、今月1つめです。
台風発生数の平年値を見ると、9月の台風発生数の平年値は5.0個で、8月に次いで一年の中で2番目に台風の発生が多い時期です。一方、台風の上陸数の平年値では9月が最も多く、本土への接近数も最も多い時期となっています。
本州方面にとっては例年9月が台風シーズンのピークとなりますので、台風対策・大雨対策等を整えておくようにしてください。
台風の名前
北西太平洋や南シナ海で発生した台風の名前は、国際機関「台風委員会」の加盟国などが提案した名称があらかじめ140個用意されていて、発生順につけられます。
台風15号の「ペイパー(Peipah/琵琶)」はマカオが提案した名称で、現地で人気の観賞魚の名前からとられています。

このままでは次代”天皇の母”は紀子さまになる…島田裕巳「愛子天皇待望論が過熱するもう一つの理由」

9月6日、悠仁親王の「成年式」が行われる。皇族の成年式は男子だけのものなので、成年式は、その父親である秋篠宮文仁以来40年ぶりになる。これで、成年式を迎えていない皇族はいなくなる。次にいつ成年式が行われるのか、それは未定である。そこに皇位継承をめぐる危機が示されているとも言える。
成年式を経ることによって、立場は変わる。皇族には「皇族費」が支給されているが、成年に達していない段階では年に305万円だったものが、3倍の915万円に増額される。成年皇族ともなれば、公的な活動が多くなり、必要な経費が増えるからである。
ただし、悠仁親王は、今年筑波大学に入学したばかりで、学生生活は最低でも4年間続く。その後、大学院に進学する可能性もあるし、留学の可能性もある。そうなれば、皇族として本格的に活動するのは、大学院、もしくは留学を終えてからになる。
今回の成年式をめぐっては、そのあり方についてさまざまなことが指摘されている。
一つはテレビ中継の有無である。現在の天皇の場合、1980年に成年式を迎えたが、儀式の様子はNHKで午前9時45分から10時15分まで生中継された。それだけ国民の関心は高かった。
弟の秋篠宮の成年式については中継は行われなかった。悠仁親王の場合も同様であり、現在の天皇ほど関心を集めていないとも言える。
また、6日の「加冠の儀」が行われる日の夜には、親族を中心とした内宴が開かれ、10日昼には三権の長らを招いて正式な午餐会が開かれるが、どちらも皇居の宮殿ではなく、民間施設が使われる。
現在の天皇の場合には、どちらも宮殿で行われているし、秋篠宮の場合もそうだった。ところが、宮殿は天皇家の行事が開かれる場であり、宮家の行事を行う場ではないということで、今回、民間の施設が使われることになった。
もし、愛子内親王が男子として生まれ、成年式を迎えていたら、中継もされただろうし、宴席は間違いなく宮殿で行われたはずである。そこに直系と傍系の大きな差がある。
皇室典範では、傍系の男性皇族しかいなくなる事態は明らかに想定されていない。したがって、秋篠宮は皇太子にはならず、「皇嗣(こうし)」とされている。
悠仁親王が皇太子になるとしたら、それは秋篠宮が天皇に即位した時である。そうした事態がいつ訪れるのか、あるいは本当に訪れるのか、そこははっきりしていない。
その点で、悠仁親王の立場はひどく曖昧である。男子による皇位の継承にこだわる保守派は、悠仁親王が将来において天皇に即位することを前提にしているものの、現在の曖昧な立場を解消しようとする方向には動いていないし、それについて提言も一切行っていない。
それはひどく無責任な態度に思えてならない。というのも、社会的にどういう扱いを受けるかで、本人の自覚や意識は変わってくるからである。ずっと傍系として軽い扱いしか受けてこなければ、天皇という重責を果たす覚悟は生まれない。今日のような事態が生まれることを想定していない皇室典範には、明らかに不備があるのだ。
そして、将来において悠仁親王が天皇に即位した時、新たな事態が生じることも想定されていない。さまざまな事態があり得るが、その一つが、秋篠宮の紀子妃の立場が大きく変わることである。秋篠宮の立場も変わるのだが、先に紀子妃を挙げたことには意味がある。それについて説明していかなければならない。
私がそのことに気づいたのは、最近、遠藤みどり氏というお茶の水女子大学の准教授が書いた『日本の後宮 天皇と女性たちの古代史』(中公新書)を読んだからである。書名からは、天皇と関係を結んだ女性たちが住んだ後宮の華やかな生活を描いたもののように思われるかもしれないが、そうしたことはほとんど触れられていない。
扱われているのは、後宮に住んだ女性たちの社会的な地位とその変化である。そうした女性たちは天皇の配偶者になるが、正妻となる皇后の他に、妻妾(さいしょう)として妃(ひ)、夫人(ぶにん)、嬪(ひん)、世婦(せいふ)、女御(にょうご)、更衣(こうい)がいる。
古代において、日本は中国から多大な影響を受けた。中国のほうが文明として先を進んでいたからである。漢字などは中国から取り入れたものであり、条里制の都のあり方なども中国が模範になっている。律令にしても、唐のそれをほぼそのまま取り入れている。
しかし、日本と中国では社会のあり方、家族制度などには根本的な違いがあった。そのため、後宮については、中国とはまったく異なるものとなったのだ。
中国の後宮は紫禁城(しきんじょう)にあり、そこは政務を執り行う「外廷」と、皇帝やその后妃、皇族が生活する「内廷」に分かれていた。後宮は内廷の大部分を占めていた。
ところが日本の場合、飛鳥時代から奈良時代にかけては、天皇の配偶者となる女性たちは、天皇とは別の場所に住んでおり、後宮といえるような空間は存在しなかった。後宮という空間が生まれるのは、奈良時代の終わりから平安時代のはじめにかけてのことである。
それも、日本は古代において、「双系的社会」だったからである。それは、個人の出自や社会的地位について、父方(男系)と母方(女系)の両方の血筋を等しく重要視する社会のことである。これは、中国が父方の血筋だけを重視する「父系社会」だったことと根本的に異なる。
双系的社会では、男女間の社会的役割に大きな差はなく、首長の位も個人の実力や資質によって選ばれ、子どもの社会的な地位についても出自はさほど重視されなかった。だからこそ、飛鳥・奈良時代において、数多くの女帝が輩出されたわけである。
つまり、古代の日本では血縁関係は重視されず、婚姻による男女の結びつきも弱いものだった。したがって、妻という社会的な地位は確立されておらず、天皇家の場合、重要なのは天皇の妻であるかどうかではなく、“天皇の子の母”であるかどうかだったのである。
遠藤氏は、「日本では天皇の子の母への経済的給付を中心に、キサキ制度が整備されていく」と述べている。その分、天皇の子の母に対する経済的給付は手厚いものになり、上級の男性の官僚と変わらないものとなった。そのため、彼女たちの社会的な地位は安定化した。後宮という空間が設けられなかったのも、女性たちが生家で子どもの養育を行ったからである。この段階の後宮は、天皇の配偶者となった女性たちのことを指すものにすぎなかった。
空間としての後宮がはっきりとした姿を現すのは、平安時代初期になってからである。平安遷都をなしとげた桓武(かんむ)天皇には20人以上のキサキがいて、皇子女の数も30人以上にのぼった。桓武天皇は、そうしたキサキや皇子女が生活する内裏(だいり)の空間として本格的な後宮を設けたのである。
桓武天皇の生母は、渡来人の血を引く高野新笠(たかののにいがさ)で、渡来人の影響を受けており、その分、中国の皇帝のあり方に従うことが多かった。後宮の形成も、その一環である。そして、経済的な給付についても、皇子女の母に対してなされるのではなく、直接皇子女を対象とするように制度を改めた。
これは、大きな変化であり、キサキも、天皇の子の母ではなく、天皇の妻であるという側面が強くなっていった。そして、天皇の正妻である皇后を頂点とした体制に変貌していくのである。
それは、双系的社会から父系社会への変化を意味し、男女別の宮廷社会が創られることとなった。遠藤氏は、「政治の表舞台は天皇を頂点とする男性組織が担い、それを後ろから支える皇后を頂点とする女性組織という男女別の役割分担が確立するのだ」と述べている。社会の根本的な変化が、後宮のあり方を大きく変えたことになる。そうなれば、その前の時代とは異なり、女帝が現れることはなくなる。
藤原氏による摂関政治の時代が訪れるのも、こうした変化に伴ってのことである。ただ、その中で、天皇の母、もしくは祖母となる「母后(ぼこう)」が台頭する。
キサキについて、天皇の妻としての側面が強調されるようになっても、皇太子の母という皇后の役割は変わらなかったのだ。ほかのキサキは、妻として天皇に従属し、自分の産んだ皇子女との関係が弱くなっても、「皇后のみが“母”としての役割を維持し続けていたとも言える」(同書)という。
そのことが摂関政治の確立に影響する。皇太子あるいは天皇の母は、その後見人の立場となった。
ただ、藤原氏から入内した女性たちは、後見人として政治上の実権を握ったわけではない。それを背景に、女性の父や兄弟、つまりは藤原氏の男性たちが実際に政治を動かしたのである。
このように、『日本の後宮』では興味深い議論が展開されているのだが、私がそこから考えたのは、悠仁親王が天皇に即位する時のことである。
その時、天皇の母の立場になるのは紀子妃である。今の政治体制では、紀子妃が天皇の後見人になるわけではないが、その立場は明らかに変わる。
一方で、その時点で上皇后になっているであろう雅子皇后の立場も変わる。天皇の母ではないので、どうしてもその立場は弱くなる。
それは、上皇となる現在の天皇と秋篠宮との関係についても言える。秋篠宮がいったんは天皇に即位していれば、なおさら、秋篠宮の立場は強くなる。
何かこれは奇妙な事態ではないだろうか。直系ではなく、傍系が皇位継承するということは、どうしてもこうした事態を生むことになる。
国民の中に、愛子内親王の即位を望む声が少なくないのも、直系での継承に安心できるものを感じるからではないだろうか。このあたりのことも議論の対象になるべきである。
———-
———-
(宗教学者、作家 島田 裕巳)

【独自入手】アレフ内部の音声記録 “松本智津夫元死刑囚の二男”が教団幹部“裏会議”に参加

オウム真理教の後継団体「アレフ」について、公安審査委員会は麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚の二男が教団の「役職員」だと初めて認定しました。
日本テレビは、その二男とみられる人物が参加する教団内部の会議の音声を独自に入手。そこには自らを「教祖」と呼び、幹部に指示を出す様子が記録されていました。

二男とみられる人物「私が悪いと言っているんだな。あ?」
アレフ幹部「このままでいいのですか」
二男とみられる人物「論点すり替えないでよ。私の父同様に死ねというわけだな」
アレフ幹部「死ねとは言っていません」
二男とみられる人物「だって父がやった通りに、だから父は戦った。その結末は死だろ」
アレフ幹部「違いますよ」
二男とみられる人物「あなたは父と同じようにやれと言っている」
アレフ幹部「尊師のやったことは全部見ていないですよね」
アレフの幹部を相手に声を荒らげる男性。この人物はオウム真理教の教祖、麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚の二男とみられます。
日本の犯罪史上例のない未曽有の無差別テロ、地下鉄サリン事件。松本智津夫元死刑囚は事件の首謀者として逮捕されましたが、オウム真理教は「アレフ」などに名前を変え、30年たった今も活動を続けています。公安調査庁によると、現在「アレフ」は全国に20か所以上の施設があり、信者はおよそ1180人いるとみられています。
日本テレビは、教団内部の会議の音声を独自に入手。記録されていたのは、2021年6月に行われたとされるリモート会議の様子でした。教団幹部10人ほどが参加し、1時間6分にわたり話し合いが行われていました。
二男とみられる人物「はい、じゃあ始めましょう。最初に公調(公安調査庁)から返事がきたのですが、それについてどうするかと」
会議を仕切るのは二男とみられる人物。教団の資産報告などを求める公安調査庁に対し、いら立つ様子も記録されていました。
二男とみられる人物「つまりですね、最低だろうがなんだろうが、やってくる連中ってことです。今の公調(公安調査庁)は」
中には、こんなやりとりも―
最高幹部「荒木君の声こもっているんだけど」
「ああそうですか、すみません。いかがですか?まだこもっていますか?」
幹部A「非常に聞きにくいね」
会話の中に登場する“荒木君”とは、オウム真理教時代からの広報担当者で、アレフの幹部である荒木浩氏とみられます。
私たちは、会議の音声と日本テレビが過去に取材した荒木氏ら幹部の音声を国際的な評価基準を持つ解析機関で比較・検証。同一人物の声であると判断しました。
また、こういった会議の音声データについては、公安調査庁も存在を把握しているということです。
「アレフ」の運営方針については、これまで幹部らの「合同会議」によって決められ、二男は関与していないとされてきました。
しかし、教団関係者によると、実際には二男が参加する“裏会議”が複数存在。そこで公安調査庁への対応や教団資金の運用、信者への対応などについて、話し合われているといいます。
二男は信者の前に一切姿を現さず、“裏会議”で決定した内容が表の「合同会議」を通じて、各道場や信者に伝えられているといいます。
今回入手した音声も、その“裏会議”のひとつだといいます。
幹部C「ひとつは〇〇さんの出家について、どう判断するか」
会議では、信者の出家について判断を下す場面も。
二男とみられる人物「自分が修行者である自覚が足りない。そこをしっかり」「修行者として努力してきたこと、努力しなければならないことを理解していない」
幹部C「わかりました、ちょっと伝えてみます」
――二男はどんな人物なのでしょうか。
今から31年前、二男が生まれた翌日、松本智津夫元死刑囚は信者に向けてこのように語りました。
「1994年、パンチェン・ラマ(チベット仏教の高僧)の生まれ変わりが私の2番目の息子として転生した」
6人きょうだい(娘4人、息子2人)の末っ子として誕生した二男。
二男の母「きょうは生後9か月の二男を連れてきました」
多くのメディアが集まる会見の場にも姿をみせました。この会見から2か月後、地下鉄サリン事件が発生。松本智津夫元死刑囚は逮捕されますが、勾留中に弁護士を通じて信者にこんなメッセージを発信していました。
「二男を中心とした子どもたちを私と観想してください。それによって、私がどこにいようとも、あなた方の霊的な道筋が確保されるでしょう」
組織の存続を二男に託すような発言をしていたのです。教団の機関誌には、4歳の頃の二男が後継者として育まれていく様子が紹介されていました。
その後の詳細な動向はわかっていませんが、今からおよそ10年前、二男が20歳の頃から教団の運営に深く関わりはじめたとみられています。
2018年、父親の松本智津夫元死刑囚の死刑が執行されます。会議に参加していた幹部によると、その頃から、二男は権力を誇示する姿勢を強めていったといいます。
会議に参加していた幹部「麻原教祖の死刑のあたりから『俺が最高権力者だ。俺に逆らったらどうなるかわかっているのか』という態度に」
音声では、二男とみられる人物が幹部とぶつかる場面も。
最高幹部「真剣に私はこの教団をどうするか考えているのではないですか」
二男とみられる人物「その当路(通るべき道)をどうするか。全部私に責任を放り投げると繰り返している」
最高幹部「放り投げるというか、責任はグルが持たないのでは誰が持つんですか」
グルとは宗教的指導者を意味し、オウム時代は松本元死刑囚のことを指していました。
二男とみられる人物「いや、だからさ、話がおかしな方向にいっているけどさ、もしそうだとしたら要するにグルとしての責任を何で私が取らなきゃいけないんだい」
最高幹部「尊師が(二男を)二代目と指名したからでは?」
二男とみられる人物「父が指名したから、責任を取らないといけないとはならない」
最高幹部「基本的に尊師が言ったことを守らないというのはどうなのかと」
二男とみられる人物「だから私、教主じゃなくて教祖だよ。父が任命したのは」
自らを「教祖」と呼ぶ一方で、責任からは逃れるような発言をしていました。
日本テレビは、母親と2人で暮らしているとみられるマンションを訪ねました。
記者「あちらの部屋です。幕のようなものがかかっていて、中の様子はあまりわからない」
今年4月、埼玉県警が家宅捜索を行ったところ、部屋から現金数千万円が見つかったといいます。
オウム事件被害者への賠償金の支払いが滞る中、見つかった多額の現金。教団が支払いに応じないのも、二男の意向によるものだと公安審査委員会も認定しました。
幹部D「私は尊師(麻原彰晃)もグルですけど、猊下(げいか)(二男)もグルです。猊下のことを信頼し従います。帰依します」
二男とみられる人物「うれしいことを言ってくれますね」
日本テレビは、アレフに対して二男の教団内での位置づけなどについて質問を送りましたが、4日までに回答はありませんでした。
3日、公安調査庁の請求に基づいて審査を行った公安審査委員会は、二男についてアレフの“役職員”であると初めて認定しました。
教団の危険性について調査を継続している公安調査庁は…
公安調査庁調査第一部 西尾和浩第二課長
「麻原の二男が麻原から後継者として指名されていたという情報も得ている。そのような者が団体を率いているのは重要なものだったと思いますし、これまで表に出ていなかった二男について、法に基づいて報告しなければならないということを示していただいたと受け止めているので、実態を隠して活動するのは許さないというメッセージになったのではないか」
公安調査庁は、今後も教団の動向を注視していくとしています。