異例事態「すごいこと起きた」“1票差の町長選”再点検へ 栃木県那須町

その差、わずか「1票」でした。大接戦となった町長選挙。敗れた候補者は票の「数え直し」を訴えています。一体、どうなるのでしょうか。
【画像】「初めてのこと」行政も驚きの事態
異例事態「すごいこと起きた」
町民(60代)

「すごいことが起きた。いろんな人が、この話題について話している」
町民も…行政も、驚いています。
那須町 総務課 池沢秀勝課長

「那須町では過去に、こういった事例はなかった。初めてのこと」
栃木県那須町。自然豊かなリゾート地として知られるこの町で今問題となっているのは、9日前、今月22日に実施された那須町の町長選。現職の平山幸宏さんが3回目の当選を果たしましたが、この結果について5日後に、再点検=票の数え直しをするというのです。
選挙実施から2週間後の異例の再点検。一体、何があったのかというと…。
1万人以上が投じた票が、ほぼ真っ二つに…。この結果に、異議を申し立てたのが、わずか1票差で2位だった小山田典之さんです。
「(結果に)『驚いた』ほうが大きかった。その後に、だんだん悔しさが出てきた。“受け入れられなかった”というのが本音。こんなことが本当にあるのか、間違いじゃないのか」
開票に誤りがあった可能性はあるのでしょうか?町の総務課に聞きました。
池沢課長

「トータルすると3回、名前をチェック。トリプルチェックしている」
那須町によると、今回の開票では職員が交代するかたちで合わせて3回、目視による確認が行われたといいます。
「選挙管理委員会としては、ここまでチェックしているので(誤りは)あまり考えられないが、それも含めて再点検をする」
今回、投票者の総数は1万566人。そのうち平山氏が5099票、小山田氏が5098票、3位だった候補が229票で、無効票が140票でした。
1票差で落選した小山田さんが疑問視するのは、この「無効票」の扱いです。
池沢課長

「(小山田氏側から)“無効票の中に、本来なら有効票とみられるものがあったのではないか”“そういったものの点検をお願いしたい”と申し出があった」
小山田さん

「何かの間違いがあるかもしれないし、そういった誤差が出て、この1票差になったと思う。そこは真実をしっかり明確にしていただきたい」
“1票差の町長選”再点検へ
実はわずか“1票差”で再点検を行ったケースが、過去にも…。
例えば、2015年に実施された神奈川県相模原市の市議会議員選挙。この時、立候補した小林丈人さんはギリギリ当選したものの、次点だった候補が異議申し立てを行い再点検することに。
担当者

「再点検の結果…」
その結果、なんと次点だった候補の有効票が見つかり、当選者が入れ替わりました。
再点検で“逆転落選” 小林丈人さん

「(Q.こういった経験は?)もちろん、初めて」
逆転で落選となった小林さん。当時の心境を聞くと…。
「自分自身が頑張ればもうちょっと票を、安心できるような票を取れたかなという思いはあった。その当時は」
投票結果の再点検が繰り返し起きていることについては…。
「日本の場合は即日開票だから、夜中までに結果を出す。現場の職員さんも本当に大変だと思う。プレッシャーの中で開票作業するので。(確認を)徹底してもらうことしかないのかな。ただ、選挙はドラマチックなことも起こる。選挙の面白さもあらわれるケースではあるかな」
果たして、那須町ではどのような結果が出るのか。再点検は来月5日に行われます。
(2026年3月31日放送分より)

民営の火葬料金、8万円以上が7割 高騰受け東京都が調査

東京都は31日、火葬場の運営に関する実態調査の結果を公表した。調査に応じた都内外の民営火葬場の約7割が火葬料金を8万円以上に設定していた。
23区で火葬料金が高騰しているという指摘を受け、都は2025年12月~26年3月、都内外の公営・民営火葬場計44施設と都内外の計75区市町村を対象に火葬場の運営実態に関する調査を実施した。
その結果、都内の民営火葬場は8カ所すべての火葬料金が8万円以上だった。公営火葬場は約9割が当該の住民は無料または2万円未満に設定する一方、住民以外は6万円以上としている施設が約7割だった。
直近3年間で物価高騰などを理由に料金改定した火葬場は公営が臨海斎場、八王子市斎場、南多摩斎場、日野市営火葬場の4カ所、民営が戸田葬祭場、多磨葬祭場、葬祭会社「東京博善」(港区)が運営する都内6斎場など計9施設だった。
都は火葬場の需要増に対する意見も収集。公営の火葬場では、現状でも住民以外を受け入れる余力がほとんどないとしている。今後需要がさらに増えた場合は当該住民を優先し、運営日数や時間帯を増やして対応するといった方針が多かった。
一方、民営の火葬場では現状で稼働率に余裕がみられた。
都は今後、都内自治体や有識者らで構成する検討会を設置。調査結果を基に火葬能力の確保や火葬場の適切な経営管理について議論する。【加藤昌平】

宮崎県知事選に出馬意向の東国原氏「宮崎はまだまだ伸びしろがある」

来年1月に任期満了を迎える宮崎県知事選に出馬する意向を固めた元同県知事の東国原英夫氏(68)が30日までに都内で取材に応じ、宮崎の未来について語った。九州内の地域格差、観光の停滞、外国人労働者の必要性、行政のAI化、新幹線構想まで披露した。現職の河野俊嗣氏(61)が5選を目指し、出馬すると表明している。前回2020年12月の知事選では、異例の「現職VS元職」対決となり、事実上の一騎打ちに。大激戦を演じたが、約2万3000票差で敗れている。元県議の右松隆央氏(57)も立候補を表明している。

―決戦を迎える心境は。
「平常心です。3年前から決めていたことでもあり、もともと選択肢の一つでした。ですから、『いよいよだ』という高揚感が特別にあるわけではありません。ここまでの3年間の活動の延長線上に、今があるという感覚です」
―この3年間、地元・宮崎をかなり回ってきたそうですね。
「YouTubeの撮影も含めて、さまざまな地域を回り、ごあいさつもしてきました。そうした中で、宮崎の現状や地域ごとの空気感に触れる機会は多かったですね」
―九州の中での宮崎の位置付けは? 福岡県に勢いがあるように思うが。
「九州には、昔から東西格差と南北格差があります。北の方が栄え、西の方が新幹線も含めて活力がある。その中で東南に位置する宮崎は、どうしても活力に欠ける側に置かれてきました。歴史的にも『陸の孤島』と呼ばれた時代があったほどです」
「かつては新婚旅行ブームで『日本の南国』としてにぎわいましたが、沖縄の返還や海外旅行の一般化で、その立ち位置は変わりました。それでも宮崎は『ちょうどいい南国』としての魅力を持っている。問題は、その価値をどう現代的に再構築するかです」
―宮崎の基幹産業の現状をどう見ていますか。
「今も農林水産業と観光サービス業が基幹産業だと言われていますが、農業生産額は全国で5~6位だったのが、7位まで落ちています。観光も厳しい。特にインバウンドが非常に少なく、コロナ後の回復でも、ほかの都道府県ほど戻っていない。観光面でなおコロナ前の水準に達していないことが、県全体の活力を引き下げている面はあると思います」
―では、今後の政策はどのように打ち出していく考えですか。
「今回は記者会見で細かな政策を一気に発表するつもりはありません。まずは全体の骨格を示し、その後はブロードリスニング、つまり幅広く県民の声を聞きながら、夏ごろまでに練り上げていくつもりです。改めて政策発表の場を設けたいと考えています」
―賛否を呼びそうな「目玉政策」もあるとか。
「『目玉』というより、ハレーションが起きるような案はあります。賛否両論は出るでしょう。ただ、それをそのまま出すかどうかも含めて、県民の意見を丁寧に聞きながら最終的に判断したい。政策は、一方的に押し出すだけではなく、対話を通じて仕上げるべきだと思っています」
―現職の河野氏は5選を目指すとしています。首長の任期、多選の是非についてはどう考えますか。
「私はもともと、多選はあまり良くないと考えています。長く続けば、弊害や閉塞感、硬直化が生じやすい。県民がどう判断するかは別として、少なくとも私はそう思っています」
「首長としての一つのスパンは10年くらいではないかとも感じています。今の4年任期は少し短く、8年だと、やや中途半端。むしろ1期5年で2期まで、というような仕組みの方が、為政者にとってもわかりやすいのではないか。そんな考えを持っています」
―では、10年後の日本、宮崎をどう見通しますか。
「日本全体では人口減少がさらに進むでしょう。宮崎も例外ではありません。その中で、外国人労働者の存在は今以上に重要になると見ています。宮崎では、企業に話を聞くと、すでにベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマーなどから人材を受け入れている。実際には大きな軋轢(あつれき)は少なく、地域として極端な拒否感もそれほど強くないと感じています」
―労働力不足への対応として、AIやロボット化はどこまで進むと見ていますか。
「生産性を上げるには、デジタル化、ロボット化、AI化は待ったなしです。10年後には、単純作業の2割から3割くらいはロボットが担っていてもおかしくない。行政も同じで、役所の事務も2割、3割はAI化・自動化していく必要があると思っています。そうなれば効率が上がり、残業も減り、余暇も増える。労働人口が減っても、社会を回していく余地が生まれます」
―前回知事選では宮崎の将来インフラとして、新幹線にも言及していました。 「宮崎県の10年後を考えたとき、新幹線を通しておかなければならないと思っています。今の時代は、20年、30年かけてゆっくり考える余裕がありません。新幹線を通すためには、その前提として何が必要かを逆算しなければいけない。人の流れをどう作るのか、何を整えるのか、そこまで含めて考える必要があります」
「(10年後)人口は90万人程度になるかもしれません。そのとき、26市町村がどう持ちこたえているのかが大きなテーマになります。特に中山間地域をどう支えるか。自動運転、ロボット、ドローン、デジタル化、AI化をどこまで実装できるかが、地域の持続可能性を左右すると思います」
―宮崎には伸びしろがある、と。
「私は、宮崎にはまだまだ潜在能力があると思っています。現状に課題があるということは、裏を返せば伸びしろが大きいということでもある。言ってみればブルーオーシャンです。リニアモーターカーの実験は、もともと宮崎で進めていました。先端技術の実証実験を受け入れる土壌が以前からあったのです。だったら今こそ、地方の中山間地域における自動運転、AI化、ライドシェアなどの実証実験を積極的にやるべきだと思います。『実験場』という言い方は聞こえがよくないかもしれませんが、未来のモデル地域になると思います。

「杉原千畝」講演会延期、早稲田大が国際情勢など踏まえ…識者「親イスラエルと見なされる状況警戒か」

早稲田大の大隈講堂(東京都新宿区)で4月に開催予定だった杉原千畝(1900~86年)に関する講演会が延期されることがわかった。早大側は、国際情勢など様々な状況を踏まえ、来場者らの安全確保などを考えて判断したとしている。
杉原は、第2次世界大戦中、リトアニアの領事館でユダヤ人に日本通過ビザを発給した外交官。早大高等師範部(現・教育学部)で学んだ杉原の没後40年などを記念し、4月14日に「NPO杉原千畝命のビザ」の主催で開く予定だった。講演者には、杉原が発給したビザで日本に到着したユダヤ系ポーランド人の子どもや、杉原の孫・千弘さんが予定されていた。
早大広報室によると、外部団体などからの働きかけがあったわけではなく、特定の国・地域、立場への支持や評価を示す決定でもないという。「主催者が調整・準備を進めているのに、ご迷惑をおかけして大変心苦しい」などとコメントしている。
杉原を研究する名城大の稲葉千晴教授は「杉原について講演をすることが親イスラエルと見なされてしまう状況がある。警備などで万が一のことがあってはいけないと考えたのではないか。文化的な話が国際政治にすり替えられてしまうのは悲しい」と話している。

99年主婦殺害、夫が賠償請求 名古屋地裁、民法の規定どう判断

1999年に名古屋市西区のアパートで主婦が殺害された事件で、夫の高羽悟さん(69)が、殺人罪で起訴された安福久美子被告(69)に損害賠償を求めて名古屋地裁に提訴した。高羽さんが30日、地裁前で報道陣の取材に明らかにした。賠償請求額は非公表。
民法は不法行為から20年で損害賠償請求権がなくなると規定している。安福被告が昨年10月31日に逮捕されるまで、高羽さんは請求の相手が不明なまま20年以上が過ぎた。訴訟では規定がハードルとなる。
高羽さんは民法の規定について「請求先がやっと分かったのに、裁判自体が排除されるのは社会正義に反する」と提訴の理由を説明。訴訟を通じて「未解決事件の遺族が20年たっても損害賠償で提訴できるような道筋をつけたい」と話した。
事件で高羽さんの妻奈美子さん=当時(32)=が殺害された。捜査は難航し、容疑者が特定できない状態が長く続いた。現場に残された血痕と安福被告のDNA型が一致し、愛知県警が逮捕。名古屋地検は今月5日に起訴した。

再使用ロケット実験機RV-X飛行試験、5回目延期 外部との接続装置に問題 新日程未定

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は30日、秋田県能代市の能代ロケット実験場で同日予定していた、再使用ロケット実験機「RV-X」の初めての飛行試験を延期すると発表した。外部との接続装置に確認が必要な事象が生じたため、同日午前6時半ごろ、打ち上げの直前で中止した。延期は5回目で、新たな実施日は未定。
当初の実施日は7日だった。延期のうち、1~3回目は天候不良で、4回目は飛行開始直前に外部との接続装置を分離できなくなったため。JAXAは対策を施し、適切な動作の確認ができたとして、30日の飛行試験に臨んでいた。
RV-Xは高さ約7・3メートル、直径約1・8メートルの小型実験機で、液体酸素と液体水素を使うエンジンを搭載。ロケットの機体を使い捨てにせず、回収して再使用することにより、コストを低減し打ち上げを高頻度化する再使用ロケットの実現に向けたデータ収集が目的。

「あなたにも落ち度」「夜道を1人で歩くから」… 蹂躙される性暴力被害者、捜査機関の深刻な二次加害 元大阪地検検事正の事件被害者らが調査

性犯罪の被害者はなぜこれほどまでに打ちのめされ続けなければならないのか。
まず事件そのものによって心身を蹂躙(じゅうりん)され、尊厳を打ち砕かれる。そして心的外傷後ストレス障害(PTSD)などに苦しむ。やっとの思いで被害届を出せたとしても、捜査段階で二次被害に遭えば、さらにどん底に突き落とされる―。
元大阪地検検事正による性被害を訴えている女性検事、ひかりさん(仮名)と支援者らが、性犯罪被害者を対象に実施したアンケートの結果(速報値)は、被害者が警察や検察による「二次加害」におびえ、傷ついている実態を浮き彫りにした。(共同通信編集委員 田村文)
■「拷問のような」設問に600人超が回答 調査はひかりさんのほか、弁護士や公認心理師、被害当事者らが2025年10~12月にオンラインで実施。これまでほとんど知られていなかった性犯罪の捜査や裁判の実態を明らかにするため、85の設問を用意した。そして「警察官の事情聴取についてどう感じましたか」などと細かく聞いていった。

回答者は607人。調査チームの一人で性暴力被害者の池田鮎美さんは、回答を一つ一つ精査した。「フラッシュバックを起こしながら答えてくれているのが分かる人もいた。ものすごく貴重なデータです」と話す。
自身も回答したというひかりさんも「答えるのは拷問のようにつらかったはず。私も泣きながら半日がかりで答えた。実際の被害者がこんな目に遭っているということを立法事実として突き付けて、さらなる刑法改正や法の適正運用につなげたい」と力を込める。
アンケートに協力した理由を複数回答で尋ねたところ「性暴力の被害者が生まれない社会づくりに貢献したかったから」が最多で528人。次いで「性犯罪を巡る刑法改正や刑法の運用の適正化を願っているから」が520人、「被害者の落ち度を責めない社会になってほしいから」が491人で続いた。回答者の切なる願いが詰まっている。
「性暴力をなくし、被害者が生きやすい社会にするため望むこと」を尋ねると、警察、検察、裁判官による「二次加害」の防止が559人で9割超に上った(複数回答、有効回答603人)。

回答者のうち173人は警察の事情聴取を受けていた。感じたことを尋ねると、捜査・処分に「不満がある」が最多で42・8%、「違和感を持った」は20・2%、「良かった」は7・5%にとどまった。91人は検察の聴取も受けており、「不満」が34・1%、「違和感」が19・8%、「良かった」は20・9%だった。
■「汚物を扱うように対応された」 捜査の過程で傷ついたことを自由に書いてもらった回答は衝撃的だ。
警察の対応では次のような記述があった。
「あなたにも落ち度があった」と説教された/汚物を扱うように対応された/「夜道を一人で歩くから悪い」と被害届を受理してもらえなかった/加害者と格闘後、殺すぞと首を押さえられ、凍り付き、レイプされたのに「抵抗を諦めたのか」としつこく問いただされ、むなしさ、悲しさ、悔しさを感じた
次に検察の対応について。 フラッシュバックを起こし、椅子に座っていることができなくなってのびているのに、質問を続けた/「自分から誘ったのでは?男をあさりに行ったんだろう」などの侮辱的なことを言われた/何度も被害に遭う女性は金目当てだという内容を、司法修習生の前で意気揚々と説明された/私は被害者なのに、加害者の扱いを受けている気がした/性暴力被害者の心理を全く理解していなかった

ひかりさんはこう訴える。「被害申告できる人はほんのわずかです。勇気を振り絞って、助けを求めてきてくれたのに、被害者の最後のとりでである捜査機関が、被害者を踏みにじっている」
■理解されにくい「凍結」「迎合」反応 警察や検察の対応について「担当者が、性暴力被害者の心理を理解していないように感じた」と答えた人は少なくない。では、被害者の心理とそれに基づく反応とはどんなものだろうか。
専門家などによると、性暴力被害者は重大な危機や脅威に直面すると、「凍結(フリーズ)」して何もできない人は多い。「迎合」もよく見られる。また、被害後はショックが大きく、防衛本能から被害事実を否定・封印してしまい(否認)、加害者が会社の上司や取引先の場合は、被害直後に普段通り丁寧なメールを送ることもあるそうだ。
これらの行動を取った被害者が自らを責めたり、PTSDの影響があったりして、被害の申告が遅れることも珍しくない。
こうした被害者の心理や状況に無理解な人は「なぜ抵抗しなかった」「どうして逃げなかったのか」と問うたり責めたりしてしまう。被害者が「できなかったこと」について、不自然だと疑問視したり、落ち度だと非難したりすることは、被害者を二重に傷つける。
2023年施行の改正刑法で性犯罪規定が見直された。改正時の国会の付帯決議は、捜査や公判において被害者心理や心的外傷を踏まえる必要性に触れたほか、被害者の心身に十分配慮するよう努めることを求めている。そのことを、誰もが真摯に受け止めなければならない。
■「生きていてくれてありがとう」
インタビューに応じるひかりさん=2026年3月4日、東京都内
では、被害者の心身に配慮した対応や調べとはどのようなものか。検事としてのひかりさんの捜査経験を聞いた。
ある被害女性はPTSDを患い、検事であるひかりさんの前で涙を流しながら何も話せなかった。いつもは聴取対象者と向き合って座るけれど、このときは彼女の横に座り、しばらく黙って背中をさすり続け、こんなふうに話しかけた。
「よく頑張ってここに来てくれたね。よく生きていたね。生きていてくれてありがとう。話さなくていいよ。私は味方だから」
その日はそれだけで帰ってもらった。そして、すぐに警察といっしょに、加害男性の余罪捜査を始め、男性の仕事の顧客約800人を聴取した。40人ほど被害者がいて、みな泣き寝入りしていたことが分かったので「加害者を処罰することが被害回復の一歩につながる。被害届を出しませんか」と説得した。8人ほどが被害届を出したが、加害者は次々に賠償金を支払い、被害届を取り下げさせた。それでも残りの4人が加害者の処罰を求めてくれた。その女性たちが「声を上げられたのは、最初に勇気を出して訴え出てくれた方のおかげです」と言ってくれたので、それを彼女に伝えた。彼女はやっと口を開き、自分の被害について語ってくれたという。
本人が心を開くのを待ち、回り道も恐れない。「処罰すべき加害者を安易に不起訴にしてしまえば、また新たな被害者が生まれる」とひかりさん。粘り強い捜査を支えたのは、その信念だった。
■「生存の危機」でPTSDに
性犯罪被害者を対象にしたアンケートについて話す池田鮎美さん=2026年3月4日、東京都内
調査チームの池田さんは、フリーライターだった2012年3月、取材対象者から車の中で性暴力を受けた。PTSDの症状が出て精神科に入院。その病院から検察庁に通って聴取を受けた。検察官は、加害者の虚偽の言い分に寄り添うように「あなたは体を使った取材をしていたのではないか」という趣旨の質問をした。侮辱されていると感じた。結果は案の定、不起訴だった。
記事を載せる予定だった雑誌の版元である小学館側の人たちからも「被害に遭ったのはきみの落ち度だ」などと言われて突き放され、PTSDが悪化したという。 「天職だと思い、必死に頑張っていたライターの仕事を失った。性暴力で仕事や夢を諦めざるを得なくなった私のような被害者が、この社会にはたくさんいます」
看護師で公認心理師の伊藤悠子さんは、調査結果を説明する記者会見でこう述べた。 「性暴力は高い頻度でPTSDの発症と重症化、さらには長期化をもたらす。性的に侵害される経験は世界と自己を隔てている安全領域を壊すからです。その瞬間、生存の危機が起こっている。被害者はフラッシュバックによって、何度もこの苦しみを味わいます」
■職を賭しての訴え
東京・霞が関の検察庁
ひかりさんが被害に遭った事件を振り返る。起訴状などによると、元大阪地検検事正の北川健太郎被告(66)は在職中の2018年、飲酒酩酊に加え、「検事正」の影響力や予想外の性的暴力に恐怖で抵抗できない元部下のひかりさんに大阪市内の官舎で性的暴行をしたとされる。2024年に逮捕、準強制性交罪で起訴された。初公判では起訴内容を認めたが、その後「同意があったと思った」と無罪主張に転じた。
ひかりさんは2026年2月、国や北川被告らに計約8300万円の損害賠償を求めて提訴。北川被告からの性的暴行や脅迫のほか、同僚の女性副検事がひかりさんの本名や誹謗中傷を広めたこと、検事総長らが副検事による二次加害を止めずに拡大させ、ひかりさんに公益通報をやめるよう脅迫したことなどを訴えている。
ひかりさんは重篤なPTSDに苦しみ続けている。「被害を受けた“その時”の場面や北川被告の裸が目の前にちらついて、怖くて、惨めで、涙が止まらなくなる」
つらい記憶にふたをしようと、被害後しばらくは仕事に没入した。自分を守ろうとしたのだ。「でも北川被告が罪を忘れたかのように被害感情を逆撫でする言動を続けたため、病状が悪化し、休職せざるを得なくなった。被害申告後も、検察組織による二次加害もあって、病状はさらに重くなっている」
被害に遭った場所や状況を思い出させるものごとに出合うと動悸が激しくなる。フラッシュバックが起こる。「悪夢もひどい。夢と現実が地続きになってしまう」。医師はひかりさんに、自殺の危険性があると告げている。
ひかりさんは2026年3月2日、法相と検事総長宛てに要望書を提出した。その中で第三者委員会の設置と、検察組織での犯罪・ハラスメント被害の実態調査と再発防止を求めている。3月31日までに要望が実行されなければ、4月末で退職せざるを得ないと明かしている。
「もう二度と同じような被害者を生みだしてほしくないから、職を賭して訴えました。検察が不健全だと、えん罪被害も起きるし、被害者も泣き寝入りさせられて、犯人が野放しになる。第三者の目が必要です」
この要望書は「要望書/辞表・遺書」と題されている。

自殺した堺市の女子中学生(13)のスマホに残されていた同級生女子からの苛烈な“いじめメッセージ”に非難と驚きの声が「いじめではなく犯罪」「授業中に警察が逮捕に…」

2019年10月に大阪府堺市で中学2年生の女子生徒が亡くなった問題で、母親が生徒のスマートフォンからいじめを示すメッセージを発見し、市が再調査を決めたことが報じられた。この報道に対し、Yahoo!ニュースのコメント欄では、いじめ問題への司法の関与や、デジタル時代における親の役割などについて様々な意見が寄せられている。
報道によると、2019年10月に当時中学2年生だったトモコさん(仮名、享年13)がマンションから転落し、約1週間後に死亡した。トモコさんは小学校時代からいじめに悩み、中学校では所属する女子バレー部での人間関係で苦しんでいたという。不登校になった後、市の調査委員会はいじめと不登校の因果関係を認めたが、自殺との因果関係は認定しなかった。
トモコさんの死から5年以上が経過した2025年2月、母親がスマートフォンのロック解除に成功。「地獄に堕ちろ」「早く死んでこいよ」といった同級生からのメッセージや、「もう全部終わらせたい」と綴られたメモのスクリーンショットを発見した。これを受け、堺市は再調査を決定した。
この記事の読者の反応は?(ヤフコメより)
この問題について、コメント欄では「いじめ」という言葉自体を見直すべきだとの意見が目立つ。「未成年者による犯罪と呼ぶべき」とし、「大人なら警察に被害届を出したり、裁判に訴えたりすることもできるが、『いじめ』だとそうしたこともやりにくく、被害者が絶望してしまうのは当然」といった声が上がった。
さらに踏み込み、フランスの事例を挙げて「授業中にいじめる子を警察が捕まえにいくぐらいのことが必要だと思う」と、司法の積極的な介入を求めるコメントも見られた。
また、スマートフォンの普及が状況を深刻化させているとの指摘もある。「今はスマホがある以上、余計なやりとりが本当に多い」とし、「いざというときは親子ケンカしてでも、親が突っ込まなきゃいけない場合がある」と、子のプライバシーに踏み込んででも状況を把握する必要性を訴える意見もあった。
一方で、無理に学校へ通う必要はないという視点からのコメントも寄せられた。「今は自宅でも授業と同等の勉強をするシステムやサービスがあるそうです。無理して学校に行くことはないです」とし、通信制などの選択肢を提示する声もあった。
トモコさんの母親が5年半の時を経てスマートフォンのロックを解除し、いじめの証拠を発見したことで、事態は再調査へと動いた。コメント欄では、この問題をきっかけに、いじめへの対処法や親子関係のあり方など、多角的な議論が交わされている。
◆◆◆
この文章の本編は、以下のリンクからお読みいただけます。
(「文春オンライン」編集部)

弟の遺体を自宅に放置した疑い 71歳の兄を逮捕 福島市

弟の遺体を自宅に放置した疑いで福島市に住む71歳の男が逮捕されました。
死体遺棄の疑いで逮捕されたのは、福島市松川町の無職、岡部一男容疑者(71)です。
岡部容疑者は1月上旬から3月29日までの間、同居していた実の弟・弘さん(68)とみられる遺体を自宅に放置した疑いがもたれています。
警察によりますと、29日岡部容疑者の親族から「郵便物が溜まっている」との届け出を受け、警察官が自宅を訪れたところ遺体を発見したということです。
岡部容疑者は、弟の弘さんと2人で暮らしていたということで、警察は遺体の死因や遺棄した動機について捜査を進めています。

墨田産院の新生児取り違え 生みの親見つからず 東京都調査報告

1958年に東京都立墨田産院(88年に閉院)で起きた新生児の取り違えを巡って、都は30日、実の親の調査を求めた訴訟で勝訴した江蔵(えぐら)智さん(67)に、生みの親を見つけられなかったとする調査報告書を手渡した。調査を終了する。
江蔵さんは46歳だった2004年、DNA型鑑定で育ての両親と生物学上の親子関係がないことが判明した。都を相手取った訴訟を起こしたところ、取り違えを認定し都に2000万円の賠償を命じる判決が06年に確定した。
しかし都が生みの親の調査に協力しなかったため、21年11月に再び提訴。東京地裁は25年4月、「出自に関する情報を知ることは、憲法13条が保障する法的利益だ」として都に調査を命じた。
都も江蔵さん側も控訴せず、判決は確定。都は江蔵さんと同時期に墨田産院で生まれた可能性がある男性に、DNA型鑑定への協力を依頼する文書を送るなどしていた。今年2月下旬にも対象者に文書を送ったが新たな協力者を得られず、これ以上都から働きかけるのは困難と判断した。【遠藤龍、柳澤一男】