菓子とパンを1つずつ…スーパーで万引きし取り押さえようとした72歳の女性警備員にケガさせ逃走か 53歳男を逮捕

愛知県安城市のスーパーで4月14日午後、食料品を万引きしたうえ取り押さえようとした72歳の警備員の女性にケガをさせた53歳の男が逮捕されました。 警察によりますと4月14日午後0時40分ごろ、安城市篠目町1丁目の「バロー安城店」で、72歳の警備員の女性が菓子1つとパン1つ(計298円)を万引きした男を見つけ、店を出たところで声をかけて取り押さえようとしました。 男は抵抗し、警備員の女性は転倒させられるなどの暴行を受け、左肩を打撲するなどの軽いケガをしました。 男は現場から逃走しましたが、通報をうけた警察に敷地内で確保され、午後10時43分、強盗致傷の疑いで逮捕されました。 逮捕されたのは岡崎市若松東1丁目に住む無職、芦刈哲也容疑者(53)で調べに対し「間違いありません」と容疑を認めています。

富士山&五重塔と桜の競演、訪日観光客押し寄せ「もう限界」…混乱避けようと異例の「取材NG」に

富士山と五重塔の眺望が望める「新倉山浅間公園」(山梨県富士吉田市)に訪日観光客らが大挙して訪れ、市がメディアの取材自粛を求める異常事態が起きている。今月から市主催の「桜まつり」が開かれており、富士山、五重塔と桜の競演目的の人々が押し寄せ、渋滞対策などに手が回らない状況だ。混乱を防ぐための「取材規制」だが、止まらぬ人波に自治体からは「もはや限界」との悲鳴も上がる。(涌井統矢)
「富士山と桜、五重塔の競演は日本らしい光景で海外でも有名よ」。11日、訪日客らであふれた公園内で、オーストラリアから訪れた観光客(28)は、目当ての風景を撮影しながら笑顔を見せた。
市などによると、2015年に公園の桜の風景が旅行ガイドで取り上げられたことなどをきっかけに、SNSなどを通じて世界的に注目を集めた。桜が見頃のこの時期は、特に人が増えるという。
普段から渋滞対策などが課題だが、今月は自家用車や観光バスの往来で、付近の地元住民が利用する道路各所で、いつも以上の長い車列ができている。

そもそも、桜まつりは、こうした渋滞の緩和などを目的に16年から始められたイベントだ。狙いは訪れる人の管理にあったという。
イベントが開催される期間中は、事故防止や円滑な交通の確保のために、所轄警察署長の許可を得た上で通行規制が可能となる。市の担当者は「地域を活性化できるだけでなく、渋滞緩和や来訪者コントロールも期待できる取り組みと考えていた」と振り返る。
こうした規制に加えて、市では警備員も通常時の3、4倍の約50人に増員するなど対策を講じてきたという。
しかし、まつりの来訪者は、市の想定を超えて増えていく。16年の第1回は約6万人だったが、昨年は27万人以上が訪れた。堀内茂市長は10日の定例記者会見で「なかなか防ぐ手立てがないというのが本音」「市でできることはある程度限界」などとこぼした。
市では、報道を見た観光客が公園に殺到する事態を避けようと、今年は展望デッキ内での撮影や開花状況を報じる取材の自粛をメディアに求めた。
初めての対応といい、市の観光サイトには「今年は、混雑や交通渋滞の回避、安全確保のため取材はすべてお断りさせていただきます」との一文が掲載された。

市では、来月の大型連休や紅葉シーズンも同様の事態が起きることを憂慮する。
桜まつりの期間は18日までで、終了すれば生活道路への通行規制もできなくなるため、観光客のマナーも「モラル頼り」に戻る。
公園近くに住む70歳代の男性は「規制がない時は車が公園の真横まで入り込もうとして、狭い道ではすれ違い時に渋滞や接触事故が絶えない」として、「道路の一方通行化など更なる対策が必要では」と不満げだ。
平時から一定の秩序を保つために市では、今年度から周辺の市営駐車場4か所を有料に切り替えたほか、公園の展望デッキ有料化も検討を進めているが、効果は不透明だ。すでに交通マナーの悪化やゴミのポイ捨てなどへの対策として常時15人ほどの警備員が配置され、トイレ清掃費なども含めて年間1億円以上が対策費に充てられている。
桜まつりを担当する富士山課の勝俣美香観光担当課長は「市だけでは対策が難しい部分もある。道路標識に英語を加えるなどの国際基準化や、入国時に観光公害について注意喚起するなど、県や国にも本腰になって対策を進めてほしい」と訴えた。

「1回だけ」のはずだった闇バイト、大学は退学し親友は「縁切るね」…20代女性受刑者の後悔と涙

闇バイトに応募し、特殊詐欺の実行役として実刑判決を受け、福島市の福島刑務支所に服役中の女性受刑者(23)が読売新聞の取材に応じた。音楽バンドの「推し活」の費用欲しさに「1回だけ」と気軽な気持ちで始めたものの抜けられなくなり、犯行を重ねてしまったと証言した女性。「勇気を出してもっと早く裁きを受けるべきだった」と悔やみ、涙を流した。(高田彬)

福島刑務支所の一室で記者と面会した女性受刑者は、「前科もないし、1回だけなら、ばれないんじゃないかと応募してしまいました」とはっきりとした口調で語り始めた。
きっかけは、バンドの推し活で、コンサート会場への航空運賃や宿泊費が3、4万円足りなかった。2021年10月、X(旧ツイッター)でお金を借りようと検索するうちに「闇バイト」と書かれた投稿にたどりつき、一番上の投稿に連絡を入れた。

数日後、女性は東北地方で、ある住宅のインターホンを押していた。顔を出した高齢の女性は別の指示役と電話で話をしていた。
高齢女性は、「あなたの口座が犯罪に使われている。女性の警察官を向かわせるのでキャッシュカードを預けてくれ」との説明を受け、女性受刑者を警察官だと信じ込み、家に入れてくれた。
女性受刑者は、イヤホンを通じて指示役に指示されるまま、キャッシュカードを受け取り、穴あけパンチでカードに穴を開けてみせた。「これで使えなくなりました」とうそをつき、カードを預かる。帰り際、「気をつけてください」とも言った。自分の取り分は45万円。だまし取ったカードで引き出した額の1割だった。

「とんでもないことをした。もう二度とやらない、犯罪に手を染めたことは墓場まで持って行こう」
そう悔やんでいたところ、3日後に指示役から「もう1回やらないと捕まるけど、どうする?」と連絡が入った。「それ、脅しですよね」と言い返したが、「そうだよ。俺たち血も涙もないからさ」と言われた。
実家の住所や大学名を伝えていた。家族に危害が及ぶかもしれないと思うと、従うしかなかった。大学の授業がない週末に毎週「出勤」させられた。指示役に言われるがまま、知らない家のインターホンを押し、警察官を装ってキャッシュカードや現金をだまし取った。
やめたいと何度も伝えた。「実家に帰ったら家族が殺されているのではないか。もう死にたい」。そんなことすら頭をかすめた。途中からは「やめたいから」と報酬を受けとらなかったが、約1か月後に逮捕されるまでにおよそ150万円を手にしていた。検察からは被害総額は約2000万円と聞いた。

窃盗と詐欺罪で懲役3年6月の実刑判決を言い渡され、大学を退学した。親友からも「親が心配しているから縁を切るね」と連絡があった。
刑務支所のテレビで闇バイトの特集番組を視聴し、新たな被害者を知るたびに心が痛む。「自分の人生を棒に振っただけでなく、被害者の家族にも影響を与えてしまった。身近な人にすぐに相談しておけばよかった」

「リュックに爆弾」男逮捕 万博ゲート、業務妨害容疑

大阪市の人工島・夢洲の大阪・関西万博西ゲートで警備員に「リュックサックの中に爆弾がある」と話すなどしたとして、府警は14日、威力業務妨害容疑で無職の男(80)=大阪府高槻市=を逮捕した。府警によると万博開幕後、会場での逮捕者は初。
府警によると、「やったことは間違いないが、運営を邪魔するつもりはなかった」と容疑を一部否認している。リュックに爆発物は入っていなかった。
逮捕容疑は14日午前、万博西ゲートで手荷物検査係の警備員に「リュックサックの中に爆弾あるんや」などと伝え、来場者の避難誘導を余儀なくさせるなどした疑い。
大阪・関西万博は13日に開幕した。

遺書を残して…セブンイレブン店長が労災認定、広報が回答した「答える立場にない」の真意

「休みなくて、長時間があたりまえ」
「シフトをうめるためにいくら働いても、自分がきついだけ」
「コンビニの店長なんてただただいいように使われるだけ」
2022年7月にこうした遺書を残して自死したのは、大分県のセブン-イレブンで店長をしていた38歳の男性。
男性は6か月間で1日も休日がなく、男性の妻は過労で精神障害をきたしたと訴えて労災を申請し、2024年11月に連続勤務を原因とした労働災害と認定された。
セブン&アイ・ホールディングスの労務管理
本部としての労務管理などについてセブン&アイ・ホールディングス広報は、労基署の判断内容は把握していないとし、「フランチャイズの個店に関わる内容で、本部として答える立場にない」などとコメントしたと朝日新聞に報じられた。
このコメントに対し、SNS上ではこのような意見も。
《名ばかり店長が過労死してもフランチャイズ本部が責任取らないなんて酷い話》
そこでセブン&アイ・ホールディングスに、なぜ「答える立場にない」のか、その根拠を聞いた。
「一部報道にありました『加盟店における労災認定』の件につきましてお亡くなりになられた加盟店従業員様、そしてご家族の皆様に謹んでお悔やみを申し上げます」(セブン&アイ・ホールディングス広報)
と故人、遺族に追悼の意を示したうえで、
「本案件につきまして、該当の加盟店従業員様と本部は、直接的な雇用関係にはなく、個人情報保護の観点からもお答えが叶わなかったこと、また、従業員様のご遺族からのご了承がなく、さらに、ご質問に係る労基署による労災認定の有無や判断内容等につきまして、お亡くなりになられた従業員様のご遺族及び労基署から情報等の開示を現在まで受けていない中でご回答を差上げました」(セブン&アイ・ホールディングス広報、以下同)
と「答える立場にない」と冷酷にも思える回答をしたのは、男性店長とは直接的な雇用関係にないこと、情報が不足していたためだと説明。
「あくまでフランチャイズ契約上は、従業員様の労務管理は加盟店の役割ではございますが、フランチャイズ本部としても非常に重要であると認識しており、これまでも加盟店オーナー様の個人事業主としての経営の主体性を尊重しながらも加盟店の適切な労務管理を支援する仕組みを提供し、問題が確認された場合については常に改善に向けたアドバイスを実施してまいりました」
と労務管理は加盟店の責任でありアドバイスはしてきたと述べ、再発防止の意志をこう表した。
過重労働を把握
「今般の事案を受け、本部といたしましても、あらためて加盟店における労務管理についてのサポートを強化し、このような痛ましい事案が発生することがないよう再発防止に向けた対応に尽力してまいります」
男性店長の勤務時間データが本部に送信されていたことについては、
「勤務時間データに関しまして、本部は役割分担としてシステム提供を行う中で、オーナー様より給与計算に関わる勤務データを提供いただき、給与支払の代行を行うことで加盟店オーナー様の負荷軽減を図る仕組みを提供しています。
あくまで支払額計算の基礎データとしてのみ使用しており、他の目的でのデータ抽出・使用は行っておりません」
確かにオーナー側の責任かもしれないが、本部が「24時間営業」というビジネスモデルを展開していることで起こった労働災害ということを忘れてはならない。
勤務データはあくまで給与計算のためとしているが、過重労働を把握しておきながら、見過ごしたのは事実だろう。
「明日の笑顔を共に創る」をキャッチコピーにしているセブン-イレブン。
従業員を笑顔にすることに全力を尽くし、同様の悲劇を生まないことを切に願う。

萩生田光一が主張「企業・団体献金」消滅の大弊害

政治ジャーナリストの青山和弘が政党や各界の論客をゲストに招き、日本の政治を深掘りする「青山和弘の政治の見方」。今回はゲストに自民党の萩生田光一・衆議院議員を迎え、くすぶり続ける「政治とカネ」問題などについて、じっくり聞いた。
※記事の内容は東洋経済の解説動画シリーズ「青山和弘の政治の見方」の下記の動画から一部を抜粋したものです。外部配信先では動画を視聴できない場合があるため、東洋経済オンライン内、または東洋経済オンラインのYouTubeでご覧ください。

――政治とカネの問題がくすぶり続けています。4月にも、かつて安倍派の幹部だった世耕弘成・衆議院議員の参考人招致が予定されています。こういった状況をどう見ていますか。
【動画を見る】くすぶり続ける裏金問題/役職停止処分が終了/旧安倍派vsそれ以外/商品券を配るセンスは…/見返り求める献金は断る/トランプ関税への対応策/減反政策の見直し【青山和弘の政治の見方(萩生田光一)】
参議院側で(参考人招致について)提案があって、よもや自民党まで全会一致で賛成するとは、私にはちょっと違和感がありました。
もしかすると参議院内部に「旧安倍派vs.それ以外」みたいな確執があって、パフォーマンス的に決定されたことかもしれないし、本当に世耕さんを呼んで話を聞かなきゃいけないのかもしれない。そこはわかりませんが、ではなぜこういう形で、なぜ世耕さんだけなんだと。
ほかにも関係者はいますし、それぞれ発言が違ったということであれば、なおさら全員呼ばないと不公平感があるように感じます。
――旧安倍派の裏金問題はまだ全容解明に至っていません。追及はまだまだ続いていくと。
終わりはきっとないんだと思います。間違いを起こしてしまったのはわれわれのグループ(旧安倍派)です。私も含めてメンバーの多くは、派閥のルールをしっかり守っていたんだけど、そのルールそのものが間違っていた、違法だったという事態でした。
だから自分たちとしても「え?」というところがあったんですが、俯瞰して見ると国民の皆様の政治不信を招くことになってしまったし、その責任は重大だと思っています。どこかで終わりではなくて、一人ひとりがそれぞれの政治活動を通して信頼を回復していくほかないんだろうと。
派閥にはいい面もあった
――そんな中で「10万円の商品券」問題が起きました。今回、石破茂総理が新人議員に配布したという個別の問題だけでなく、自民党で綿々と続いてきた体質への批判も集まっています。

参院選で自民が目論む「石原伸晃外し」…東京選挙区の“目玉候補”に菊川怜、NPO女性代表の名前

策を弄しているようだ。
自民党が参院選に向け、東京選挙区の目玉候補として俳優の菊川怜氏の擁立を準備しているという。11日に月刊誌「FACTA」が報じた。その数時間後に、今度は共同通信が特報。自民が、難民申請者を支援するNPO法人代表理事の渡部カンコロンゴ清花氏を擁立する方向で調整中だという。
同選挙区で自民は2人擁立する方針で、1人は現職の武見敬三前厚労相で決定。もう1人の候補として、同じタイミングで2人の名が挙がったことに「何かしらの意図を感じる」(永田町関係者)との声が上がる。背景に、あの“問題政治家”の出馬を阻む狙いがあるとみられている。2021年衆院選で落選した石原伸晃元幹事長のことだ。23年に「25年参院選で東京選挙区に鞍替え出馬する」と宣言していた。
「伸晃さんは、21年に自身の政党支部が新型コロナで困窮した事業者に支給される雇用調整助成金を受領していたことが発覚。猛批判を浴びました。彼を擁立してもマイナスにしかならず、下手すれば武見さんと共倒れです。なので、もう1人は『女性の目玉候補でなければダメ』とメッセージを送り、伸晃さんに出馬を断念させる意図があるのだろう」(自民関係者)
“地味キャラ”武見敬三氏の救済のための奇策?
確かに、伸晃氏では話にならないのは理解できる。しかし、菊川氏や渡部氏で自民は逆風をはね返せるのか。同選挙区は改選数6だが、今回は非改選の欠員補充と合わせた「合併選挙」となり、当選は7人。7位の候補は補欠選挙の当選者と扱われ、任期は3年だ。
既に主要政党では、立憲民主党2人、公明党1人、共産党1人の擁立が決定。さらに、党勢好調の国民民主党に、れいわ新選組、日本維新の会が候補者を選定中だ。
「知名度が高い菊川さんなら、当選は堅いだろう。ただ、彼女が自民支持層の票を取りすぎて地味な武見さんが落選する恐れがある。そのため、菊川さんには全国比例に回ってもらい、渡部さんに東京から出てもらう案も練っているのではないか。渡部さんはどちらかといえばリベラルなため、自民支持層は『それなら武見さんに入れよう』と考えてもおかしくない。菊川さんで話題をつくり、武見さんを救済するための“奇策”の可能性があります」(官邸事情通)
有権者は裏金自民の動きをよく見ておくべきだ。
◇ ◇ ◇
5万円で“票を買おう”としているのか? 与党内で全国民を対象とする一律3万~5万円の現金給付案が浮上も、夏の参院選に向けたミエミエ“選挙対策”に、国民は冷ややか…。●関連記事【もっと読む】『自公の「5万円バラマキ」案は“選挙対策”ミエミエで完全裏目…過去の政府給付金は空振りばかり』で詳報している。

岸本周平・和歌山県知事が死去 68歳 14日に倒れ意識不明に

和歌山県の岸本周平知事が15日、和歌山市内の病院で死去した。68歳。14日午前10時15分ごろ、秘書が市内の公舎を訪ねたところ、意識不明の状態で倒れている岸本氏を発見。救急搬送され、集中治療室(ICU)で治療を受けていた。
岸本氏は前日の13日、この日開幕した大阪・関西万博を訪れ、県も出展する「関西パビリオン」のセレモニーに参加、みこしを担ぐなどした。夕方には、フェイスブックに東京で会談する様子を投稿。14日午後には、和歌山県新宮市でタウンミーティングに出席する予定だった。現職知事の死亡は2018年の翁長雄志・沖縄県知事以来。
岸本氏は和歌山市出身。東京大を卒業後、旧大蔵省に入り、トヨタ自動車を経て09年の衆院選で初当選。旧民主党政権では経済産業政務官を務めた。国民民主党の幹事長代行だった22年、離党して、無所属で知事選に立候補。自民、立憲民主、国民民主各党などの推薦を受けて初当選した。
県政では専門知識を基に財政再建に取り組んだほか、南海トラフ巨大地震に備えた防災対策にも尽力した。民間での経験を生かして幅広い人脈を築き、飾らない人柄でも知られた。
プリンストン大で教壇に立った時期もあり、著書「中年英語組――プリンストン大学のにわか教授」では、英語の習得に苦労した様子をユーモアたっぷりに描いた。柔道の有段者で、関係者との食事会では畳で受け身を披露するなど、サービス精神も旺盛だった。【安西李姫、駒木智一、加藤敦久】

東電、2回目の燃料デブリの試験取り出しに着手 福島第1原発

東京電力は15日、福島第1原発2号機で、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の2回目の試験取り出しに着手した。初めて試料を回収した2024年11月の前回と同じ手法で、別の地点から採取を試みる。最大3グラムを2週間程度かけて回収する予定だ。1~3号機には推計880トンの燃料デブリがあり、取り出しは廃炉の最難関とされる。
東電はこの日、原子炉を支える土台(ペデスタル)底部の燃料デブリの採取に向け、釣りざお式の装置を格納容器内に投入した。今後、装置先端の器具を底部に垂らし、燃料デブリをつかんで引き抜く。
前回より原子炉の中心に1~2メートル近い地点での採取を目指す。前回と異なる組成の試料を採取して分析を進めることで、今後の取り出しや保管の工法検討に生かす狙いがある。現場の障害物の有無など詳細な状況は不明なため、カメラで確認しながら採取できるか判断する。
前回も釣りざお式の装置で土台底部から0・7グラムの燃料デブリを回収した。しかし高線量の作業環境が影響し、着手直前にパイプの接続順を誤り、作業が中断。着手後も装置先端のカメラが映らなくなるトラブルが発生した。今回は3月下旬からパイプの接続順を確認する訓練を実施し、カメラの交換と器具の改良も行った。
東電は当初、幅広い動作が可能なロボットアームを使い、21年中に試験取り出しに着手する予定だった。しかし開発が遅れ、3度の延期を経て、釣りざお式の装置に変更した。2回目の取り出しもロボットアームで24年度中に行うとしていたが、不具合などで前回の装置を使うことになった。ロボットアームは開発から6年以上たっても調整が続いており、東電は25年度後半の利用開始を計画している。【木許はるみ】

石破政権vsトランプ関税は早くも「負け戦」確定か…交渉前から“お人よし”でカードを1枚失う

石破首相が「国難」と呼ぶトランプ関税の交渉に向け、最側近の赤沢経済再生相が16日に訪米する。翌17日にはカウンターパートであるベッセント米財務長官と協議するが、悲しいかな、米政府内では「ミスターアカザワ? 誰?」という程度の認知度。最大の懸念である自動車関税は大丈夫か。先が思いやられる。
◇ ◇ ◇
協議に先立ち、政府は赤沢氏と林官房長官を共同議長とする省庁横断の「総合対策タスクフォース」を設置。オールジャパン体制で米側との関税交渉に臨む気合を見せるが、どうにも不安は拭えない。自動車関税を巡る石破政権の国会答弁に歯切れの悪さが目立つのだ。
14日の衆院予算委員会は、トランプ関税について集中審議を開催。ヤリ玉にあがったのは、第1次トランプ政権と安倍政権が2019年9月の日米首脳会談で最終合意した日米貿易協定(翌20年発効)だ。
日本側は米国産牛・豚肉への関税を環太平洋パートナーシップ協定(TPP)並みの水準に引き下げ、譲歩した代わりに、安倍元首相は国会で「日本の自動車・自動車部品に対して追加関税が課されないことは、日米首脳会談において私から直接トランプ大統領に確認しています」と胸を張ったものだ。
ところが、約束を取り付けたはずなのに、トランプ大統領は先月26日、日本車を含め輸入車に25%の追加関税を課すと発表。約束など知ったこっちゃないとばかりに、今月3日から発動した。
予算委で立憲民主党の後藤祐一議員が「約束違反じゃないですか」と指摘すると、赤沢氏は「協定との整合性については深刻な懸念を持っている」とモゴモゴ。「(追加関税)措置の見直しを強く申し入れております」と述べるにとどめた。
安倍元首相は本当にトランプ大統領と約束したのか。それとも単なる口約束だったのか。首脳会談の議事録の国会提出を求める後藤氏に対し、石破首相は「安倍総理からトランプ大統領に明確に確認をしたと承知している」などとノラリクラリ。
「外交上のやりとり」を盾に提出を拒んだ。隠せば隠すほど「本当に約束したのか?」との疑念は尽きない。
「約束した」のであれば、反故にしたトランプ大統領に厳しい態度で臨んでしかるべきなのに、石破政権は「極めて遺憾」の一点張り。交渉前から「負け戦」のフシすらある。
4月1日から米国産品は関税引き下げ
米国は本来、日米貿易協定に基づき日本車の関税をゼロにするはずが、逆に追加関税を発動。対して日本は、米国産牛肉などへの関税を予定通り引き下げたのである。