高市総理大臣は、12日夜予定されていた中東諸国の大使らとの会合などを急きょ欠席しました。総理大臣官邸は風邪の疑いだとしています。
高市総理は12日夕方、衆議院予算委員会での答弁を終えた後、しばらく席から立ち上がれず、心配した閣僚らが気遣う場面もありました。高市総理はその後、総理公邸に戻り、夜に予定していた中東諸国の大使らとの会合などを欠席しました。
総理官邸は、「風邪の疑いで医務官の治療を受けた。念のため公邸で休息することにした」と説明しています。ある政府高官は「少し疲れていたようだ」と話しています。
中東諸国の大使らとの会合には木原官房長官が代理で出席し、中東情勢の悪化を受けて、「日本にとっても中東地域の平和と安定は極めて重要であり、事態の早期沈静化にむけてあらゆる外交努力を尽くしていく」と呼びかけました。
木原官房長官「中東沈静化に努力」=イスラム大使と夕食会
政府は12日、中東地域などイスラム諸国の駐日大使らと恒例の夕食会「イフタール」を首相官邸で開いた。木原稔官房長官はイラン情勢の悪化を念頭に、「日本にとって中東地域の平和と安定は極めて重要だ。事態の早期沈静化に向けあらゆる外交努力をしていく」と強調した。
木原氏は「日本とイスラム諸国が協力し合うことがこれまで以上に重要になってきている」とも呼び掛けた。外務省によると、在日イラン大使館関係者は出席しなかった。
夕食会に先立ち、木原氏は湾岸協力会議(GCC)に加盟するペルシャ湾岸諸国の駐日大使らと面会した。
いずれも高市早苗首相が出席する予定だったが、体調不良を理由に欠席した。イフタールはイスラム教のラマダン(断食月)期間中、日没後に取る食事を指す。 [時事通信社]
【解説】高市首相“こだわりの3時間” 石油備蓄…異例の「先行放出」決断のウラ側は?
石油の備蓄について高市首相は11日夜、各国に先駆けて日本単独での放出を発表しました。日本テレビ政治部・官邸キャップの矢岡亮一郎記者が、そのオモテとウラ側を解説します。
──まずオモテの動きとして「日本単独の先行放出」は、異例の決定だったのですよね?
おっしゃる通りです。石油備蓄の放出は、国際的に連携、協調して行う「協調放出」が一般的で、日本が単独で先に放出を表明するのは異例のことです。そして今回は、高市首相の積極姿勢が際立っていました。
オモテの動きとして、高市首相は11日、福島県で東日本大震災の式典に出席した後、夜に東京に戻ってきましたが、午後7時半ごろに自ら発表しました。
高市首相はその場で「日本が率先して」と強調していましたが、ある首相周辺は、「G7・IEA(=国際エネルギー機関)より前に発表することに意味があった」と解説しています。
というのも、11日夜は午後11時からG7首脳によるオンライン会合がありました。また同じ時間帯に、32か国が加盟する国際機関のIEAが「協調放出」を全会一致で決めています。
この3時間あまり前に、日本が単独で先駆けて備蓄放出を発表したことは、ここに意味があり、高市首相のこだわりがあったと、首相周辺は解説しています。
──なぜ先駆けて発表する意味があったのですか?
ここからがウラ側です。
ある外務省幹部は、このこだわりの3時間前の発表には、「世界をリードする狙いがあった」と話しています。この「世界」という言葉、2つの地域を意味しています。
まず、アメリカです。この外務省幹部は、日米首脳会談を来週に控えて「結果的にトランプ大統領にもいい流れを作った」とも話しています。
というのも、トランプ大統領は今年秋に中間選挙を控えて、国内でのガソリン価格の高騰に頭を悩ませています。この沈静化を、高市首相がリードしたという外交的メッセージ。
もう一つ、「世界」が指しているのは、ヨーロッパです。ある外相経験者は、「ヨーロッパの一部の国には、備蓄放出に慎重な国もあった」と話しています。首相周辺も「ヨーロッパは、中東依存度が高いアジアほど影響を受けない。危機感に濃淡がある」と解説しています。
今回、備蓄の放出では、先手を打った高市首相ですが、これをいかに実効性のあるものにしていけるのか。
来週はワシントンを訪れて、トランプ大統領との首脳会談も控えています。内政・外交の手腕が引き続き問われます。
【独自】自衛隊と米軍、機密情報共有へ ミサイル共同生産推進も
日米両政府は、自衛隊と米軍の抑止力、対処力を向上させるため、機密情報の共有を拡大する方針を固めた。日米が統合的に意思決定するための基盤を整備する。自衛隊の情報保全能力強化に向け、機密性の高い米国の「セキュリティークラウド」の導入を検討する。19日に予定する日米首脳会談で協議する見通しだ。これと別に日米によるミサイル共同生産の推進も議論する可能性がある。複数の日米関係筋が12日明らかにした。
高市早苗首相とトランプ米大統領は会談で、日米同盟の深化を確認する方向だ。機密情報共有や意思決定への態勢構築が進めば、自衛隊と米軍の一体化が加速することが懸念される。
関係筋によると、日米の事前協議で米側はサイバー防衛強化を求めた。米軍の要求水準を満たす日本のクラウド事業者は少ないため、日本側が米企業と契約する案が浮上している。
自衛隊と米軍が収集した機密情報を人工知能(AI)に取り込み、攻撃目標を効率的に選定する取り組みも想定している。指揮・統制能力の向上を図る狙いだ。
国民・玉木代表、予算案「反対の方向」=委員長解任案同調も
国民民主党の玉木雄一郎代表は12日のBSフジ番組で、2026年度予算案の賛否について、党内で議論して最終的に判断するとした上で、「反対の方向になると思う」と述べた。与党が13日の採決を野党の反対を押し切って決めたことを挙げ、「財政民主主義を軽んじている」と批判した。
国民民主は、中道改革連合など野党4党が共同提出した坂本哲志衆院予算委員長(自民党)の解任決議案に加わらなかった。玉木氏は「(決議案を)否決されると信任を与えてしまう」ことなどを勘案したと説明。賛成する可能性は「十分ある」と述べた。 [時事通信社]
国民会議実務者が初会合、「給付付き税額控除」の制度議論…国民民主が参加
食料品の消費税減税や「給付付き税額控除」について検討する超党派の「社会保障国民会議」の実務者会議は12日、国会内で初会合を開いた。政府と自民党、日本維新の会、チームみらいに加え、国民民主党が参加した。夏前の中間とりまとめを目指し、具体的な制度設計などを議論する。
実務者会議は2月26日に発足した親会議の下に設けられた。国民民主は親会議の初会合には出席しなかったが、議事の公開などの要求が受け入れられたとして参加に転じた。政府・与党が参加を呼びかけている中道改革連合、立憲民主、公明の3党は引き続き出席を見送った。
議長に就いた自民党の小野寺五典税制調査会長は会議の冒頭で、「国民の受益と負担、国民経済に大きな影響を及ぼす。党派の垣根を越えて議論していきたい」と呼びかけた。
この日は、減税と給付を組み合わせた「給付付き税額控除」を導入している米国や英国、フランスなどの海外事例について政府側から説明を受けた。次回以降の会議では、消費税減税の影響を受ける小売業や外食産業、農業の団体などから意見聴取することを確認した。
消費税減税を巡っては、高市首相は「つなぎ措置」として2年間に限った食料品の消費税率ゼロの実現を訴えている。これに対し、国民民主、みらい両党は慎重姿勢を崩しておらず、この日の会議でも「期待よりも懸念の方が大きい」(みらいの古川あおい政調会長)などの声が上がった。自民内でも、社会保障財源である消費税の減税に対する抵抗感は根強い。
一方で、首相が改革の「本丸」に位置付ける給付付き税額控除の導入は、両党ともに前向きだ。
国民民主の古川元久代表代行は会議で、自身の長年の持論であったとし、「実現に向け、積極的に協力していきたい」と強調した。同党は住民税控除と社会保険料の還付を組み合わせた独自案をまとめており、会議に示す構えだ。
給付付き税額控除には、所得や資産の把握など課題が多く、自民の田村憲久・元厚生労働相は「まず簡易な中で進め、徐々に精度を上げればいいのではないか」との考えを示した。
首相が推進姿勢を示すまで自民内ではほとんど論議されておらず、「白地から議論する」(小野寺氏)のが実情だ。今後、有識者会議で論点整理を進め、実務者協議は週1回のペースで開催する。
【詳報】昆虫食べればペナルティ減らす 数種類の非食用“昆虫鍋”を無理やり食べさせたか 44歳会社役員の男は仕事のミスをペナルティ化して現金要求 「ゲーム」と称された異様な手口
2023年5月、北海道小樽市にある会社で、30代の女性従業員に無理やり昆虫入りの鍋を食べさせたとして44歳の会社役員の男が逮捕された事件で、男が食べさせていたのは、数種類の食用ではない昆虫だったことが新たにわかりました。
強要の疑いで逮捕された、札幌市西区に住む44歳の会社役員の男は2023年5月、小樽市にある会社で、当時部下だった30代の女性に昆虫入りの鍋を食べることを強要し、無理やり食べさせた疑いが持たれています。
警察によりますと、男が無理やり食べさせていたのは数種類の昆虫で、イナゴなどの一般的に食べられる昆虫ではなかったことが新たにわかりました。
「ペナルティ」減らすためには昆虫食べろ
さらに男は、被害女性の仕事上の小さなミスを「ペナルティ」として現金を要求し、給料を減らす追い込みをかけていました。 「ペナルティ」はポイント制で、積み上がったポイントは昆虫を食べることで減る仕組みでした。この行為は「ゲーム」と称されていました。
事件があった年の12月に、被害に遭った女性が「会社を辞めたいが辞めさせてもらえず、上司ともめている」と警察に通報したことで事件が発覚しました。
現場には4人の従業員 男の余罪は…
当時、事件現場には被害女性と男、さらに従業員2人がいて、警察がそれぞれに事情を聴き、容疑が固まったとして男を強要容疑で逮捕しました。
警察の取り調べに対し、44歳の男は「虫を食べさせたのは間違いないが、強要はしていない」と一部容疑を否認しています。
警察は、男に余罪があるとみて調べを進めています。
衆院選で二重投票をしようとしたか 愛知の男性を書類送検 気づいた係員に「なりすましされたのでは 投票させろ」と話す
先月の衆院選で、期日前投票を済ませていたにも関わらず、投開票日にも二重に投票しようとしたとして、愛知県に住む男性が書類送検されました。 警察によりますと、書類送検された愛知県内の男性は、先月の衆院選総選挙で期日前投票を済ませていたにも関わらず、先月8日の投開票日にも二重に投票しようとした疑いが持たれています。 男性は、入場券を持参せずに期日前投票を済ませ、投開票日には入場券を持って再度投票しようとしたとみられ、気付いて声をかけた係員に対し、「誰かになりすましされたのではないか。投票させろ」などと話していたということです。 男性は本人確認をされずに投票できるということをSNSで知ったと話しているということで「大切な一票がこんなにいい加減に管理されていると思うと怒りを感じた」などと容疑を認めているということです。
復興計画策定の6割で外部コンサル利用 9割弱が東京本拠 本紙調査
東日本大震災後のまちづくりの方針を定めた復興計画の策定にあたり、被害の大きかった岩手、宮城、福島3県42市町村で外部のコンサルティング会社を利用した計画の割合が62%に上ることが毎日新聞のアンケートでわかった。
このうち86%は東京都内に本社のあるコンサルで、大半が大手。東京電力福島第1原発事故で全住民が避難した福島県7町村は90%と特に利用率が高かった。自治体職員の人手や知見不足を補うため重宝される一方、専門家は、地域の実情に見合わない計画内容となり、役場内や地域でノウハウが蓄積されない危うさを指摘する。
契約額は平均1724万円
復興計画は被災後の自治体運営や復興まちづくりの基軸となる。法律上の策定義務はないが、地域の将来像などを住民や国、県に示すために大半の被災自治体が策定している。毎日新聞は1~2月、復興計画や付随する関連計画のコンサルの利用状況を尋ね、全42市町村から回答を得た。
復興計画や復興まちづくり計画など地域全体に関わる計画を集計したところ、92の計画のうち57の計画でコンサルを利用していた。契約額は判明分で平均1724万円だった。
コンサルの選定方法は、地方自治法で原則禁止される随意契約が56%で最も多かった。国が契約したコンサルの利用は23%、入札は15%、公募型プロポーザル方式は6%だった。
コンサル利用の理由を選択肢を示して複数選択可で質問したところ、「職員不足」と「知見不足」が大半を占めた。コンサルの役割についても選択肢を示して複数選択可で尋ねたところ、「計画の骨格(たたき台)づくり」が最も多く、住民への説明会やワークショップの資料作成▽住民の意見の集約▽計画策定へのアドバイス――が続いた。
全住民が避難した福島県7町村(双葉町、大熊町、浪江町、富岡町、飯舘村、葛尾村、楢葉町)では、葛尾村を除き、避難指示解除の前後で改定するなど複数回にわたり計画を策定した。飯舘村は4計画で三菱総合研究所(東京)にすべて随意契約で委託(契約額計5034万円)。富岡町は8計画(同2億3560万円)中4計画(同5734万円)で日本工営(東京)を利用した。うち3計画は随意契約、1計画は競争入札だった。【最上和喜、尾崎修二】
福島第一原発事故から15年……廃炉費用の総額は8兆円 これまで費やしたのは2兆円
2011年の福島第一原子力発電所の事故から15年になる。NHKは事故対応の最重要人物だった当時の吉田昌郎所長のインタビュービデオを新たに入手。9日放送の「クローズアップ現代」で当時の事故対応について解説した。
当時アメリカから「メルトダウン(炉心溶融)している」と指摘されていたが、東京電力は「メルトダウンしていない」という発表を続けていた。
しかし、実際には1号機のメルトダウンが3月11日、水素爆発が12日に起き、3号機のメルトダウンは13日、水素爆発が14日。2号機のメルトダウンは14日だ。
吉田元所長は「考えていたのは発電所をどうやって安定化させるかということ。我々が現場を離れることは絶対にあってはいけない」と語る。2号機の局面では、ベント(格納容器内部の圧力を抜く作業)が必要とされたが、それは「意図的に放射性物質を外部に放出する」ことでもある。吉田元所長は福島第一から10キロ南にある福島第二も制御不能に陥って東日本が壊滅するという最悪のシナリオを恐れていた。
事故が起きてから政府と東京電力の間で情報共有がうまくいってなかったことはよく知られている。官邸に来ていた東電の社員に尋ねても要領を得た回答はなかった。官邸は現場スタッフの全面撤退を危惧し、菅直人首相(当時)は東電本店を訪れている。
12日早朝には自ら福島へ現地入りすることを決めたが、国の指揮官が現場を訪問している場合かという批判的な意見のほうが多かった。しかし、菅元首相は現地で吉田元所長と直接会い、「官邸に戻ってきたときの第一声は『吉田は信用できる』だった」(当時・福山哲郎内閣官房副長官)という。
15日、2号機の格納容器が壊れ、吉田元所長は70人のスタッフとともに現場に残った。そのとき「死も覚悟して1人ひとり名前をホワイトボードに書いた」などと壮絶な現場の状況を克明に語っている。そのホワイトボードに名前を書いた1人は、「自分の名前の漢字が思い出せずカタカナで書いた」そうだ。極限の緊張と疲労がそうさせたのではないか。
一連の事故対応について吉田元所長は「天の助けがないともっと酷いことになっていた」とも話す。しかし、東日本壊滅の危機は免れたものの、放射性物質は大量に放出された。
福島第一原発では現在、毎日5000人が廃炉作業にあたっており、これまで2兆円ほど費やし、総額8兆円かかると言われている。総量880トンと推定される核燃料デブリを取り出す作業が残っているが、これまでに取り出したのはわずか0.9グラムである。すべて取り出すには約68~170年かかるとの試算もある。
政府と東電は「2051年までの廃炉完了」を目標に掲げるが、廃炉作業の先行きは不透明で、ほとんどの原子力分野の専門家は政府目標の実現を無理だと考えている。