大分の大規模火災 見つかった遺体は行方不明の76歳男性

大分市佐賀関の住宅街で18日夕に発生した大規模火災で、大分県は21日、焼け跡で見つかり死亡が確認された1人が、連絡の取れなくなっていた稲垣清さん(76)と確認されたと発表した。県警がDNA型鑑定を実施して、身元が判明した。
火災は18日午後5時45分ごろ発生。県などによると、21日午後3時までに、住宅など約170棟が焼け、少なくとも4万8900平方メートルを焼失したとみられる。付近の山林や離島でヘリコプターによる消火活動が続き、21日正午時点で住民の69世帯108人が避難所に身を寄せている。【岡田愛梨】

原告に違法分を全額支給=生活保護、2.5%減額改定―厚労省

厚生労働省は21日、生活保護基準を引き下げた国の改定を違法とした6月の最高裁判決を受け、原告に対し、違法とされた引き下げ分を全額支給すると発表した。一方、同基準については当時の消費動向などの新たな指標も加味し、従来の基準と比べ約2.5%減額改定した上で、原告以外も含め一律に適用する。
原告には、改定前の支給水準と今回の改定基準との差額分を特別給付として支給する。支給額は原告が約20万円、原告以外は約10万円となる。事業費は2000億円程度で、2025年度補正予算案と26年度予算案に分けて盛り込む方針。
国は13~15年、物価の下落率(4.78%)を踏まえた「デフレ調整」と、低所得世帯との格差を是正する「ゆがみ調整」に基づき、食費などに充てる生活扶助基準を平均6.5%引き下げた。最高裁判決ではデフレ調整について、厚労相の判断に裁量の逸脱、乱用があったと判断。デフレ調整を違法と結論付け、13~15年の引き下げ措置を取り消した。一方、「ゆがみ調整」は適法とした。 [時事通信社]

「ゾウに踏まれた」千葉・市原ぞうの国で男性飼育員が死亡 額に傷、顔面骨折か

21日午前8時25分ごろ、千葉県市原市の「市原ぞうの国」で「男性がゾウに踏まれ頭に打撲を負い意識がない」と同僚の女性から119番通報があった。市原署によると、男性はタイ国籍の飼育員、サランガム・タワンさん(30)=同市山小川=で、搬送先の病院で死亡が確認された。
署によると、サランガムさんは雌のアジアゾウ1頭がいる鉄製のおり内で、1人でふんの処理をしていた。ゾウの鳴き声を聞いた職員が駆け付けた。額部分に傷があり、顔面が骨折していたとみられる。ゾウに襲われた可能性があるとみて捜査している。
市原ぞうの国のホームページによると、亡くなったのはゾウ使いで22日は臨時休園する。「今後は業務の改善を図り、安全を徹底する。来園を予定していた皆さまに深くおわびする」としている。

コンビニに尿入りペットボトル並べた疑い、26歳男「むしゃくしゃして」…購入した客が臭いに違和感

千葉中央署は21日、千葉県船橋市、自称会社員の男(26)を偽計業務妨害の疑いで逮捕した。
発表によると、男は5月24日午前11時50分頃、千葉市中央区のコンビニ店で、自らの尿を入れたお茶のペットボトル1本を冷蔵棚に並べ、同店店長に商品を点検させるなどして業務を妨害した疑い。調べに対し「いたずら程度の考えでやった。仕事がうまくいっていなかった時期でむしゃくしゃしていた」などと話している。
26日午前8時頃に商品を購入した客が同日夕に飲もうとしたところ、臭いなどに違和感を持ち発覚した。

衆議院「45議席以上」削減、自民党と日本維新の会が合意…法施行から1年以内に結論出す考え

自民党と日本維新の会は21日、衆院議員の定数削減について、現行の定数465から45議席以上の削減を目指す方針で合意した。両党は削減に向けて今国会に関連法案を提出する予定で、法施行から1年以内に結論を出す考えでも一致した。
この日、両党の実務者協議が国会内で開かれ、法案策定に向けた基本的な考え方をまとめた。
両党は連立政権の合意書に、1割を目標に衆院定数を削減する方針を盛り込んでいる。協議では、定数が420を「超えない範囲」で、「465の1割を目標に削減する」ことで折り合い、削減数は45議席以上を目指すこととなった。
削減の具体的な方法などについては、与野党でつくる衆院の協議会に委ねる考えで、選挙制度の抜本改革などと一体で協議することも申し合わせた。期限を区切るため、関連法案に「施行から1年以内に結論を得る」との文言を盛り込む。
維新は、1年以内に結論を得られなかった場合、「比例選の議席を50削減する」との文言を法案に明記すべきだと主張している。自民内には慎重論があり、両党で引き続き協議する。
自維は来週にも党内手続きを終えて野党に提案する方針だ。

「何も残っていなくても」 立ち入り禁止に落胆する住民も 大分火災

大分市佐賀関の大規模火災は発生から4日目となり、避難所から自宅に一時帰宅する住民が増え始めた。ただ、薬や着替えといった必需品を取りに戻る際に限られ、警察官の付き添いも必要だ。まだ火がくすぶり危険性が高いなどの理由で立ち入り禁止の区域もあり、帰宅できずに落胆する住民もいる。
市消防局や大分県警によると、佐賀関地区では21日時点でも、住宅街を中心に半径約200メートルの範囲の立ち入りが規制されている。
避難所に身を寄せる黒雲晴夫さん(73)は21日、父の哲一郎さん(97)が1人で暮らしていた実家に必要な書類を取りに戻った。鉄骨2階建ての築約50年の住宅の室内は黒焦げで、倒壊の恐れがあるとして中には入れなかった。何とか焼け残っていてほしいと、わずかな望みをかけていただけに、黒雲さんは「昔使っていた勉強机やアルバムを持ち出せなかった。思い出の家だったのに」とショックを隠しきれない。
一方、大分県豊後大野市の岡部智世さん(57)は、被災した母、河野ユミ子さん(88)の代わりに実家への一時帰宅を希望。だが、危険度が高いエリアと判断され、かなわなかった。
火災が起きた18日夕、実家には河野さんが1人でいた。デイサービスから帰って寝ているところを近所の人に起こしてもらい、パジャマ姿のまま避難。岡部さんは急いで車で避難所に向かい、河野さんと合流した。
岡部さんが佐賀関地区に向かう道すがら、高台から実家の周辺を見下ろすと一面が火の海だったという。実家には祖父母や父の遺影などが大切に保管されていた。家の様子を一目見たいと思い、警察官に事情を説明したが、この日の一時帰宅は許可されなかった。「何も形が残っていなくても、せめて最後は母と一緒にこの目で家がどうなったか確認したい」と声を詰まらせた。【井土映美】

国会議員の歳費、月5万円アップで調整…維新の「身を切る改革」配慮で次の国政選後の方針

自民党と日本維新の会は、国会議員の月額歳費を定める歳費法を今国会で改正する方向で調整に入った。一部野党の賛同が得られ、成立すれば、現在の月額129万4000円は5万円増の134万4000円となる。「身を切る改革」を掲げる日本維新の会への配慮から、引き上げ時期は次の国政選後とする方針だ。
複数の自民、維新両党関係者が明らかにした。引き上げが実現すれば1999年以来となる。両党は近く野党と協議を始める。衆院議院運営委員会に理事を出す立憲民主党と国民民主党の賛同が得られれば、議運委として歳費法改正案を今国会に提出し、成立を図る。
与党は、国家公務員特別職の月額給与を引き上げる給与法改正案が今国会へ提出されることを受け、歳費の扱いについて検討を続けていた。民間の賃上げの流れも踏まえ、引き上げが妥当だと判断した。
ただ、維新内には慎重な声もあるため、歳費法改正案には、参院選が予定される2028年7月の末日か、衆院解散がある月の末日のいずれかの早い日までは現行額で据え置くことを盛り込む方向だ。
議員歳費は、歳費法の規定で特別職の給与増に合わせて自動的に引き上げられてきたが、05年の同法改正でこの仕組みは削除された。

《SNSで称賛》小野田紀美大臣、一部記者からの“筋違い質問”に対する“前置き答弁”が鋭すぎて話題

自民党の小野田紀美経済安保大臣が、11月18日の閣議後会見で見せた“所轄外”の質問に対する強烈な“返し”が話題を集めている。
前置きを述べつつ個人的見解
「小野田氏は今回の高市早苗内閣で初入閣を果たし、経済安全保障担当大臣のほか外国人との秩序ある共生社会推進大臣を務め、さらに内閣府特命担当大臣ではクールジャパン戦略、知的財産戦略、科学技術政策、宇宙政策、人工知能戦略、経済安全保障と幅広い領域を担当しています。幅広い分野を手がけているのに加えて、注目を集めている政治家のため、記者会見などで“所轄外”の質問も多く向けられています」(政治ジャーナリスト、以下同)
18日の閣議後会見では、高市早苗首相の“台湾有事発言”に関する質問が寄せられた。質問を行ったのは『東京新聞』の名物記者として知られる望月衣塑子氏だ。
「望月氏は高市氏の発言を受け、外国人観光客が来られなくなっている状況について小野田氏に質問。小野田氏は『観光は国交省だとは思うんですけど、なので所管外のことは言わないようにしますけど』と前置きしたうえで、『何か気に入らないことがあったらすぐに経済的威圧をしてくるところに依存しすぎる』ことは流通網のサプライチェーンや観光にとってリスクになると“個人的見解”を述べました」
このほかにも中国の大阪総領事がXに投稿した「汚い首は斬ってやるしかない」という発言についても「いちいち私の立場からコメントは必要ないかと思うが」と前置きしつつ、「友好のために来ている人であれば、わが国の国民を脅すようなまねはよくない」と“個人的見解”を続けた。
“所轄外”の質問への見事な切り返しにネット上では、《ド正論が気持ちいい。この調子でがんばれ》《前置きからの核心を突く返しで完全に主導権を取ってるね》と、称賛の声が相次いでいる。
小野田氏が特に注目を集めたのが11月11日の会見で見せた、2022年に起こった安倍晋三元首相銃撃事件に関する“所轄外”質問に対する回答だった。
「記者から犯人の山上徹也被告が、事件前日に小野田氏がいた岡山市の集会の場に接近していた話を伝えられ、事件についての気持ちの整理はついているかと問われると、小野田氏は《一生つきません。以上です》とズバリ返して“小野田節”と話題になりました」
11日に続いて存在感を発揮した小野田氏。今後も“前置き”からの鋭い切り返しは注目を集めそうだ。

出馬会見で「強みは?」と問われた田久保真紀氏「メンタルの強さ」…学歴問題にはかたくなな姿勢崩さず

「伊東の改革を進めてもらいたいと押し上げてもらったが、5か月という短い期間での解任。まだまだやることや心残りもある」。学歴を偽ったと指摘され、市議会から2度目の不信任決議を受けて失職した静岡県伊東市の田久保真紀前市長(55)は19日、同市長選(12月7日告示、14日投開票)への再出馬に至った心情を語った。
田久保氏を含め、6人が出馬表明し、週内に2人が出馬会見を行う予定。全員が立候補すれば、同市長選最多の8人が争う大混戦が予想される。
田久保氏は前回市長選時と政策はほぼ変わらないとし、「新図書館計画は中止にして終わりではなく、市全体の図書館政策を考えていかなければいけない」と述べた。
「自分の強みは」と尋ねられた際には、「メンタルの強さ」と答えるなど、市長在職中と変わってジョークも飛び出したが、学歴問題の説明責任を問われると、「刑事告発されていてお答えできない」とかたくなな姿勢を崩さなかった。
市長選には、5月の市長選で敗れた小野達也・元市長(62)、いずれも無所属新人で、スポーツトレーナーの石島明美氏(58)、前市議の杉本憲也氏(43)、薬局会社顧問の黒坪則之氏(64)、NPO法人代表の岩渕完二氏(73)の5人が名乗りを挙げている。
候補多数で得票が分散し、有効投票総数の4分の1以上とする法定得票数を超える候補者がない場合には再選挙の可能性もある。総務省によれば、再選挙になった首長選は、1979年の千葉県富津市長選から2022年の東京都品川区長選まで7回あり、いずれも5人以上が立候補していた。
多数の候補で争われる市長選について、市内の女性(68)は「税金がたくさんかかった選挙。私たちの未来のために、候補者一人一人の政策を見てしっかり選びたい」と話した。
小売業の女性(55)は「若者が流出し、人口減や観光業の衰退など課題はある。重い1票、市民のことを考えてくれる人に投じたい」と話していた。
出馬会見での田久保氏の主な発言は以下の通り。

「“なり得る”って言っただけだから…」高市早苗“存立危機”答弁後に漏らした本音、政権内部からは「言わなくてもいいことを言ってしまって」の声

にっこりと微笑み合いながら、2人の首脳は挨拶を交わしたはずだった――。
日本初の女性総理と、大国を治め続ける大男。両者が「戦略的互恵関係を推進する」と宣言した10月31日の日中首脳会談からわずか1週間、急転直下の対立が始まった。
「戦艦を使ってですね、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます」
就任後初の国会論戦に挑んでいた高市早苗首相は11月7日の衆院予算委員会で、立憲民主党の岡田克也氏の質問にそう答弁した。
存立危機事態について、現代中国が専門の城山英巳教授が解説する。
「存立危機事態とは日本が集団的自衛権を行使できる3つの要件の1つ。認定の基準について、これまで政府は明確にすることを避けてきました。『戦略的曖昧さ』を残すことで抑止力を働かせる意図があったからです。しかし高市首相は踏み込んだ。台湾有事が集団的自衛権行使の対象となると明確に答えたのです」
答弁後、政権は混乱気味だ。木原稔官房長官は「言わなくてもいいことを言ってしまって」と漏らしていたという。更に高市首相も周囲にこぼした。
「“なり得る”って言っただけだから……」
そう濁したが、実は、曖昧さが許せない彼女の気性も影響したようだ。高市首相の周辺が明かす。
《 この続き では、中国の対応が強硬化する背景、日本経済への影響、専門家が予測する今後の展開、日中友好議連会長の森山裕氏への直撃などを詳しく報じている。記事の全文は現在配信中の「 週刊文春 電子版 」および11月20日(木)発売の「週刊文春」で読むことができる》
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年11月27日号)