高市首相、衆院解散「考える暇ない」=定数削減は真摯に議論

【慶州(韓国)時事】高市早苗首相は1日、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の全日程を終え、韓国南東部・慶州で内外記者会見を行った。早期の衆院解散・総選挙について「考えている暇はない」と慎重な考えを表明。「経済対策をはじめ(国民に)約束した政策を実行することがまず重要だ」と語った。
首相は会見で、物価高対策を含む経済対策の策定を急ぐ方針を強調。自民党と日本維新の会が連立政権合意書に明記した衆院の議員定数削減について「各党・各会派で議論していただくべき事柄」だとしつつ、「幅広く真摯(しんし)な議論を展開していく」と述べた。
自民総裁選で再交渉の可能性に言及した日米関税合意に関しては、「首相が代わったとしても政府間の約束は変えるべきではない」と述べ、着実に履行する考えを示した。
APEC首脳宣言について「日本が重視する多くの内容が明記された」と評価。一連の外交日程に触れ「首脳外交を進める基礎固めとなった」とした上で、「日本外交の地平を切り開く歩みを着実に進めることができた」と述べた。
首相は、日本が2031年にAPEC議長国に決定したと説明。「しっかりと準備を進めていく」と語った。 [時事通信社]

26年間現場アパートを借り続け「保存」実った夫 知人の逮捕に困惑

名古屋市西区で1999年、主婦の高羽奈美子さん(当時32歳)が殺害された事件で、愛知県警が今年に入り、殺人容疑で逮捕した同市港区のアルバイト、安福久美子容疑者(69)から任意で複数回、事情を聴いていたことが判明した。DNA型鑑定への協力を拒んでいたが先月ごろに応じ、出頭した際には、高羽さんの殺害への関与をほのめかしたという。
県警は1日、安福容疑者を立ち会わせてアパートの現場検証を実施した。高羽さんの夫、悟さんが「犯人につながるものを失いたくない」として、借り続けてきた部屋だ。悟さんは「希望がかなった」と話す一方で、「自分の関係者だったとは……」と困惑の表情を浮かべた。
事件から26年間、悟さんは転居後もこの部屋を借り続けた。「このために頑張ってきた」とし、「現場の保存」が事件の全容解明につながることを期待した。
安福容疑者については、「おとなしい子との印象」と振り返る。高校時代、バレンタインデーにチョコや手紙をもらったという。卒業後、悟さんが出場する大学の部活動の試合の応援に来たことがあった。ただ、深い付き合いはなく、事件の前年に高校の同窓会で久しぶりに再会。会話の中で「私も結婚した。まだ、バリバリ仕事していて大変」と言っていた。それ以来、会っていないという。
悟さんは「なぜ奈美子だったのか。恨みがあるなら僕を刺せばよかったはずだ。連絡先を交換しておらず、なぜアパートを知っていたのかも分からない」。そして、「まだ分からないことが多いが、自分のせいなら、奈美子に謝らないといけないと思う」と話した。【塚本紘平】

横浜・山下公園海面に上半身遺体=事件、事故両面で捜査―神奈川県警

1日午前10時ごろ、横浜市中区の山下公園を通行中の男性が、「海に死体のようなものが浮いている」と近くにいた警察官に届け出た。神奈川県警横浜水上署によると、公園前に係留されている日本郵船氷川丸近くの海面に上半身だけの遺体が浮いていた。同署は死因や身元の特定を進めるとともに、事件と事故の両面から調べる。
同署によると、遺体は裸であおむけの状態で、近くで所持品などは見つからなかったという。 [時事通信社]

軍事活動拡大に懸念伝達=小泉氏、中国国防相と初会談

【クアラルンプール時事】小泉進次郎防衛相は1日、訪問先のマレーシアで中国の董軍国防相と初めて会談し、中国軍による東シナ海や太平洋での活動活発化に深刻な懸念を伝えた。「日中関係の安全保障は最も難しい分野で、現に数多くの懸案が存在している。率直な議論と意思疎通を粘り強く続けることが必要不可欠だ」と述べた。
会談で両氏は、偶発的な衝突を避けるためのホットライン(専用回線)の適切な運用も含め、防衛当局間の対話の重要性を確認。小泉氏は、5月に発生した中国海警局ヘリコプターによる領空侵犯事案に触れ、沖縄県・尖閣諸島周辺での中国軍の活動に強い懸念を表明した。
小泉氏はこれに先立ち、韓国の安圭伯国防相とも会談。日本の防衛省によると、両氏は北朝鮮の核・ミサイル開発やロシアとの軍事協力の進展に対し、日韓や日米韓で緊密に連携して対処することで一致した。 [時事通信社]

「地面師」2人逮捕 東京・文京区の土地建物巡り 詐欺未遂疑い

東京都文京区にある土地と建物の所有者になりすまし、購入を希望する不動産会社から売買の手付金500万円をだまし取ろうとしたとして、警視庁捜査2課は1日、港区六本木2の職業不詳、石川量英(かずひで)(64)と住所・職業不詳の松本大樹(59)の両容疑者を詐欺未遂と偽造有印公文書行使容疑などで逮捕した。警視庁は、他人の不動産を無断で売却する「地面師」の手口とみて、他にも関与した人物がいないか調べる。
逮捕容疑は2025年6月中旬~8月下旬ごろ、都内の80代女性とその息子が代表の法人が所有する文京区白山にある土地と雑居ビルについて、息子になりすまし、不動産会社代表の男性2人から、土地と建物計10億4500万円の売買契約を締結する手付金として、現金500万円をだまし取ろうとしたとしている。警視庁は2人の認否を明らかにしていない。
警視庁によると、取引の場で、石川容疑者は都内に実在する不動産仲介業者の社員、松本容疑者が80代女性の息子を装い、契約を結ぶ相手の男性2人に偽造した健康保険証や不動産売買契約書の写しを提示。実際の所有者に不動産を売る意思があるという架空の話をして、売買を持ちかけたという。
男性らが、所有者の女性との面会やビルの内見を断られたことを不審に思い、女性本人を訪問。女性から「(売るという)話はしていない」「(松本容疑者の写真は)私の息子ではない」と言われ、うその話だと気づいた。松本容疑者がかたった名前も、女性の息子の実名とは違っていたという。【長屋美乃里】

滋賀で登山客の遭難事故相次ぐ 沢で高齢女性死亡 「道が分からなくなった」110番も

3連休初日の1日、滋賀県内で登山客が遭難する事故が相次いだ。
高島市朽木大野の蛇谷ケ峰の山中では午前9時半ごろ、「山の中で倒れている女性を発見した」と登山客から110番通報があった。消防などが駆け付けると、登山道からそれた山中の沢で、60代以上とみられる女性が意識不明の状態で見つかり、まもなく死亡が確認された。
滋賀県警高島署によると、女性の遺体は目立った外傷はなく、死後数日以上が経過していた。登山靴を履いていたことから、登山中に遭難したとみられ、身元の特定を急いでいる。
また、多賀町大字霊仙の霊仙山では午後4時10分ごろ、大阪府内から登山に訪れていた50代夫婦が「展望台から下がったところで道が分からなくなった」と110番。滋賀県警彦根署は日没のため同日中の救助を断念し、2日朝から捜索する。同署によると、2人は下山中に遭難したとみられ、いずれも意識があり、食料も持っているという。

4カ所の銃創、山上被告の発砲と「矛盾しない」…解剖医が証言、「第三者犯行説」を否定

令和4年7月の安倍晋三元首相銃撃事件で、殺人などの罪に問われた山上徹也被告(45)の裁判員裁判第3回公判が30日、奈良地裁(田中伸一裁判長)で開かれ、安倍氏を司法解剖した奈良県立医科大の粕田(かすだ)承吾教授の証人尋問が行われた。事件を巡っては「別方向から狙撃した真犯人がいる」といった言説があったが、計4カ所のいずれの銃創も、被告の放った弾丸によるものとみて「矛盾しない」と述べた。
こうした言説が生まれたきっかけは、安倍氏の治療にあたった救命医が事件当日の記者会見で述べた所見と、奈良県警が翌日発表した司法解剖結果の齟齬(そご)だった。
救命医は「首から入った弾丸によって心臓の壁に大きな穴が開いた」と説明した一方、県警は「左上腕部から入った弾丸で左右鎖骨下動脈を損傷したことによる失血死」とした。腕から入った弾丸は体内で発見されておらず、首から弾丸が入った角度を疑問視する一部見解もあり、「第三者犯行説」につながったとみられる。
この日の証人尋問で粕田氏は、弾丸による傷は4カ所と指摘。左上腕と右前頸部(けいぶ)から体内に入った2発による傷と、前頸部と胸の傷だった。
左上腕に当たった弾丸は体内を右胸腔(きょうくう)まで約30センチ進み、心臓に近い左右の鎖骨下動脈を傷つけた。粕田氏は、損傷による大量出血で多臓器不全に陥り、「即死に近い状態だった」と指摘した。見つかっていない弾丸については、救命措置を行う中で「胸腔内の血液を吸引したときに一緒に吸引された」と推測した。
一方で、首に当たった弾丸は体内で右胸を通り、右の上腕骨にめり込んで止まっていたと指摘した。この傷を巡っては、道路上にいた被告が台に立って演説していた安倍氏を「下から上方向」に撃ったのに、弾丸の進み方は首から腕という「上から下方向」で、向きが食い違う-と一部で疑問視する声があった。
しかし、安倍氏は撃たれた際にマイクを右手で持ち、肘が上がった状態だった。粕田氏は「姿勢によっては(弾丸の進む方向は)横方向だ」と強調。被告の手製銃による傷だとみて「矛盾しない」と述べた。さらに、この弾丸は重要な血管を損傷しておらず、致命傷にはつながらなかったとした。
粕田氏はこのほか、左胸の打撲擦過傷は、胸ポケットに入れていた議員バッジに弾丸が当たり、粉砕された衝撃によるものだと考えられるとも指摘。検察側は今後、バッジを法廷で示すとした。
公判では弁護側も殺人罪の起訴内容を認めており、複数犯かどうかという争いはない。その中で、銃創と被告の犯行を結びつける質問を丁寧に重ねたことについて、検察関係者は「〝陰謀論〟を意識しているわけではないが、裁判員、ひいては世間の人たちが持つかもしれない疑問は解消していく必要がある」と述べた。

自民、旧派閥基に議員同士の会合活発…麻生派が存在感増す中でグループ化が再び注目

自民党内で、旧派閥の枠組みを基にした議員同士の会合が活発になっている。新たなグループ化や、派閥の再結集などにつながるかどうかが注目される。
旧茂木派(平成研究会)に所属した衆院議員十数人は30日、国会内に集まって一緒に昼食をとった。先の党総裁選で5位だった茂木外相を支えたメンバーで、鈴木貴子・党広報本部長らを中心に今後も定期的に会合を開く予定だ。
これとは別に、旧茂木派の参院側では、新たな勉強会発足に向けた動きが出ている。解散した「参院平成研究会」のメンバーらが中心になるとみられ、衆院側とは一線を画す構えだ。
29日夜には、総裁選で3位だった林総務相の慰労会が東京都内で開かれ、旧岸田派の小野寺五典税制調査会長ら約30人が出席した。総裁選で林氏支持を鮮明にしなかった岸田文雄・元首相の姿はなかった。
党内で唯一の派閥である麻生派は、鈴木幹事長らが要職に起用されて主流派となった。同派が存在感を増す中、派閥や政策集団が再び自民内で注目を集めている向きがある。
同派は30日、国会近くで定例会合を開き、会長の麻生副総裁は「高市外交は良いスタートを切った。内政でも一つひとつ結果を出していかなければならない」と述べ、結束を呼びかけた。

デイサービス送迎先から現金盗んだ疑いで介護士の29歳女を逮捕

自らが送迎するデイサービスの利用者の自宅から現金を盗んだとして、兵庫県三田市の29歳の介護士の女が逮捕されました。
住居侵入と窃盗の疑いで逮捕されたのは、介護士の志水七海容疑者(29)です。
志水容疑者は26日午後から30日午前にかけて、自らが送迎を担当する三木市のデイサービス利用者の女性(76)の自宅から、現金18万5000円が入った封筒を盗んだ疑いが持たれています。
76歳の女性は1人暮らしですが、以前から家のお金がなくなっている実感があり、息子が「見守りカメラ」を設置したところ、志水容疑者の犯行が映っていたということです。
志水容疑者はデイサービスの送迎の運転手で、迎えに行った利用者が部屋を出たあとに現金を盗んでいたとみられ、警察の調べに対し「間違いありません」と、容疑を認めているということです。

《人喰いグマの襲撃》犠牲となった元プロレスレフェリーの無念 襲ったクマの胃袋には「植物性のものはひとつもなく、人間を食べていたことが確認された」

本格的な秋の行楽シーズンを迎え、例年であれば観光客で賑わう紅葉スポットに異変が起きている。栃木県日光市では登山道の一部が閉鎖され、世界遺産の「白川郷」で知られる岐阜県白川村では、10月25日から開催予定だった紅葉のライトアップが中止になった。
「現地でクマの目撃が相次いだことが原因です。クマ出没の影響は全国各地に広がっており、自治体や観光施設への問い合わせが増えています。爆竹で威嚇したり、クマが嫌う”とうがらし入りの線香”をたくなどのクマ対策をしている施設も多いようですが、不安はぬぐいきれない。今年は紅葉見物を諦める人も少なくありません」(旅行会社社員)
実際、これまで想像できなかった凄惨な事態が起きている。岩手県北上市の温泉旅館『瀬美温泉』の従業員・笹崎勝巳さん(60才)が、露天風呂の清掃中にクマに襲われて行方不明になったのは10月16日のことだった。瀬美温泉代表の岩本和裕氏が振り返る。
「あの日、私は笹崎さんと11時に出かける予定だったんです。彼は真面目な人で、いつも早くから車を用意してくれるのに、時間になっても姿が見えなかった。珍しいなと思いながら、ほかのスタッフに呼びに行ってもらったところ、露天風呂に掃除道具が散らばっていて、大きな血だまりが広がっていたんです……。急いで警察に通報して、大声で何度も何度も笹崎さんの名を呼びましたが、どこからも返事はなかった」
警察の捜査で、露天風呂の金網にへばりついた黒々とした硬い獣毛が発見されたことで、和賀猟友会のハンターも現場に駆け付けた。同猟友会会長の鶴山博氏が話す。
「到着してすぐに、クマ独特の”獣のにおい”を感じました。露天風呂の横に川があって、その先に山が広がっているのですが、血痕は川に向かう途中にも残っていました。争った跡がないことから、笹崎さんは背後からいきなり襲撃され、山の奥に引きずりこまれたというのが現場の見立てでした」
当日は大雨で、捜索は翌日に持ち越された。早朝から鶴山氏は16人のハンターと共に山に入った。
「急な山の斜面で笹崎さんを発見したのですが、すぐ近くに大きなクマが居座っていました。ハンターに気づいたクマが逃げるように斜面を登ったので、ほかのハンターがライフル銃を発砲したんです。撃たれたクマは急斜面を20mほど転がり落ち、笹崎さんに覆いかぶさるように静止しました。体長150cm、80kgのツキノワグマの成獣でした」(鶴山氏)