「神聖な女子トイレに入ってみたかった」女性客が不審な男に気づき、店舗関係者が取り押さえる…建造物侵入容疑で自称55歳の男を逮捕 北海道室蘭市の商業施設

14日夜、北海道室蘭市の商業施設で、正当な理由なく女子トイレに侵入したとして自称55歳の男が逮捕されました。
建造物侵入の疑いで逮捕されたのは、住所や職業、年齢が自称の東京都目黒区に住む55歳の会社員の男です。
男は、14日午後8時すぎ、室蘭市中島町の商業施設で、正当な理由がないのに女子トイレに侵入した疑いが持たれています。
警察によりますと、当時、女子トイレに不審な男がいると女性客が店員に伝え、店舗関係者が見に行くと、男を発見し、その場で取り押さえたということです。
その後、店舗関係者が「女子トイレに侵入した40代~50代の男を捕まえている」と警察に通報。男は駆けつけた警察官に引き渡されました。
取り調べに対し、自称55歳の会社員の男は「神聖な女子トイレに入ってみたかった」と話し、容疑を認めているということです。
男は身分を証明する所持品を持っておらず、犯行当時、酒に酔っていたということです。
警察が動機などについて調べています。

ヒグマ襲撃の北海道・福島町、ほかの住宅地にもたびたび出没…ハンター5人態勢で捜索開始

北海道福島町三岳地区の住宅地で新聞配達員の男性がヒグマに襲われ死亡してから14日で2日となった。クマはまだ見つかっていない。一方で、今月に入り、町内のほかの住宅地でもクマがたびたび出没していることが捜査関係者への取材で分かった。外見から別の個体とみられ、町は複数のクマが徘徊(はいかい)している可能性があるとして、警察や消防と連携して全域で警戒を強めている。
三岳地区から約3キロ南の同町月崎地区の住宅地では9日と11日の朝夕、クマがごみ集積所を荒らす様子などを住民が目撃。町は防災無線で住民に注意喚起した。三岳地区のクマとは大きさや体毛の色などが異なり、捜査関係者は「別の個体ではないか」とみる。松前署は現在、24時間態勢で月崎、三岳両地区を重点的にパトロールしている。
また三岳地区の約6キロ南にある同町館崎地区の住宅地でも13日早朝に住民女性が体長約2メートルのクマを目撃し、松前署に通報した。
町はクマが潜む恐れのある山林近くの町道を一部通行止めにした。町内の小中学校や高校には屋外での課外活動の中止を求め、児童生徒は保護者の車などで登下校している。また14日からは松前町の支援を受け、ハンター5人態勢で山林の捜索を始めた。

【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】

東京・新宿のタワーマンションの敷地内で2024年5月、元ガールズバー・キャバクラ店経営者の女性・Aさん(当時25歳)が刃物で刺され、殺害された事件。殺人などの罪に問われ起訴されていた配送業の和久井学被告(52)の裁判員裁判の判決が7月14日、東京地裁であった。検察側の求刑17年に対し、「被害者の言動が原因の一端となったと言えるが、殺人を正当化する理由にならない」として、懲役15年を言い渡した。
弁護側はこれまでの公判で、和久井被告がAさんから「結婚詐欺」的な被害にあっていたこと、お店の売上のためにお金を無心されていたことなどを理由として挙げ、懲役11年が妥当だと主張していた。判決では、Aさん側の“落ち度”は一部で認められた一方で、被告が殺人に至った経緯については「法的手段で解決すべきだった」などとしており、怒りに任せた犯行が重く捉えられたと考えられる。
7月9日に開かれた第4回公判での検察官からの被告人質問では、和久井被告のAさんに対する異常なほどの“執着”が浮き彫りになっていた傍聴したライターの普通氏がレポートする。【前後編の前編】
犯行の機会を探っていた数ヶ月間
検察官は、事件当日について質問を重ねた。和久井被告はこれまでの公判で、「当日、マンションに向かった当初は殺害の意思を持っていたわけではなく、お金を返して欲しいだけだった」と主張していたが、検察官は「ナイフで脅して金銭を受け取ろうとする行為も、強盗または脅迫と評価されうる」と指摘。被告人は、「何かしらの犯罪にあたる認識はあったが、それでも金銭を取り返したい思いが強かった」と答えた。
Aさんがライブ配信を再開していたことを、和久井被告は事件の数か月前から知っていたという。それから事件当日の夜まで、殺害に使った果物ナイフは常に車に積んでいて、来る日に備え機会をうかがっていたという。
事件当日、Aさんのライブ配信が始まったのは車内で知った。Aさんが発した「コンビニ」という言葉を聞き、そのまま現地へ向かった。「配信中の背景映像から、以前のマンションから引っ越していないことは分かっていた」という。
「ぶん殴ってでも返金させる」
Aさんを待つ車内では、金銭返還までの流れを何度も考えていた。会話はできないと想定し、最初からナイフを見せて静かにさせて、Aさんの部屋に乗り込むか、車の中に連れ込んでネットバンキングを操作させるか、などと計画していたという。

知床の海に叫ぶ「一緒に帰ろう」…息子が最期に見たであろう景色、父は「目に焼き付けた」

北海道知床半島沖で2022年4月に起きた観光船「KAZU I(カズワン)」の沈没事故を巡り、乗客家族による初の洋上慰霊が13日、沈没地点の「カシュニの滝」付近で行われた。「会いに来たよ」「一緒に帰ろう」。予期せぬ別れを強いられた家族をしのび、泣き叫ぶ声が知床の海に響いた。

観光船「KAZU I」沈没後、初の洋上慰霊

乗客14人の家族40人は午前5時23分、洋上慰霊を企画した桜井憲二さん(62)(羅臼町)らのボランティアスタッフ26人と斜里町ウトロ漁港を出発。同6時51分に半島先端部の文吉湾から上陸し、桜井さんらがこれまでに遺骨や遺留品を発見した場所を約3時間かけて訪ね歩いた。
船に戻った後は知床岬の手前で折り返し、「カシュニの滝」の沖合へ。それぞれの思いをつづった紙や花束を海に流したり、空を仰ぎながら家族の名前を大声で呼んだりした後、全員で黙とうをささげた。
小柳宝大(みちお)さん(当時34歳)の父親(66)(福岡県久留米市)は、カズワン船内で見つかった宝大さんのリュックサックを携え、宝大さんが残した長靴を履いて参加した。海を見ながら「宝大」と口にした瞬間に涙が止まらなくなったが、「宝大の魂だけでも連れて帰れる気がした」という。
30歳代の息子を亡くした千葉県の男性は「息子も同じ景色を見たんだろうなと思い、船上からの景色を目に焼き付けた」。一方、息子(同7歳)と元妻(同42歳)が行方不明のままの帯広市の男性(53)は、沈没地点で船が止まった瞬間に「思ったより陸に近い」と驚いたという。「それなのに海は凍るほど冷たく、泳ぐこともできずに……」。2人が感じたであろう恐怖と絶望に思いを巡らせ、涙が止まらなくなった。
大阪府の会社員だった弟(同46歳)とその妻を失った福岡県の女性(58)は、洋上慰霊を一つのきっかけと考え、初めて取材に応じることを決めた。
この日は病気を抱える両親も同行し、弟夫妻が好きだったヒマワリの花束を手向けた。両親は「息子に会えるから」との一心で苦しいリハビリに耐えたといい、女性は「弟も『よう来たね』と喜んでくれたと思う」と声を震わせた。
今回の洋上慰霊は、桜井さんらが全国に寄付を呼びかけ、1400万円以上を集めたことで実現した。正午前にウトロ漁港へ戻った後は、乗客家族が涙ながらに感謝を伝え、スタッフ全員に花を手渡す場面も。桜井さんはスタッフを代表し、目に涙をたたえながら「戻らぬ家族の分も、これからの人生を歩んでください」とあいさつした。

「躍進は時代の必然か」“カルトや頭悪い”と言われるが…“参政党”の「日本人ファースト」が支持を集めるワケ

第27回参議院選挙の投開票が7月20日に行われます。自民、公明の与党の苦戦が伝えられる一方で、参政党の躍進が注目されています。 ◆躍進する“日本人ファースト”政党 7月5、6日に共同通信が行った比例投票先についての世論調査では、参政党が自民党に次ぐ2位という結果となり、衝撃が走りました。既存の政党に対する不満の受け皿となっていることが浮き彫りになった形です。 では、参政党にはどのような点に有権者が期待しているのでしょうか。 彼らの政策を一言でまとめると、「日本人ファースト」です。党の公式ページには「3つの重点政策」として次のように掲げられています。 1つ目は、子供の教育。お金と機会の面で平等を目指しつつ、その先に「自虐史観を捨て、日本に誇りが持てる教育を!」という大きなゴールを設定しています。 2つ目は、「食と健康・環境保全」を訴えています。ここでは、反ワクチン、反再生エネルギーをはっきりと打ち出しており、他の政党と比較しても明確に断言している点が印象的です。 そして最後は、「国のまもり」です。外国人による土地の買収や移民の流入を防ぐことで、日本人だけで日本を運営していくべきだと強く訴える政策です。 こうした「保守」的な政策に加え、神谷宗幣代表が街頭演説で述べた「高齢の女性は子供が産めない」などの、“社会的に言及がはばかられる事柄”にも忖度しないという姿勢が、一部で熱狂的な支持を集めているのです。 ◆参政党、賛否両論の渦中へ しかしながら、こうした過激な主張や、国民主権をも否定するかのような思想を隠さない政治姿勢に対しては、多くの人々から懸念の声が上がっています。SNS上では、「参政党はカルトだ」や「頭が悪い」といった党自体への否定的なコメントに加えて、「参政党の支持者は頭がおかしい」といった支持者個人に向けた批判的な意見も散見されます。 このままの勢いで影響力を持つ存在となるかどうかは、選挙で問われることになりそうです。 参政党の支持・不支持を巡る声は、大きく2つの立場に分かれると考えられます。一方は、「日本の国家はまず日本人のために存在するべきだ」と考え、参政党を支持する人たち。もう一方は、荒唐無稽な政策や憲法案に基づき、「こんなものを支持する人たちはどうかしている」と否定、嫌悪する人たちです。 ◆参政党、その危うき保守の影 筆者の立場は後者の否定、嫌悪する人たちです。政策面において、いくつかの疑問があります。たとえば、子どもの教育について「自虐史観を捨て、日本に誇りが持てる教育を!」と掲げていますが、教師からの指導によって抱く「誇り」に一体どれほどの意味があるのでしょうか。

中国軍活動「強く懸念」=北朝鮮「ウラン型核も開発」―防衛白書

中谷元防衛相は15日の閣議に、2025年版防衛白書を報告した。中国軍の日本周辺での活動活発化について「わが国の安全に深刻な影響を及ぼし得る状況となっており、強く懸念される」との現状認識を明記。北朝鮮の核開発に関し「プルトニウムに加え、高濃縮ウランを用いた核兵器開発を推進していくとみられる」と警戒感を示した。
白書は中国軍の台湾周辺での演習に触れ、「台湾侵攻作戦を含む台湾の統一に向けた軍事作戦の一部が演練(訓練)されている可能性がある」と指摘。24年の演習に法執行機関「海警局」が参加したことに注目し、「台湾封鎖作戦では米国など第三国の軍事介入回避を念頭に、海警局を前面に展開させる可能性がある」と記した。
中国とロシアの軍事連携にも言及し、「頻度が増加している」と警戒感を示した。
北朝鮮を巡っては、昨年10月に発射した新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星19」の射程は1万5000キロを超える可能性があると分析。「射程や飛翔(ひしょう)の態様が異なる極超音速兵器を開発し、相手方の対応を複雑化させることを企図している可能性も考えられる」との見方を示した。
陸海空3自衛隊を一元的に指揮する統合作戦司令部が3月に発足したことも紹介。石破茂首相が自衛官の処遇改善を重視していることを踏まえ、人的基盤強化への取り組みも詳述した。 [時事通信社]

「ルフィ」幹部に懲役23年求刑=勧誘役の小島被告、判決は23日―東京地裁

フィリピンを拠点とした「ルフィ」と名乗る指示役らによる広域強盗事件で、実行役らを集めたとして、強盗致傷ほう助や詐欺などの罪に問われた幹部小島智信被告(47)の裁判員裁判の公判が15日、東京地裁(板津正道裁判長)であった。検察側は「匿名・流動型犯罪の先駆けとなった事件で、模倣性も高い」として懲役23年を求刑。弁護側は懲役11年が相当と訴え、結審した。判決は23日。
検察側は論告で、リクルーター役の小島被告は自ら実行役に強盗の意思確認をし、指示役に紹介する重要な役割だったと指摘。特殊詐欺グループで得た金を管理する「金庫番」も担い、リーダー格の渡辺優樹被告(41)に次ぐナンバー2として「活動を維持・拡大する役割を果たした」と述べた。
弁護側は最終弁論で、小島被告に裁量はなく、報酬額を決める権限もなかったことなどから、「ナンバー2や金庫番は虚像にすぎず、関与は限定的だった」と主張した。
最終意見陳述で小島被告は「反省し、後悔している。本当に申し訳ありませんでした」と頭を下げた。 [時事通信社]

独特の存在感放つも特捜部で不祥事多発、特刑部は目立たず 「関西検察」の明日は

特捜検事による不適切な取り調べの問題が浮上するなど、その捜査手法に国民の疑念が向けられるようになった検察。「あるべき姿」が問われる中、検察庁の組織・捜査体制をどう適正化していくかにも注目が集まっている。今回は、そんな検察において独特の文化を持つとされる、「関西検察」について考えたい。
現役とヤメ検の近さ
検察庁では4、5年目の検察官を「A庁検事」と呼ぶ。3年程度経験を積んだ後に、東京、大阪、名古屋の「A庁」といわれる大規模庁で2年間、勤務する。
かつては、関西出身者でこの2年間を大阪地検で勤務した検察官を中心に、その後も関西圏で主に人事異動を繰り返す傾向が強かった。このため、こうした経歴や人事が「関西検察」などと通称されていた。
組織としての頂点は大阪高検だが、象徴といえるのが大阪地検特捜部。かつては「戦後最大の経済事件」といわれたイトマン事件を手掛けるなどしたが、近年では手掛けた事件よりも、不祥事の方が目立つ。
元検察幹部の弁護士は「関西検察では、現役とヤメ検(検察出身弁護士)の人間関係が『近すぎる』とやり玉にあげられ、『全国一律人事』の徹底が何度も繰り返されてきた」と振り返る。
昭和の終わりごろには東京、大阪両地検の特捜部で交換人事が始まった。平成14年に当時の大阪高検公安部長による収賄事件が起きた後は、東京地検特捜部で副部長を務めた佐渡賢一氏が東京地検次席から京都地検検事正となり、その後に大阪地検検事正も務めた。
平成22年、特捜検察に大打撃を与えた大阪地検特捜部主任検事による証拠改竄(かいざん)事件が発覚。その後は、引責辞任した大阪地検検事正の後任として東京地検公安部長などを務めたものの、関西勤務歴が全くなかった北村道夫氏が検事正に指名された。
目立たぬ京都特刑部
27年に女性初の大阪地検特捜部長に就任した山本真千子氏(現・札幌高検検事長。福岡高検検事長に就任予定)は、〝大阪特捜〟の生え抜きだった。着任の際は証拠改竄事件について「国民の信頼を損ねた決して忘れてはいけない事件」と、言葉少なに語った。
そんな山本氏が事件直後の23~24年に務めていたのが、京都地検特別刑事部(特刑部)の部長だ。大阪地検特捜部を「頭」とするなら、京都地検特刑部は神戸地検特刑部と並び、関西検察における独自捜査部門の「両翼」といえる。
世界的な観光地である京都は、テレビドラマの舞台設定やロケ地として引っ張りだこ。「検察もの」では、10年間にわたり放送された名取裕子さん主演の「京都地検の女」が特に有名だ。
ただ、前述の法務・検察関係者は「イメージが先行しているが、実際の京都地検はドラマのような『花形職場』とは言い難い側面がある。周囲の期待とは裏腹に、特刑部に結果が伴っていない」と打ち明ける。
京都の特刑部が手がけた主な事件は、改竄事件前では京都市部長の収賄(9年)や国土交通省所管法人元専務理事の業務上横領(21年)程度。事件後も印刷会社元役員らによる45億円に上る電子計算機使用詐欺(28年)や元京都府宮津市議の業務上横領(30年)が目につくのみで、目覚ましい活躍とは言い難い。
転勤のあり方に再評価も
関西検察を巡っては、「エース」と称されていた大阪地検元検事正が昨年、準強制性交容疑で逮捕されるという新たな不祥事も起きた。この元検事正も、京都地検特刑部長や神戸地検刑事部長、大阪地検次席検事、大阪高検次席検事などを歴任してきた〝関西プロパー〟だった。
ある法務省元幹部は「東京地検の検事正は、天皇の『認証官』である(高検の長である)検事長や最高峰の検事総長への大きなステップといわれるが、大阪地検検事正はその後に大阪高検検事長になる例もあるものの、関西検察の頂点。基本的には目標であり、ゴールだ」と解説する。
一方、この元幹部は、働き方改革や共働き世帯の増加に伴い家族の負担も大きい遠隔地勤務が敬遠される中、「(関西圏を長年回る)かつての関西検察における転勤の仕方には『一定の合理性がある』と評価する意見も聞かれるようになった」とも語った。
法務・検察関係者は「時代に合わせた人事の見直しも、検察改革を進める上では必要。その延長線上には、特刑部を廃止し、刑事部などへ人員を分散して拡充する選択肢があってもいいはずだ」と問題提起する。
「文化というか悪弊のようなものが確実に、根強く残っている」(元検察幹部の弁護士)と揶揄されることもある関西検察。特捜部や特刑部を含め、組織全体を見直し、最適解を探す必要に迫られているといえそうだ。(大島真生)

性暴力処分の教員データベース、活用状況調査へ 盗撮事件受け文科省

文部科学省は15日、盗撮を含む性暴力で教員免許を失効した人物の情報を掲載したデータベース(DB)の活用状況について、全国の都道府県・政令市教育委員会と私立学校を運営する学校法人を対象に調査する方針を明らかにした。各地で教員による性暴力事件が相次ぐ中、法律に基づくDBの活用を怠っていたケースも発覚しており、対応が急務となっていた。
阿部俊子文科相が15日の閣議後記者会見で「全国の国公私立学校で(DBへの)登録を改めて徹底するとともに、実際に適切に活用されているかを調査するよう事務方に指示した」と述べた。正規の教員だけでなく、非常勤教員らを含めて任命時のDB活用状況を調べる。
DBは2022年施行の「教員による児童生徒性暴力防止法」に基づき国が23年度から運用している。性暴力による免許失効者の情報を記載しており、教委や学校法人はユーザー登録をした上で、正規か非正規かを問わず教員を採用する際に処分歴の有無を確認することが義務付けられている。
市立小教員による児童盗撮事件が発覚した名古屋市は、教委がDB確認を怠っていたことが発覚。正規教員の任命時にはDBではなく「官報情報検索ツール」を利用していたが、検索ツールは更新頻度が低いなどの課題があった。また、非常勤教員の任命時には検索ツールも使っていなかった。
阿部氏は記者会見で「法律で義務付けられた手続きを実行できていなかったという事実は誠に遺憾。二度とこのようなことがないよう、名古屋市教委には猛省してもらいたい」と述べた。
一方、私立学校を巡っては、文科省が24年5~8月に幼稚園や学校を運営する法人を対象に実施した調査で、回答した7258法人のうち75%が「ユーザー登録をしていない」または「活用できていない」とし、多くの学校が違法状態となっていることが判明。理由としては「パスワードなどが不明でログインできない」「活用義務を知らなかった」といった点が多く挙がっていた。【西本紗保美、斎藤文太郎】

万博で一転、拉致問題のパネル展を開催へ 「政治性の排除」覆した執念

大阪・夢洲(ゆめしま)の大阪・関西万博会場で8月11、12日、北朝鮮による拉致問題の実態を伝えるパネル展が開かれる。ただ、その実現には紆余曲折(うよきょくせつ)があった。1月、大阪府・市議会が会場で啓発ブースを設置することを求めたものの、政府は万博から政治性を排除したいとの考えから見送り。その後、万博でウクライナ支援を念頭に置いたイベントが行われたことなどが追い風となり、一転、開催が決まった。
拉致問題の展示は、地元自治体である大阪府内の超党派の地方議員有志でつくる「大阪拉致議連」が発案。拉致問題を「一刻の猶予も許されない重大な人権問題」と捉え、政府が出展するパビリオン「日本館」に啓発ブースの常設を求める意見書をまとめて、昨年9月に大阪市議会、同11月に府議会で可決された。
府議時代に議連会長を務めた西田薫衆院議員は今年1月、政府に万博での啓発を求める質問主意書を提出。しかし、政府は2月、啓発の取り組みを進める考えを示しながらも万博での展示の「具体的な予定はない」と答弁。西田氏は「政府内では万博会場で政治的なメッセージを発信することに難色を示す意見があった」と振り返る。
潮目が変わったのは4月だ。英国パビリオンがロシアによる侵攻を受けるウクライナの社会情勢などについて議論するイベントを開催。
さらに、衆議院の拉致問題特別委員会での英国の取り組みの紹介など政府関係者への粘り強い働きかけがあった。この執念が実を結び、ついに今回のパネル展へとつながった。
西田氏は「国内の教育現場や行政機関では拉致問題を政治的な問題として啓発を避けようとする空気がある。万博でのパネル展が国外への発信に加えて国内での取り組みを後押しし拉致被害者家族の希望の光になれば」と期待を寄せている。
「人生を奪われた拉致被害者~北朝鮮による日本人拉致問題パネル展~」は万博会場のギャラリーEASTで開催。
8月11日(月・祝)は正午から午後9時まで、12日(火)は午前9時から午後6時まで。(山本考志)