地震で都庁展望室エレベーターが一時停止 300人弱が一時取り残される 約1時間後に復旧

青森県で震度5強を観測した地震で、東京・西新宿の東京都庁の45階、地上およそ200メートルにある展望室で一時、来庁者が取り残されました。
東京都によりますと、午後4時50分ごろの地震発生直後、都庁北展望室に130人程度、南展望室180人程度が滞在していたということです。
展望室までのエレベーターは地震の影響で、最寄り階で自動停止し乗客が降り、けが人や体調不良者はいなかったということです。閉じ込められた人はいませんでした。
その後、展望室にいた来庁者はエレベーター復旧までの1時間程度、その場で待機し、午後5時50分ごろエレベーターは運行再開したということです。
現在、北展望室は通常通り営業終了し、南展望室は営業再開しています。

「北海道・三陸沖後発地震注意情報」とは?気象庁が発表 東海3県でも最大震度2を観測 青森県で震度5強の地震

青森で最大震度5強 東海地方では最大震度2を観測
20日午後5時前に青森県で発生した地震を受けて「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表されました。東海3県は対象エリアではありませんが、根室沖から三陸沖にかけてマグニチュード8クラス以上の規模の地震が発生する可能性が、平時より高まっていることを念頭に、備えの再確認をお願いします。
20日午後4時53分ごろ、青森県三陸沖で発生した地震は、青森県階上町で震度5強を観測し、震源の深さは約10キロ、地震の規模を示すマグニチュードは速報値で7.5となっています。
東海地方では愛知県弥富市・愛西市・飛島村で震度2を観測しました。また、以下の地域で震度1を観測しています。
東海3県で震度1を観測した場所は?
■愛知県 名古屋千種区・東区・北区・中村区・昭和区・瑞穂区・熱田区・中川区・港区・南区・一宮市・春日井市・津島市・刈谷市・安城市・常滑市・稲沢市・東海市・大府市・知立市・尾張旭市・高浜市・清須市・みよし市・あま市・東郷町・大治町・蟹江町・東浦町・武豊町
■岐阜県 中津川市・岐阜市・羽島市・海津市・輪之内町・安八町・大野町
■三重県 桑名市・鈴鹿市・木曽岬町・朝日町・川越町
「北海道・三陸沖後発地震注意情報」 とは?
気象庁は午後7時半から会見を行い「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表しました。
この情報は、去年12月に青森県東方沖で発生した地震を受けて初めて発表されました。発表は、今回で2回目です。
この情報は、北日本の太平洋沖で基準以上の規模の地震が起きたとき、そのあとに「より規模の大きな地震」が起きる可能性が平時より高まっていると評価された場合に注意を呼びかけるものです。
気象庁は、今後1週間程度今回と同じ規模以上の地震の発生への注意と備えを呼びかけています。
東海3県は、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の対象エリアではありませんが、東日本大震災では名古屋市で震度4を観測し、愛知県外海と伊勢・三河湾、三重県南部に津波警報が発表されました。
根室沖から三陸沖にかけてマグニチュード8クラス以上の規模の地震が発生する可能性が、平時より高まっていることを念頭に、備えの再確認をお願いします。

地震の揺れで転倒し、1人がけが 青森震度5強で消防庁発表

青森県で震度5強が観測された20日の地震で、総務省消防庁は青森県東北町で1人がけがをしたと発表した。揺れで転倒したとされ、地元消防が対応している。
この地震では北海道や青森県、岩手県、宮城県、福島県の5道県で、計17万1957人に避難指示が出されている。
気象庁は、北海道太平洋沿岸中部、青森県太平洋沿岸、岩手県に津波警報を発表している。

東北新幹線 東京~新青森駅間で運転見合わせ 再開は午後9時頃の見通し

JR東日本によりますと、地震の影響で東北新幹線は東京駅と新青森駅の間で、運転を見合わせています。
東京駅と八戸駅の間では運転再開に向けた準備をしていて、当初、再開は午後8時半ごろを見込んでいましたが、設備の確認に時間を要しているとして、午後9時頃の見通しに変更されました。
一方、津波警報が発表されているため八戸駅と七戸十和田駅の間で線路設備の確認ができず、八戸駅から新青森駅の間は運転再開の見通しが立っていないということです。
運転再開後も仙台駅と新青森駅の間では速度を落として運転するため、最終列車まで大幅な遅れや運休が発生するとしています。
また秋田新幹線は盛岡駅と秋田駅の間で折り返し運転を行っています。
一方、上越・北陸の各新幹線は平常通り運転しているということです。

福島県内10市町にも「北海道・三陸沖後発地震注意情報」 気象庁が発表

20日午後4時52分ごろに三陸沖で発生した地震を受けて、気象庁は午後7時30分に「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表しました。
この情報は一度大きな地震が発生すると、その周辺で大きな地震が続く場合があることから、あらかじめ備えの再確認とすぐに避難できる準備を呼びかけるものです。2011年3月の東日本大震災のときは、9日にM7.3の地震が発生した3日後の11日にM9.0の巨大地震が発生しています。
いわき市、大熊町、新地町、相馬市、富岡町、浪江町、楢葉町、広野町、双葉町、南相馬市
北海道沖合の日本海溝沿いを震源とする地震と、三陸沖の日本海溝沿いを震源とする地震の2つの巨大地震が想定されていて、政府の被害想定では最大津波波高が約30メートル、最大死者は約19万9000人と試算されています。福島県沿岸では日本海溝沿いの地震の場合10~20メートル、千島海溝沿いの地震の場合は5~10メートルの津波が襲来すると想定されています(いずれも最悪のケース)。
ただ政府は、防災対策や迅速な避難で死者を8割減らせることができると試算しています。
気象庁は1週間程度は、社会・経済活動を継続したうえで、地震や津波の備えをするよう呼びかけています。
まずは、迅速な避難ができるよう
・すぐに逃げられる服装で就寝
・子どもや要配慮者と同じ部屋で寝る
・避難場所や避難経路の再確認
・家族との連絡手段の再確認
・家具の固定
・非常持出品を常に持ち歩く
・水や飲料等といった備蓄の再確認
・今の時期であれば、防寒対策も必要です
また揺れによる備えとして
・今回の地震で損壊した建物や崩れやすいところには近づかない
・土砂崩れの危険性が高まっている場所には近づかない
気象庁は社会・経済活動に混乱を招かないためにも、インターネットやSNSなどで偽情報の拡散は絶対に行わないで欲しいと呼びかけています。後発地震情報は、巨大地震が必ず起こったり、社会・経済活動を制限したりすることを発表しているものではなく、命を守るための日頃の備えを呼びかけるものです。冷静に情報を見極めつつ、食料や日用品などの必要以上の買いだめは控えましょう。また誤った情報をもとに対象自治体の風評を招かない姿勢も必要です。

「スロースリップ発生か」専門家は続発を警戒 青森で震度5強

20日、三陸沖で発生したマグニチュード(M)7・7の地震。専門家は、周辺の地震活動が活発化していると口をそろえ、警戒を呼び掛けた。
京都大防災研究所の西村卓也教授(測地学)は「太平洋プレートと陸側のプレートの境界で起こる逆断層型の地震。昨年から活動が高まっている海溝型の地震で、地震が続発する可能性もあり、しばらく注意が必要だ」と話した。
八木勇治・筑波大教授(地震学)も「プレート境界型地震の可能性が高い」と指摘。「短い時間で立て続けに大地震が起こることもある」と強調した。
東京大の内田直希教授(地震学)は、プレート同士がゆっくりずれ動く「スロースリップ」が震源域周辺で発生していたとみる。
スロースリップが起きる周辺では地震が起きやすくなる。今回の震源域の南側では、2025年11月9日にM6・9、今年3月26日にM6・7の地震が起きるなど地震活動が活発化しているという。
内田教授は「震源域の南側ではスロースリップに伴って地震活動が活発化していたと考えられる。この南側のすべりが、北側にも影響して今回の地震が起きた可能性が高い」とみる。その上で「今後も周辺で地震が起きる可能性はあり、十分な備えが必要だ」と注意を呼びかけた。
東北大大学院の日野亮太教授(海底地震学)は今回の震源域の近くにある、1968年の十勝沖地震(M7・9)で破壊された固着域に注目する。「固着域は三つに分かれているとされ、25年12月の青森県東方沖の地震(M7・5)で北側の一部が壊れた。今回の地震の詳細な解析はこれからだが、南側が破壊されたのでは」と分析する。
さらに中央には、94年の三陸はるか沖地震(M7・6)で壊れた固着域があるとされる。日野教授は「真ん中はそのまま割れ残っているとみられる。役者がどんどんそろっており、最後の固着域が今後心配な状況になりつつある」と話した。
北海道・三陸沖後発地震注意情報は今後1週間の注意を呼び掛けているが、佐竹健治・東京大名誉教授(地震学)は「昨年秋から地震活動が起きていることを考えれば、もう少し長い期間備える必要がある。海域で再び地震が起きればまた津波が起きる可能性がある」と注意を促した。【寺町六花、河内敏康、垂水友里香、岡田英】

住民や事業者の防災対応=「後発地震注意情報」―内閣府

「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を受け、内閣府が発表した住民や事業者が今後1週間取るべき防災対応は次の通り。
【住民】地震による揺れを感じたり、津波警報などが発表されたりした場合、速やかに避難できる態勢の維持▽現金や身分証明書、常備薬などの常時携帯▽安全な避難場所・避難経路の確認▽避難態勢を維持するなどした上で社会経済活動を継続▽偽・誤情報の拡散は絶対に行わず、食料品や生活必需品の必要以上な買いだめは控える
【事業者】避難場所や避難経路、誘導手順の確認の徹底▽従業員や施設利用者への正確かつ迅速な情報伝達▽交通機関や学校を含め、従業員や利用者が直ちに避難できる態勢を維持した上で、社会経済活動を継続。 [時事通信社]

新幹線、トンネルで停車も 海沿い眠れぬ夜再び 青森で震度5強

また眠れない夜が続く――。三陸沖で20日に発生したマグニチュード(M)7・7の地震。最大震度5強を観測した青森県をはじめ北海道、岩手県の太平洋側に津波警報が発表され次々と津波到着の一報が伝えられるなか、東日本大震災の記憶が残る海辺の住民らは高台に避難するなどしながら不安そうに事態を見守った。気象庁は夜に、2025年12月以来の北海道・三陸沖後発地震注意情報を発表。今後1週間程度、巨大地震への注意や備えを促す。
海沿いによぎる震災の記憶
「15年前の東日本大震災ほどではなかったが、強い揺れだった。津波警報が解除されるまでしばらくここから動けないだろう。自宅が海のすぐそばなので心配だ」
岩手県釜石市の高台にある薬師公園に避難してきた同県山田町の男性(35)は顔を曇らせた。高台には地震発生直後から近くにある大型商業施設などから避難する人が参集。防災無線から津波警報の発表を知らせるサイレンが鳴り響くなか、スマートフォンで連絡を取ったり地震や津波の状況を確認したりしていた。
前岩手県大槌(おおつち)町長で行政書士の碇川豊さん(75)は高台にある町内の自宅で仕事中、大きな揺れに襲われた。棚の茶わんやコップが落ちるほどの激しさで、外に出て遠くから海を眺めると、海岸の防潮堤に波がぶつかり波紋が広がっているように見えたという。「防潮堤を越えるほどの波ではなかったが、やはり東日本大震災を思い出した」と話した。
80センチの津波を観測した岩手県久慈市の50歳代の男性会社員は、「久慈港は会社から50メートルぐらい離れたところにあるが、海水が少し引いているようだった。第1波は低かったようだが、第2波、第3波が心配だ。普段よりも道が混んでおり、車で避難しているのだなと思った」と振り返る。
震度4を観測した北海道函館市の函館駅前は防災無線が鳴り響き、「海岸には近づかないでください」などとアナウンスされた。駅構内にいた兵庫県のイラストレーターの男性(50)は「列車の写真を撮るため、陸橋の上にいた。橋の上だったので、すごく揺れて怖かった」と不安そうな様子。市内にある「函館山ロープウェイ」は一時運転を見合わせ、施設内は多くの観光客でごった返した。再開を待つ列に並んでいた名古屋市の会社員、吉田晃一さん(55)は「地震自体は気付かなかったが、防災無線が怖かった」と語った。
新幹線、一時停電も
地震の影響で東北新幹線は一時的な停電が発生。20分ほどで送電は再開されたが、その後も東京―新青森間は運転を一時見合わせた。新青森から東京へ向かう新幹線に乗っていた毎日新聞社員(51)によると、岩手県二戸市の二戸駅を出てすぐのトンネル内で車内の照明が落ちて緊急の照明に切り替わった。数秒後に乗客の携帯電話から緊急地震速報が鳴り始め、そのままトンネルの中で停車した。
その後、車掌が「けがされた方はいますか」と車内を回っていたが、特段混乱はなかったという。停電が解消されて列車は最寄り駅まで移動しそこで待機。「停電で空調が止まり蒸し暑くなったので少し気分が悪くなったが、すぐに電車が動き始めてよかった」と振り返った。
避難者、続々
各地で避難指示も出た。
震度5弱を観測した青森県おいらせ町は津波警報の発表直後、東日本大震災で浸水した範囲と同じ地域を対象に避難指示を出した。避難所6カ所を開設し、直後から数十人の住民が避難した場所もあった。担当者は「横揺れが長く続いた。物が机から落ちるほどではなかった」と振り返った。
釜石市の市立釜石小体育館には、午後6時時点で周辺住民ら約200人が避難。近くに住む女性(70)は地震の後、貴重品をリュックサックに入れて高台の公園に上がった後、市職員の指示で移動した。東日本大震災当時は5カ月ほど避難生活を送ったといい、「先週末も長野で大きな地震があり、不安に思っていた。避難が長時間にならないでほしい」と声を落とした。【奥田伸一、佐藤岳幸、遠藤大志、高山純二】

「家庭用エアコン」の冷媒に使う「フロン類」の回収規制を強化へ…廃棄業者らに罰則、来年の法改正目指す

環境省は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの一種で、家庭用エアコンの冷媒に使われる「フロン類」の回収規制を強化する方針を固めた。大気中に放出させた場合に罰金などを科す「フロン排出抑制法」を来年にも改正し、現在は業務用機器が対象の規制を家庭用に広げる。古い家電を引き取って廃棄する業者らにフロン回収を徹底させ、排出減につなげる。
フロンは、温室効果が二酸化炭素の最大1万倍超あり、排出減が世界的な課題となっている。日本はフロン排出抑制法で、廃棄される業務用エアコンなどを対象に、業者らがフロンを回収せず放出させた場合、1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科している。
同省は、家庭用についても、正当な理由なくフロンを放出させた業者らに罰則を科す方針で、今冬までに新たな規制強化策をまとめて来年の法改正を目指す。
家庭用エアコンのフロンは本来、家電リサイクル法でメーカーに回収を義務づけている。個人がエアコンを交換・廃棄する際、有料で引き取った小売業者経由でメーカーが回収する。
しかし、個人によっては「無料引き取り」をうたう業者に廃棄を依頼したり、自宅の建て替え時に解体業者に廃棄を任せたりしている。業者の一部は市場価値のある金属のみ取り出し、フロン回収を怠っている。
現在、主に使われるフロンはオゾン層を破壊しない「代替フロン」だ。同省の推計では、2024年に廃棄されたエアコンの使用済み代替フロンが回収された台数は業務用53%、家庭用45%にとどまる。リサイクルに回らない家庭用の多くは未回収とみられている。
政府は、代替フロンの年間排出量(二酸化炭素換算)を30年までに13年比で6割減とする目標を掲げるが、エアコン需要の高まりなどで、23年の排出量は13年比44%増の3170万トンと逆に増加。家庭用エアコンの廃棄時の排出量は664万トンで全体の2割に上る。
◆フロン類=空気中の熱を放出・吸収する性質を利用し、エアコンなどの冷媒に使用。オゾン層を破壊する「特定フロン」は生産が規制され、現在は「代替フロン」が広く活用される。

池袋の自動車暴走事故、松永拓也さんに届いた「被害者ノート」が心の回復の一歩に…国・自治体に理念広がる

2019年4月に起きた東京・池袋の自動車暴走事故から19日で7年となる。妻子を亡くした松永拓也さん(39)は、事故直後に手にした一冊のノートを今も大切に持ち歩いている。事件や事故の被害者が直面する現実への方策をまとめた「被害者ノート」だ。民間の支援団体が作ったノートの理念は、国や自治体にも広がりつつある。(鈴木直人)
「混乱して自分が何に困っているのかも分からなかった」。松永さんは今月5日、妻・真菜さん(当時31歳)、長女・莉子ちゃん(同3歳)と暮らした都内の自宅でノートを開き、事故直後の状況を振り返った。
悲しみに打ちひしがれる中でも、やらなければいけないことが次々に押し寄せた。行政手続きや捜査協力、弁護士との打ち合わせなど、慣れないことばかりで「暗闇の海の中に放り投げられた感覚になった」。
公的なパンフレットにも目を通したが、専門用語が多く、精神的に余裕がない状態で理解するのは難しかった。インターネットで検索しても、整理された情報にはたどり着けなかった。
松永さんのもとに被害者ノートが届いたのは、事故から約1か月後。送り主はノートを考案した「関東交通犯罪遺族の会(あいの会)」代表理事の小沢樹里さん(45)だった。「一人で苦しまないでください」との手紙が添えられていた。
ノートは、小沢さんらが発足させた団体「途切れない支援を被害者と考える会」が14年に制作した。刑事手続きや弁護士の選任、自治体への各種届け出、相談・支援窓口のほか、マスコミへの取材対応の方法などがA4判約100ページにまとめられている。
警察や役所で同じ説明を繰り返すのに備え、事故の発生日時や場所のほか、被害者の当日の行動を記録するページがある。松永さんは現場周辺の地図を印刷して貼り付けた。あの日、昼休みに職場からかけた最後のテレビ電話が思い出された。「買い物と莉子を遊ばせるため南池袋公園へ」「帰り道に事故」――。書きとめながら涙があふれた。
事故後は眠れず、食べ物も喉を通らなくなった。「自分の心は壊れたんじゃないか」と不安に襲われた。そんな時「心配になるでしょうが、正常な反応」というノートの一文が、落ち着きを取り戻させてくれた。
「ノートに書いて事実と向き合うことが心の回復の一歩だった」。松永さんは自らの経験を踏まえ、講演など行く先々でノートの存在や必要性を伝えている。
国土交通省は22年から、「交通事故被害者ノート」の配布を始めた。事故による後遺障害の治療や看護を行う病院の紹介、被害者を介護する家族のコラムなど、交通事故に特化した情報をまとめ、約2万5000部を発行した。東京都や新潟、佐賀両県のように、同様の被害者ノートを独自に作る動きもある。活用の広がりは大きな前進だ。
松永さんは昨春、最愛の2人と暮らした都内の自宅に生活の拠点を戻した。真菜さんが料理する姿や、壁からぴょこんと顔を出す莉子ちゃんの表情――。思い出すのはつらいが、2人を近くに感じていたいと思ったからだ。
事故後に始めた講演は今年2月に100回を超えた。活動の根底には、被害者ノートに記した「もうこんな思いを誰にもしてほしくない」という決意がある。それでも悲惨な事故は起きる。「誰かに聞かれたときにすぐ見せられるように」。松永さんのバッグにはきょうもノートが入っている。
◆池袋の自動車暴走事故=東京都豊島区東池袋の都道で、旧通産省工業技術院元院長の男性の車が暴走。横断歩道の通行人らをはね、母子2人が死亡、9人が重軽傷を負った。男性は禁錮5年の実刑判決を受け、受刑中の2024年10月に93歳で死亡した。