心臓の筋肉への血流が不十分となる「無症候性心筋虚血」などの新たな治療のため、東京大病院(東京都文京区)に入院していた上皇さま(91)は18日、退院された。心臓への負荷を和らげる新たな内服薬の量を調整する目的で14日から入院していた。
上皇さまは2012年に心臓を取り巻く冠動脈のバイパス手術を受けており、22年には三尖弁(さんせんべん)の閉鎖不全による右心不全と診断された。今年5月の検査入院では自覚症状がないものの、一定以上の運動負荷で心筋への血流が不十分となる無症候性心筋虚血の診断を受けていた。
上皇さまはその後、冠動脈の血流を改善する薬を服用。筋力維持のための運動の量や時間は減らしていたが、心筋虚血の症状は十分に改善されず、内服薬の追加を主治医らが決めた。
新たな内服薬は徐脈や不整脈などの副作用が出る可能性があるため、入院して心電図などを確認しながら投与量を調整していた。
上皇后美智子さま(90)は連日、東大病院に通い、退院時も上皇さまに付き添った。【高島博之】
京アニ放火殺人6年、遺族や社員が祈り…社長「心を一つに恥ずかしくない作品を作り続ける」
2019年7月に36人が死亡、32人が重軽傷を負った京都アニメーション放火殺人事件の発生から6年となった18日、現場の京都市伏見区の第1スタジオ跡地で追悼式が営まれた。遺族や社員ら約160人が参列し、犠牲者に祈りをささげた。
京アニによると、式は跡地に設置されたテント内で非公開で営まれた。発生時刻の午前10時35分頃に参列者全員で黙とうし、八田英明社長があいさつで「心を一つにして恥ずかしくない作品を作り続けたい」と述べた。
京アニは事件後の6年間で映画7本、テレビアニメ4本を発表。今月6日からは事件後初となる完全新作アニメのテレビ放送も始まる。
一方、京都府宇治市の「お茶と宇治のまち歴史公園」に設けられた「志を繋(つな)ぐ碑」にも、遺族や知人らが訪れた。碑は昨年7月に完成し、犠牲者数と同じ36羽の鳥が羽ばたく様子がデザインされている。
男性が“薬物”摂取させられる動画も 3か月間監禁・暴行疑い
男性をおよそ3か月間監禁し、重傷を負わせたとして、建設会社社長の男ら7人が逮捕された事件で、社長のスマホから男性が違法薬物のようなものを摂取させられる様子を撮影した動画が見つかっていたことが分かりました。
警視庁によりますと18日朝、送検された建設会社社長の大城優斗容疑者ら7人は共謀して、ことし1月から4月にかけ、取引先に勤務する30代の男性を監禁し、熱湯をかけたり、金づちでたたいたりするなどの暴行を加え、重傷を負わせた疑いが持たれています。
その後の捜査関係者への取材で、大城優斗容疑者のスマホから、男性が違法薬物のようなものを摂取させられる様子を撮影した動画が見つかっていたことが分かりました。
男性は保護された直後、「悪いのは私なんです」などと話していて、警視庁は大城容疑者らが暴行や違法薬物により、男性を精神的に支配していたとみて調べています。
順天堂大医院側に6300万円の賠償命令 検査2日後に女性患者死亡
順天堂大付属順天堂医院(東京都文京区)で検査を受けた2日後に女性患者(当時72歳)が死亡したのは、検査を担当した医師のミスが原因だとして、遺族が病院側に計約2億2000万円の賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は18日、病院と担当医に計約6300万円の支払いを命じた。
訴状によると、女性は胆管の病気が疑われ、2021年2月に順天堂医院で検査を受けた。担当医は、胆管内にカテーテルを挿入した上で、内部の状態を見やすくする薬剤を注入し、さらに器具を使って胆管を拡張して状態を確認した。検査終了後、女性は容体が急変。死因は血液の循環不全だった。
遺族側は訴訟で、担当医の過失で胆管に穴が開き、血液の循環不全が起きたと主張。検査前に「胃カメラを入れるのと同じようなものだ」と説明され、死亡するようなリスクの注意喚起はなかったと訴えた。
これに対し、病院側は、そもそも検査で胆管に穴が開いた事実はなく、担当医の処置と死亡に因果関係はないと反論。さらに、死亡するリスクがあることは検査前に女性に説明し、同意書も得ていたとした。
遺族は24年12月、担当医を業務上過失致死容疑で警視庁に刑事告訴している。【安元久美子】
母子殺害で逆転無罪の元刑務官 国と大阪府の賠償認めず 地裁判決
大阪市平野区で2002年に起きた母子殺害事件を巡り、無罪が確定した元刑務官の男性(67)に対する捜査や公判の妥当性が争われた訴訟で、大阪地裁(三村憲吾裁判長)は18日、国と大阪府に計約1億2400万円の損害賠償を求めた男性の請求を棄却した。
男性は義理の息子の妻(当時28歳)とその長男(同1歳)を殺害したなどとして、02年に殺人と現住建造物等放火の罪で起訴された。1審は無期懲役、2審は死刑を言い渡した。
しかし、10年の最高裁判決は二つの有罪判決を破棄。差し戻し後は1、2審とも無罪となり、17年に確定した。男性は一貫して無罪を主張していた。
検察側は現場マンションの共用灰皿で見つかったたばこの吸い殻72本のうち、1本に男性のDNA型が付着していたことを有罪立証の柱にした。しかし、残る71本を大阪府警が紛失していたことが刑事裁判の途中で明らかになった。
男性側は、吸い殻は変色が進んでおり、事件以前に被害者の携帯灰皿を経由して捨てられた可能性を主張していた。
その上で警察や検察は、吸い殻を紛失したことで男性の有罪を立証できなくなったはずだと指摘。それにもかかわらず、紛失を隠しながら捜査や公判を続けたのは違法な刑事手続きだとしていた。
府側は「紛失した吸い殻は重要な証拠ではなかった」、国側も「紛失後もほかの間接事実を含めて立証を尽くせば男性の有罪判決があり得る状況だった」として、それぞれ請求棄却を求めていた。【木島諒子、松原隼斗】
4月当選の新人市議5人のボーナス、49万円多い満額70万円誤支給…東松島市
宮城県東松島市議会事務局は17日、4月に当選した新人市議5人に夏のボーナスを1人当たり約50万円多く支払っていたと明らかにした。すでに全員返還したという。
市によると、新市議5人は在職期間が短いため、7割減の21万円のところ、満額の70万円を支払った。事前に届いた明細を見て不思議に思った新人が、再選された議員に尋ねたところ過払いが判明したという。
また、監査委員事務局からの指摘で、再選議員にも約1万円多く支払ったことが分かり、返金を求めている段階だという。担当者の勘違いによるミスで、議事総務課の宮川崇課長は「二度と起こさないようにする」と話した。
福井中3殺害事件、殺人罪で服役した前川彰司さん再審無罪…名古屋高裁金沢支部
1986年に福井市で中学3年の女子生徒を殺害したとして殺人罪で懲役7年が確定し、服役した前川彰司さん(60)の再審で、名古屋高裁金沢支部(増田啓祐裁判長)は18日、1審・福井地裁の無罪判決を支持して検察側の控訴を棄却し、「再審無罪」とする判決を言い渡した。
前川さんは87年に逮捕され、一貫して否認。1審は無罪としたが、2審・高裁金沢支部は「事件後に血のついた前川さんを見た」とする知人6人の証言をもとに逆転有罪とし、最高裁で確定した。2004年に再審請求をし、11年に再審開始決定が出たが、その後、取り消された。2回目の請求に対し、同支部は昨年10月、福井県警が各証言を誘導した疑いを指摘し、再び再審開始決定を出した。
再審公判の争点は確定審と同様、6人の証言の信用性だった。
検察側は「いくら巧みに誘導しても、6人全員に全く架空の虚偽供述はさせられない」と主張。弁護側は「各証言には多数の重大な変遷がある」として、誘導があったと訴えた。
前川さん、国賠提訴の意向=拘束日数に応じ刑事補償も―福井事件
福井中3女子殺害事件で、再審無罪判決が言い渡された前川彰司さん(60)は18日までに取材に応じ、「(無罪判決が出ても)終わりではない。民事でも事件は裁かれるべきだ」として国などを相手に損害賠償を求める訴訟を起こす意向を示した。
前川さんは、自身が知人らの供述によって逮捕、起訴されたことや、検察側が第2次再審請求審になって初めて重要な証拠を開示したことなどに言及。「どういう事情でこんなひどいことをされたのか、一体何があったのかも含めて可能な限り事件の真相を知りたい」と語った。
再審公判で無罪になると、刑事補償法に基づき、拘束された日数に応じて1日当たり最大1万2500円の補償金を請求できる。静岡地裁で再審無罪が言い渡された袴田巌さん(89)は、約47年7カ月の拘束期間に対して約2億1700万円の交付が決まった。
前川さんの拘束日数は、逮捕から一審無罪判決までの約3年6カ月や服役した約5年3カ月などを基に算出するとみられる。 [時事通信社]
参政党が急失速か…参院選「台風の目」のはずが賛同率ガタ落ち、他党も街頭演説で“攻撃”開始
いよいよ、2日後に迫った7月20日の参院選。選挙戦序盤から台風の目となっているのが新興政党の「参政党」だ。
読売新聞の情勢調査によると、全選挙区に候補者を擁立した参政党は、東京で優位に立ち、埼玉、愛知、大阪でも攻勢を強めて接戦を演じているという。比例でも4~10議席を得る勢いで、野党で最多の議席を奪う可能性があるという。神谷宗幣代表(47)も「1議席でも多く貪欲に取りたい」と鼻息が荒い。
しかし、土壇場で情勢がガラリと変わるのが選挙だ。とくに、この参院選は大混戦だけに風向きが少し変わるだけで議席数は大きく変わってくる。はたして参政党は、投票日まで勢いを維持できるのか。すでに“失速”の予兆が現れている。
投稿サイト「note」が参院選に関する投稿を分析した結果、参政党に賛同(ポジティブ)する投稿の割合は下落傾向にあるという。
6月中は、参政党への賛同率が70%を超える日もあったが、7月以降は30%台から50%強で推移しているという。科学的根拠を欠いた主張や陰謀論的な主張、排外主義に対する批判も目立ちはじめているという。
参政党にとって痛いのは、他党が街頭演説で“参政党攻撃”をはじめたことだ。選挙戦序盤は相手にしていなかったが、投票日が近づくにつれ参政党批判を強めている。
神谷代表も危機感が強いのか、16日「昨日から明らかに攻撃のレベルが上がりました」と、Xに投稿している。
ロシアによる裏工作疑惑が直撃
さらに、支持者離れにつながりかねないのが、ロシアとの関係が取り沙汰されはじめたことだ。ネット上では「参政党の急伸の背景には、ロシア製ボットによるプロパガンダがあったのではないか」といった意見が飛び交っている。
参政党は「日本人ファースト」を掲げているだけに、ロシアから裏工作を受けているという見方が広がったら、票を失いかねない。
「代表の神谷さんは『参政党は親ロ派ではない』と訴えていますが、過去に『ロシア側にはロシア側の言い分もある』などと、ロシア寄りの発言を繰り返していたこともあって疑惑を払拭しきれないようです。民放の情報番組も、ロシアの関与について報じ、政府も官房副長官が『偽情報拡散を含む影響工作を展開している例が国際的にある』と、半ばロシアの裏工作を認めたため、疑惑が深まっている状況です。早くも参政党候補の街頭演説では、『ロシアの手先か』というプラカードが掲げられています」(霞が関事情通)
投票日まで残り2日。情勢は変わるのか。
「最近の有権者は、投票前にネットで政党や候補者について調べる傾向があります。投票日までに、参政党に対してネガティブな情報がネット上で増えれば、参政党の勢いにブレーキがかかるのではないか。意外なのは、無党派層のなかには『参政党か、れいわか』で迷っている有権者が一定数いるということです。右と左、正反対の政党なのに迷っている。それだけに、ちょっとしたことで参政党の議席は伸び悩んでおかしくありません」(政界関係者)
「参政党 躍進」という大手メディアの事前予測は、どこまで当たるのか。
◇ ◇ ◇
参院選神奈川で猛攻の参政党の候補には、なんと過去に横領疑惑が…関連記事【もっと読む】で詳しく報じている。
娘(当時7)の人工呼吸器外し窒息死 母親(45)に執行猶予付き判決 福岡地裁「肉体的精神的な疲労は察するにあまりある」
今年1月、福岡市の自宅で在宅介護をしていた7歳の娘の人工呼吸器を外し窒息死させたとして殺人の罪に問われていた母親に対し、福岡地裁は、懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡しました。
自力で呼吸できず、寝たきりの状態だった娘を自宅で介護
判決を言い渡されたのは、福岡市博多区の無職、福崎純子被告(45)。
福崎被告は今年1月、自宅マンションで、在宅介護をしていた当時7歳の心菜ちゃんの人工呼吸器を外し、窒息死させたとして殺人の罪に問われていました。
福岡地裁の判決
18日に行われた裁判で、福岡地裁は「被害者と確実に心中を遂げるための準備をしていて、殺意の揺るぎなさは顕著」とする一方で、「被害者の生命の維持は被告人の介護養育に委ねられていて、肉体的精神的な疲労は察するにあまりある。社会内で贖罪の日々を送らせるべき」などとして、福崎被告に懲役3年執行猶予5年の判決を言い渡しました。
心菜ちゃんは生まれつき、筋肉が萎縮していく難病を患っていて、自力で呼吸できず、寝たきりの状態で生活していました。
検察、懲役5年を求刑 弁護側は執行猶予付き判決求める
検察は「何度も生命の危機を乗りこえ難病と闘いながら必死に生きてきた被害者の尊い命を奪った」などとして、福崎被告に懲役5年を求刑していました。
一方、弁護側は、「呼吸器を外すだけで簡単に失われてしまう命を8年間、毎日必死に守り続けてきた被告人のこれまでの努力を思うと、被告人に実刑を科すのは余りにも酷であり、被告人に罪を償わせるということ以上に、被告人を孤立させず、支援していくということが重視されるべき」などとして執行猶予付きの判決を求めていました。
これまでの裁判
当時、大量の薬を服用したとみられ、心菜ちゃんと倒れていた福崎被告。
これまでの裁判で検察側は、「心菜ちゃんの治療を親族から批判されたり、夫に介護の手伝いを頼んだ際に一度、不機嫌な態度を取られ、無理心中を図った」などと主張。
福崎被告は「間違いありません」などと起訴内容を認めていました。
弁護側は、「親族からの言動で自分と娘が周囲に疎まれているという、強い孤独感と疎外感を持つようになっていた」などと主張していました。