トランプに媚びるだけの高市早苗に首相の資格はない…東大名誉教授が見抜いた「真正保守の政治家」の正体

憲法9条は自衛隊という日本の「戦力の現実」と「戦力は保持されず行使されない」という虚構に立脚した法体制の間の根本的矛盾を生みだしている。
この9条を抜本的に解決する憲法改正なくして、立憲主義的に統制されたかたちで、日本の主体的安全保障体制を確立することは不可能である。
私は長年にわたりこのことを論じてきた。本年3月11日にプレジデントオンラインで公開された、改憲問題に関する高市首相の姿勢を批判した拙稿で、この問題に触れている(参照、「東大名誉教授『高市首相のやり方は姑息だ』…タカ派のはずが『憲法9条改正』から逃げ回るズルさの正体」、「『反政府デモの鎮圧』に『基本的人権の停止』…高市ブログから発掘された『憲法9条改正私案』のヤバい中身」)。
本稿の前編でも、この問題が孕む危険性について敷衍(ふえん)した。
朝鮮戦争を受けて再軍備した後70年以上にわたり、戦後日本はこの問題を放置し続けてきた。しかし、国際情勢は激変し、日本の安全保障環境も緊迫化している。2022年2月以降のウクライナ戦争、2023年10月以降のガザ戦争は、国際法を無視した軍事的暴力が跋扈(ばっこ)する現実を世界に突き付けている。
さらに、戦後国際秩序の主導国であり、日米安保体制下で日本の同盟国である米国も、第2次トランプ政権下で、放縦化・無責任化してしまった。新年早々、ヴェネズエラ侵攻、2月末以降はイラン侵攻と、国際法を公然と蹂躙する侵略に走っている。
特にイラン侵攻は、長期化・泥沼化する危険性を孕み、石油輸入の90%以上を中東に依存する日本にとっても深刻な危機である。
前編で批判した「9条があってよかった」という9条礼賛言説は、さらに深刻な事実の歪曲をはらんでいる。日本が法律上、米国のイラン侵攻に軍事協力できるだけでなく、既に軍事協力してしまっているという事実を隠蔽しているのである。以下、この点を説明する。実は、集団的自衛権行使解禁以前ですら、ヴェトナム戦争からアフガニスタン戦争・イラク戦争に至るまで、日本は他国に対する米国の軍事侵攻に対し、在日米軍基地の提供や兵站支援などを通じて、戦時国際法上、米国の交戦行動に対する協力・支援とみなされる加担をしてきた。
既に報道されているように、今般のイラン侵攻でも、米国は沖縄の在日米軍基地から2000人以上の海兵隊員をイランに向けて派遣しつつある。
イラン領土――恐らくカーグ島――への海兵隊の上陸を支援する強襲揚陸艦トリポリも佐世保港から出港している。
さらにイラン空爆に使用されたトマホークの一部は横須賀基地から出港した米国イージス艦ミリウスとジョン・フィンより発射されたものである。
既に米国がイランと交戦状態になっている時点での、米国による在日米軍基地のこのような活用は、国際法上、米国の交戦行動への日本の加担とみなされる。
実際、イラン革命防衛隊元司令官ホセイン・カナニモガダムは、3月21日に放映されたTBSのニュース番組で、次のように発言している。
「現時点で、日本にあるアメリカ軍基地がイラン攻撃のために使用されているという情報は持っていません。しかし、もしアメリカ海軍が日本にある基地を使用すれば、我々は日本の船舶とアメリカ軍基地を攻撃せざるを得ません。そのような戦争は見たくありませんが」
残念ながら、カナニモガダムのいう「情報」は既にイランが有している。イランは米国・イスラエルとの交戦が主眼で、他の諸国がこの2大敵国に多少の軍事的加担をしたからといって、直ちに他の協力国に対し戦線を拡大する軍事的余力はないと思われる。そのため、その加担の程度が一定の閾値以下で、しかも石油購入で経済支援するというような代償措置もあるなら攻撃を自制するだろう。
しかし、これは戦略的自制に過ぎず、法的制約ではない。イランに対し政治的交渉のさなかに先制攻撃したのは米国とイスラエルであり、両国の軍事侵攻に後方支援・兵站支援する第三国に対する攻撃は、カナニモガダムが主張するように、イランにとって正当な自衛権行使の一部である。
実際、サウジアラビア、UAE、クウェート、カタール、バーレーンなど米軍基地を置く湾岸諸国は既に激しい攻撃をイランから受けている。
英紙テレグラフの3月26日の報道によると、2月28日の開戦以降、イランが中東地域の軍事基地104カ所を攻撃し、このうち米軍基地13カ所は被害が大きく、部隊が生活できない状態になっており、駐留米兵は一部の基地から撤収し、現在、近隣のホテルや事務所で勤務しているという。
日本は米国のイラン侵攻に既に加担しているにもかかわらず、イランの戦略的自制により、攻撃を免れているだけである。
しかし、イラン指導層が空襲で次々殺害されており、後継指導者たちは一層過激化していると伝えられている。イランの戦略的自制がいつまで続くかは分からない。
さらに、故安倍晋三元首相は90%以上の石油を中東に依存する日本にとって、ホルムズ海峡機雷封鎖は存立危機事態になり、自衛隊を出動させると主張した。
高市首相は安倍晋三への心服を公言している。茂木外相をはじめ日本政府が自慢するように、日本の海上自衛隊は世界最高水準の掃海能力をもつ。老朽化した自国の掃海艦船を中東から撤退させている米国は、本格的なホルムズ海峡掃海に乗り出す決断をした場合には、日本の自衛隊の掃海能力に期待を寄せるのは不思議ではない。
トランプは4月7日にイランとの一時停戦を宣言したものの交渉が決裂し、ホルムズ海峡逆封鎖という対抗策を打ち出した。しかし、ホルムズ海峡全面封鎖は、イランの石油収入を絶つだけでなく、中東産油国と中東の石油に依存する世界中の国々の経済を破壊し、米国にもそれが跳ね返るため、長く続けられるはずがない。逆封鎖策が持続可能性をもつには、米国の要求に従ってイラン指定航路利用を止めた諸国には、安全航行を米国が保証する代替航路を提供しなければならない。そのためにはイランの機雷を掃海する必要がある。米国が派遣している駆逐艦にも限定的な機雷掃海能力があるが、大規模な掃海には専門的な掃海艇と掃海部隊が必要である。そのためにトランプが海上自衛隊に掃海協力の圧力をかけてくる可能性を想定外にするのは許されない。
だがもし日本が自衛隊を出動させるなら、カナニモガダムが「見たくはない」と警告する事態が現実化するであろう。日本は既に米軍への出撃拠点提供でイラン侵攻への軍事協力をしており、自衛隊参戦もいまや「法律上できること」である。憲法9条の下で、この様な危険な状態に日本は置かれていることを、日本人は自覚しなければならない。
3月11日にプレジデントオンラインに公開した前掲拙稿で、憲法9条改正問題に対する高市首相のヌエ的姿勢を私は批判した。
およそ20年前には、高市首相は自身のブログで立憲主義的人権保障を骨抜きにするような危険な国家緊急事態宣言制度と抱き合わせになった愚劣で危険な9条改正案を提唱していた。
それにもかかわらず、本年2月の抜き打ち解散総選挙では、憲法9条を変えるのか変えないのか、9条2項温存して自衛隊明記するという、全く問題の解決になっていない安倍加憲案に追随する現在の自民党の「改憲モドキ案」を維持するのか、それを超えて9条2項明文改正に進むのか、明文改正するとすればどう改正するつもりなのかについて、何ら触れず、選挙を、政策論争を棚上げした「サナエ人気投票」にすり替えて、自民党を大勝させた。
しかし、自民党大勝で憲法改正が現実的な政治的射程に入った今も、高市首相は9条改正問題について具体的な論議をプッシュしていない。
それどころか高市首相は「イラン侵攻への米国の軍事協力要請に対する歯止めとして9条が効いている」という愚かな9条礼賛論者の誤解・願望思考を利用して、「トランプ会談をうまく切り抜けた」というイメージ操作をし、自らへの世論の支持を維持しようとしているのではないかと疑わせる。
若かりし高市は「愚劣で危険な改憲派」、解散総選挙前後の高市は「9条改正モドキ案を正す気のない似非改憲派」だったが、いまや高市は「護憲派」やそのシンパの誤解にすり寄る「なりすまし護憲派」に化けようとしているかに私には見える。
米国の圧力に対し、まともに政治的交渉で立ち向かえないので9条を利用するというのは、第2次安倍政権以前の歴代保守政権が活用した方便だった。
米国が占領期に日本を非武装化する憲法9条を押し付けながら、朝鮮戦争後は日本再軍備に方針転換し、国際情勢の緊迫化の度ごとに軍拡要請をしてきたのに対し、吉田茂以降、歴代保守政権は解釈改憲で応じてきた。
だが、米国から実際に軍事協力を求められるたび、「専守防衛・個別的自衛権の枠だけは超えられない、これは米国が押し付けた憲法9条の限界であって、そこは理解してほしい」と懇願して切り抜けてきたのである。
私はこれを「保守の悲しい知恵」と呼んでいる。「悲しい」のは「属国」が「属国」の立場で必死に「宗主国」に懇願しているかのような姿を感じてしまうからだ。ただ、それでも、米国からの集団的自衛権行使解禁圧力を撥ねつけてきた点では、それは一つの政治的な「知恵」だった。
しかし、第2次安倍政権は安保関連法制で日本側の集団的自衛権行使を解禁し、自衛隊派遣範囲の地理的限定さえ取り払った。すなわち、日本以外の他国と米国との軍事紛争における米国への軍事協力を可能にしたことで、この「保守の悲しい知恵」ですら捨て去ってしまったのである。
しかも、見返りに日本有事の際の米軍の出動に関し具体的なコミットメントを米国から取り付けることすらなかった(日米安保条約5条は自動執行性がなく、米国は米軍の参戦を、自国憲法を根拠に拒否する可能性を留保している)。
私は第2次安倍政権のこの対応は日本の政治的自立性を示すどころか、米国に対する根拠なき「見捨てられ不安」に基づく愚策であると批判した(拙著『憲法の涙』毎日新聞出版、2016年、第4章など参照)。
前編で指摘したように、集団的自衛権行使解禁は米国が日本に求めてきたもので、日本がそれに踏み切ったことを米国は大歓迎した。米国政府は、第2次トランプ政権も含めて、日本の歴代保守政権が「保守の悲しい知恵」により使ってきた「9条カード」を第2次安倍政権が捨ててくれたたことをよく知っている。
さらに、安倍政権による集団的自衛権解禁を支持する高市は、首相になった後、台湾有事問題で、米国ですら保持している「戦略的曖昧性」を捨て去って、台湾海上封鎖の際に「存立危機事態」認定をして自衛隊を出動させるという「元気な発言」をしたが、これはごく最近の話であって、トランプもこのことを覚えていないはずがない。
イラン情勢の展開は予測不可能であり、トランプの日本への要請がどうなるかも予測不可能だ。日本が「9条の制約」を根拠に米国の軍事協力要請圧力をかわせないことは、先述したように、高市首相自身がよく知っているはずである。それが分からないのなら首相を務める資格はない。
同じ旧敗戦国であるドイツやイタリアですら、米国のイラン侵攻への軍事協力、特に侵攻のための自国内米軍基地使用を拒否しているにもかかわらず、日本がイラン侵攻に対してこのような毅然たる態度をとれず米国の軍事的属国と化しているのは、直接には日米地位協定と関わるが、ドイツもイタリアも米国との二国間協定で自国内米軍基地に対する統制権を確保しているにもかかわらず、日本がこの属国的な地位協定を変えられない根本的理由は憲法9条にある。
憲法9条により、自衛隊が「日陰者・半人前の軍隊」にされているだけでなく、憲法的・法的に統制されないため、暴発をコントロールできない銃のように「危なすぎて使えない軍隊」となっている。この事態が放置されてきたのは、「いざとなったら米国が守ってくれるから、自衛隊を憲法上曖昧な存在にしたままでも大丈夫」という甘えがあったからである。この米国依存症的甘えが、米国への軍事的追従を生みだしている。「護憲派」の中には「9条固持して、地位協定だけ変えろ」と主張する者もいるが、倒錯も甚だしい。9条があるからこそ、属国的な日米地位協定を日本政府は変えることができないのである。
それなのに、立憲主義的に統制された主体的な安全保障体制を日本が確立するために必要なまともな9条改正に向けた政治的プロセスを高市首相が推進しようとしないのは、一体なぜか。「9条の制約が米国の圧力に対するカードとして有効だ」などという9条礼賛論者の愚劣な誤解のおかげで、「トランプの圧力をうまく切り抜けた」という誤解が保守層にまで広がっており、その結果、高市の高支持率が維持されている。高市はこの状況を利用して、9条改正を検討しているふりだけして先送りし続けるのが自己の権力基盤を維持する上で得策だと考えているのか?
もしそうだとしたら、米国が「ならず者超大国(a Rogue Superpower)」と化し、世界秩序を安定化させるどころか、根底から攪乱し、日本の軍事的・経済的安全保障環境も緊迫化させているこの危機的状況において、日本の国益を守り、公正な世界秩序形成への日本の貢献力を高める責任を担う首相を務める資格は高市にはない。
「高市はトランプ会談で中東への自衛隊出動を約束したかったが、周囲がそれをさせなかったので、辞意を一時漏らした」との噂も流れているようである。この噂は、真偽は別として、根本的に的外れである。高市が辞任すべきだとしたら、その理由は、欧州各国首脳のように、「これは日本の戦争ではないから自衛隊は出動させられない」ときっぱり拒否できなかったこと、そしてその原因である9条問題の抜本的解決をさぼっていることにある。
高市早苗よ、ホワイトハウスで口を開けて踊る愛嬌ある姿でトランプ政権を喜ばせている場合ではないことを知り給え。
「日本列島を、強く豊かに」する真正保守の政治家としての自負が本当に高市にあるのなら、日本がマッカーサー元帥に言われた「精神年齢12歳の少年」から、米国と対等に渡り合える大人に成熟するために必要不可欠な9条問題の抜本的解決という課題に、いまこそ政治生命をかけて立ち向かうときである。
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(法哲学者・東京大学名誉教授 井上 達夫)

「学校らしくない中学校」大野城市に開校 ボードゲームや1人になれるスペースも 福岡県内4校目

福岡県内で不登校の児童・生徒が増加する中、様々な学びの形を応援する中学校が開校しました。コンセプトは「学校らしくない学校」です。
23日に開校したのは、大野城市立「みずほ中学校」です。地域の集会所を転用した校舎では、開校を記念して式典が行われました。
みずほ中学校は、文部科学省が指定する「学びの多様化学校」です。
不登校の経験がある子どもたちを受け入れて、学習指導要領にとらわれず、柔軟なカリキュラムを組める特例の学校で、県内の中学校では4校目となります。
■川本聖記者
「みずほ中学校のコンセプトは、学校らしくない学校。こちらの和室では、くつろぐこともできるし、勉強することもできます。」
学校が生徒たちにとっての「第2の家」となるよう、ストレスを感じない空間づくりを目指して、和室が設けられています。
また、生徒たちが活動に応じてグループを作りやすいよう、教室では机とイスが動かしやすくなっています。
■川本記者
「こちらの教室は、生徒たちが自由に活動できるよう、様々な形の机が並べられています。さらに、奥には仕切りを使って生徒が1人になれるスペースも用意されています。」
1人になりたい時は、仕切りで個別の空間を作ることもできるということです。
コミュニケーションを取りながら、みんなで楽しめるボードゲームなども用意し、誰もが通いたくなるよう工夫しています。
福岡県によりますと、県内の公立小中学校の不登校の児童生徒は年々増加していて、2024年度は過去最多の1万9307人に上りました。
こうした中、改めて通学できるよう、みずほ中学校ではソフト面も工夫しています。
スクールカウンセラーによるサポート体制を整えたほか、年間の授業時間数を既存の中学校よりおよそ100時間少なくしてゆとりを持たせ、一人一人の個性に寄り添った教育を進めることにしています。
■みずほ中学校・瀬口勇治 校長
「仲間と一緒に過ごす時間は、とても大切で楽しいことだと感じてほしい。自分は成長しているなと感じて、3年間を過ごしてほしいと思っています。」
入学式は24日に行われ、1年生から3年生まで合わせて18人が新たな学びやの門をくぐる予定です。
※FBS福岡放送めんたいワイド2026年4月23日午後5時すぎ放送

《クマ目撃相次ぐ》専門家が明かす「昨年の大量出没との違い」出会わないための“基本対策”

ゴールデンウィークが近づき、山のレジャーやキャンプに向かう動きも本格化。そこで気になるのが「クマの出没」だろう。
目撃情報は各地で出始めており、21日には岩手県紫波町山屋の沢で警官がクマに襲われ大けが、周辺にはクマに襲われたとみられる遺体が見つかった。
「空腹だから攻撃」ではない
この時季のクマの動きには、実はある程度の“順番”がある。森林総合研究所・野生動物研究領域の中下留美子氏によれば、冬眠明けはオスから動き始め、その後に単独のメス、1歳の子を連れたメス、そしてその年に生まれた子グマを連れたメスへと、徐々に活動が広がっていくという。
「“冬眠明けは空腹で危険なのでは”と感じる人もいるかもしれませんが、実際には少し違います。山には新芽や山菜といった食べ物が豊富にあり、越冬中に死亡したシカなどを利用することもあるため、基本的には山中で採食しながら過ごしています。空腹そのものが攻撃性に直結するわけではないのですが、人と至近距離で突然出会ってしまえば、防御的な反応として攻撃行動が出ることはあります」(中下氏、以下同)
特に子グマを連れたメスはその母性本能の強さから警戒されやすい存在だが、常に攻撃的というわけではなく、多くの母グマは人の気配を察すると身を隠してやり過ごそうとする。また、この時期は子グマの行動範囲がまだ狭いため、母グマは「冬眠穴」の周辺にとどまることも多いとされる。
昨年、東北地方を中心にクマの大量出没が相次いだ背景には、秋の主要な餌であるブナの広範囲での不作があった。餌を求めて人里周辺まで移動する個体が増えたことが、大きな要因とみられている。
「今年については、ブナの花芽の形成は良好とされ、秋の結実も並作から豊作になる可能性があります。そのため、少なくとも昨年のような広域的な大量出没がそのまま再現される可能性は高くない見通しです。ただし、餌の状況や気象条件によって変動するため、注意が不要になるわけではありません」
出会わないための「基本対策」
人里への出没には「学習」の側面もある。昨年、人里で食べ物を得た経験を持つ個体は、その場所への警戒心が弱まり、繰り返し出没する可能性がある。地域や個体ごとにクマの出没状況が異なるのはこのためだ。
さらに、目撃情報の中には見間違いと考えられるケースも多い。黒い影や動く物体をクマと誤認する例もあり、情報の増加とともに不安が先行しやすい面もある。冷静に状況を見極めることも大切、と中下氏は話す。
では、これからのレジャーシーズン、山に入る際には何に気をつけるべきなのか。
ポイントはシンプルで、「クマとばったり出会わないこと」に尽きる、という。クマによる事故の多くは、不意の近距離での遭遇によって起きているためだ。
まず重要なのは、行き先のクマの出没情報の事前に確認。現地で新しい痕跡、たとえば春であれば糞や足跡などが見つかった場合には、その周辺にクマがいる可能性があるため、無理に進まず引き返す判断も必要。
行動面では、複数人での行動に加え、会話や鈴、ラジオなどで音を出し、人の存在をあらかじめ知らせておくことが有効だ。特に注意したいのは、クマが活発に動く薄明薄暮の時間帯や、せせらぎで音がかき消されやすい沢や川沿い、クマが潜みやすい藪の中などである。
春は山菜やタケノコのシーズンでもあり、人もクマも同じ“食べ物のある場所”に集まりやすい。その結果、お互いに気づかないまま距離が縮まり、思わぬ遭遇につながるケースが毎年起きている。
さらに見落としがちなのが、食べ物やゴミの管理。人の食べ物の味を覚えたクマは、人里やキャンプ地に繰り返し現れるようになる。食べ残しやゴミの放置は、クマを引き寄せる原因になりかねない。必ず持ち帰ることが基本だ。
中下氏は「クマは本来人間を避けて行動します。存在を過度に恐れる必要はないですが、油断は禁物」としたうえで、「適切な距離をとり、基本的な対策を押さえていれば多くのトラブルは防げます」と話す。クマがいる可能性を意識しつつ、しっかりと備えをしたうえで春のレジャーを楽しみたい。

京都男児遺体 不明の日から1か月 公衆トイレと池を…父親の動き“裏付け捜査”か

京都府南丹市で安達結希くんの行方が分からなくなってから23日で1か月です。結希くんの遺体を遺棄したとして父親の優季容疑者が逮捕された後も、警察は「公衆トイレ」と「池」を重点的に捜査しています。
安達結希くんが行方不明になった日から1か月。23日も現場近くの献花台には多くの花が手向けられ、結希くんを悼む人の姿がありました。
献花に訪れた人「孫と同じ年代の子だったからどうしても気になって。かわいそうすぎる」
逮捕された父親の安達優季容疑者は、逮捕前の任意の聴取では殺害を認める供述をしているといいます。そして23日、新たに逮捕前の聴取に「学校に送った後、公衆トイレに寄った」とも説明していたことが明らかになりました。
ただ、これまでに結希くんが亡くなったいきさつや遺棄された経緯は分かっていません。
「news zero」は父親の優季容疑者が逮捕された後の警察の2つの動きから分かることを元神奈川県警捜査1課長の鳴海達之氏に聞きました。
まず1つ目の動きが「公衆トイレでの現場検証」です。18日、警察は自宅から2キロほどの場所にある公衆トイレで現場検証していました。トイレの中だけでなく、裏手にある川の周辺や十数メートル離れた休憩所でも鑑識活動を行う様子がありました。
自宅で朝食を食べたのを最後に生存が確認できていないという結希くん。これまでに分かっているのが、優季容疑者が逮捕前の任意の聴取で“結希くんと学校まで一緒に行った後、別の場所に連れて行き殺害した”という旨の供述をしていたこと。そして、その方法については「首を絞めて殺した」という趣旨の供述をしていたことです。
ただ、警察によりますと、実際に優季容疑者の黒い車が学校近くに行っていることは確認されていますが、ドライブレコーダーの映像が一部なくなっていて、結希くんが遺棄されるまでの詳しい経緯はわかっていないといいます。こうした点を踏まえて、トイレでの現場検証について鳴海氏は…
元神奈川県警捜査1課長・鳴海達之氏「容疑者がここで何かをしたというのを供述しているんだと思います。出てくる試料の中身によるんですけど、もしそこで尿反応があるなら、そこで殺害した可能性とそこで遺棄した可能性がある。容疑者が話をしている内容と現場の状況が一致するかどうか、いわゆる裏付け捜査です」
2つ目の動きが「池の捜索」です。21日と22日、警察は結希くんの遺体が見つかった山林からおよそ1.8キロの場所にある池を捜索していました。水の中だけでなく、周辺の草むらも念入りに捜索していました。
これまでにも、結希くんのものとみられるリュックや靴が市内の別々の場所で見つかっていましたが、遺留品の捜索をしているのでしょうか。この捜索について鳴海氏は…
元神奈川県警捜査1課長・鳴海達之氏「例えばの話、結希くんの帽子を捨てたとかリュックに入っていた中身を捨てたというなら、それが出てくれば秘密の暴露になるわけだから、大きな証拠になると思う。供述をしているので、その池を捜索しているという見方では」
また、こうした捜査の様子から“警察が客観的な証拠を探している可能性がある”と指摘します。
元神奈川県警捜査1課長・鳴海達之氏「容疑者が話していること以外に証拠がないんですよね。(勾留満期の)5月6日までに死体遺棄について証明しなきゃいけない。時間がないですから、容疑者の供述が本当なのかどうか、事実について話をしているのかどうなのか、裏付けがどれだけとれるかによって判断される」
逮捕後の取り調べに素直に応じているという優季容疑者。警察は事件の全容解明を進めています。
(4月23日放送『news zero』より)

外国人転勤、審査を厳格化 入管庁、来日前の実態把握

出入国在留管理庁はこのほど、企業に勤める外国人が日本国内の事業所に転勤する際の在留資格「企業内転勤」の審査を厳しくし、来日前の勤務実態を把握できる公的資料などの提出を必要とするよう運用を変更した。政府の総合的対応策で「資格該当性のない業務への従事防止」が求められたことなどを踏まえた。在留資格審査は、厳格化の動きが続いている。
入管庁によると、4月1日から、企業内転勤の審査では外国での社会保険加入の証明や、外国事業者の法人登記、納税状況などの資料提出が必要になった。従来は在職証明書などの提出で事足りたが、海外での勤務実態が正しく反映されているかどうか調べるには限界があったとしている。企業内転勤の在留外国人は、昨年末時点で約1万9千人。
入管庁の担当者は、不適切な在留目的の外国人が資格を悪用しないよう「適正な審査をする上で必要な措置だ」と説明している。

遺族ら、犠牲者の冥福祈る=知床沖観光船事故4年―北海道

北海道・知床半島沖で2022年4月、観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没し、死者・行方不明者26人を出した事故から23日で4年となった。地元斜里町で追悼式が行われ、被害者遺族ら90人が参列。事故が発生したとされる午後1時すぎのサイレンに合わせて黙とうをささげ、犠牲者の冥福を祈った。
山内浩彰町長は式辞で「事故を決して風化させない。安心して訪れることができる知床であるため、地域全体で具体的な行動を積み重ねる」と決意を示した。知床斜里町観光協会の野尻勝規会長は「安全の確保が最大の使命」と誓った。
行方不明となっている小柳宝大さん=当時(34)=の家族は、船が出港したウトロ漁港で黙とうした。父親は海水に手を付け、「こんなに冷たい中へ飛び込まなければならなかったと思うとつらい」と吐露。「漁港に来ると見つかっていない息子と対面するような気持ちになる」と話した。
会場の献花台には町民らが訪れ、花を手向けた。事故発生時に斜里町長として対応に当たった馬場隆さん(75)は、「乗客家族はこの4年間、苦しみや悲しみ、憤りを抱えながら生きてこられた。その気持ちが少しでも和らいでほしい」と声を絞り出した。
運航会社「知床遊覧船」社長の桂田精一被告(62)=業務上過失致死罪で公判中=の姿は見えず、同社名義で花が届けられた。 [時事通信社]

梅田・結婚式場入る23階建てビルから飛び降り 20代女性2人の死亡確認、部屋には遺書

23日午後1時40分ごろ、大阪市北区茶屋町の高層ビルから「人が落下したようだ」と110番があった。大阪府警曽根崎署によると、女性2人が23階建てビルの19階から飛び降りたとみられ、落下現場と搬送先の病院でそれぞれ死亡が確認された。2人はいずれも20代とみられ、同署が身元や詳しい状況を調べている。
同署によると、2人は宿泊するホテルのベランダから転落した可能性があり、部屋には2人が残したとみられる遺書らしき文書があった。2人はいずれも地上に達する前に中層階の屋根上などに落下。チェックアウトの時間を過ぎても連絡が取れないため、部屋を確認した従業員が異変に気付いたという。
現場は阪急電鉄大阪梅田駅に近い繁華街に位置する、ホテルや結婚式場が入る高層ビル。

「最悪」「不当判決」=敗訴の障害者ら―駅無人化

鉄道駅の無人化を巡る訴訟で、障害者に対する差別だとは認めなかった23日の大分地裁判決について、原告らからは「不当判決だ」「人権的な考え方が全くない」など憤りの声が上がった。
午後3時、法廷で裁判長が「請求をいずれも棄却する」という主文を読み上げた。傍聴席に詰め掛けた支援者らからは、ため息とともに「最悪だ」との声が漏れた。
脳性まひの原告、宮西君代さん(63)は判決後の記者会見で「私たちの自由な権利を少しも認めなかった」と声を詰まらせた。
弁護団代表の徳田靖之弁護士(81)は「裁判所は大企業の擁護者に成り下がった」と批判。「これからも戦い続ける」との姿勢を強調した。 [時事通信社]

岩手で山林火災 2か所で同時発生 200ヘクタール以上延焼…なぜ被害拡大?

岩手県で発生した山林火災。大槌町によりますと、200ヘクタール以上が延焼、2588人に避難指示が出ています。2か所で同時に発生した火災、なぜこれほど拡大したのでしょうか。
山林火災発生から1日以上が過ぎても届かない収束の知らせ。
記者「消火活動のヘリコプターが炎の方へと向かいます。放水しました」
22日夜、2つの地区で相次いで山林火災が発生した岩手県大槌町。一夜明けても、山へとつながる道は規制線がはられたまま。収まる気配のない煙、中には立ち並ぶ住宅のすぐ裏手に炎。予断を許さない状況が続きます。
記者「住民の方でしょうか、山を見ている様子があります。こちらの住民の方も山を見ています。心配そうに見つめています」
住宅街に迫る炎。
「(Q:これだけ大規模な山火事)初めて。寝たきりの母親もいますから、どうしてもギリギリまで(避難できない)。このまま穏やかに鎮火してもらいたい」
朝から懸命な消火活動が続いていますが、なかなか鎮圧には至らず。それどころか、上空から見ると…
記者「雲のように見えるもの、これほとんど煙とみられています。あたり一帯の視界をふさぐような形で煙が覆っています」
うっすらとしか見えない町の輪郭。
記者「複数の場所から大量の煙が上がっています。海側から内陸側、東から西へと弱い風が吹いています。風に乗って煙や火が広がっていると思われます」
大槌町で1つ目の火災が起きたのは22日午後1時50分ごろ、小鎚地区。そのおよそ2時間半後、10キロほど離れた吉里吉里地区でも山林火災が発生しました。町によりますと、焼けた範囲はあわせておよそ201ヘクタール。
通報者「火のまわりがはやかった。最初は煙、それからすぐ火がついた。赤くなって『ついた』って。そのくらい風が強かった」
これまでに、小鎚地区では住宅など建物7棟が焼け、60代の女性が避難所で転倒しケガをしたということです。
避難指示のエリアも拡大。およそ1200世帯、2600人ほどが対象です。避難所に身を寄せていた人は…
小学6年生「震災のときは高いところに逃げれば大丈夫だけど、火事の時は囲まれたら終わりだからちょっと怖かった」
「震災で、津波で全壊して、高台に家を建てた。今度は山からの火事で、また家が燃えそうになっている。早く消えてほしいの一言」
さらに、この地域では3日前、三陸沖を震源とする地震を受け「北海道・三陸沖後発地震注意情報」も発出されています。
「(Q:後発地震注意情報も山火事も)パニックです。地震が来て、津波が来て、上にあがると山でしょ。火事でしょ。どこに行けばいいのかな。怖いです。本当に怖いです」
同じ日、同じ町内で起きた2つの山林火災はなぜ起きたのか。専門家は…
山林火災に詳しい 千葉大学・峠嘉哉准教授「2か所の距離が10キロ離れていて、飛び火で2件目が起きたかというとそうではない。独立して2件の林野火災が同じ日に起きたと」
10キロという距離から、2つの火災は別々の火災と分析。今の時期は山火事が起こりやすい時期だということです。
山林火災に詳しい 千葉大学・峠嘉哉准教授「『乾燥・強風』の条件と『地形が急峻(急で険しい)』な条件だと延焼速度がはやくなって大規模化しやすくなる」
17日から「乾燥注意報」が連日発表されていて、この10日間の雨量は、平年と比べてかなり少ない大槌町。週末にかけても晴れて空気の乾燥が続き、まとまった雨が降る可能性は低い見込みとなっています。

<独自>辺野古転覆「全員船から落とされた」 生徒ら緊迫通報、内容判明 船長ら通報せず

沖縄県名護市辺野古沖で船2隻が転覆し、平和学習中の同志社国際高(京都府)2年の女子生徒ら2人が死亡した事故で、事故直後に生徒から「乗っていた船がひっくり返った。今は浅瀬にいて、近くの島まで泳いだ方がいいか」といった118番通報が相次いでいたことが23日、関係者への取材で分かった。詳細な通報内容から当時の緊迫した様子が判明した。転覆した抗議船の船長や乗組員、引率教員からの通報はなかった。
「もしもし、あの…」通話途切れ
事故は3月16日午前10時10分ごろ、辺野古沖にある浅瀬のリーフ(環礁)周辺で発生した。抗議船「不屈」が先に転覆し、救助に向かった抗議船「平和丸」も約2分後にほぼ同じ場所でひっくり返った。事故では、平和丸に乗っていた女子生徒と不屈の船長が死亡し、生徒12人と乗組員2人の計14人が負傷した。
関係者によると、最初の118番通報は午前10時14分だった。「もしもし、あの…」。終始雑音が混じり、音声も途切れ、内容を聞き取ることはできなかったという。
平和丸の船長や乗組員、抗議船に同乗しなかった引率教員が118番通報をしていないことは確認されており、2隻のいずれかに乗っていた同校生徒が通報したとみられる。
「島まで泳いだ方がいいか」
2分後の10時16分、たて続けに2本の通報が入る。1件目は不屈に乗っていた生徒からだった。
「辺野古のボートツアーに参加していたが、乗っていた船が大きな波にのまれて、全員船から落とされた。今は足がつく浅いところに立っているが、どうすればいいか」
生徒は、同志社国際高の修学旅行で訪れており、救命胴衣を着用していて色は赤と青であること、携帯電話の充電が78%残っていると伝えた。
ほぼ同時刻、平和丸に乗っていた生徒からも「乗っていた船がひっくり返った。今は浅瀬にいて、近くの島まで泳いだ方がいいか。救命胴衣は着ている」と通報が寄せられた。「乗っていた人は全員で20名くらい」「海上保安庁のゴムボートが7隻くらい救助に来ている」と事故現場の状況を詳細に伝えていた。
このあとゴムボートで現場に駆け付けた海上保安官と電話がかわり、転覆した抗議船の船底の上に5人いて、付近に浮いている2人は別のゴムボートが対応しているといった状況が報告された。(大竹直樹)