北陸新幹線の延伸をめぐる会議に「出席を拒まれた」。大阪府の交野市長が抗議です。
(交野市 山本景市長)「あまりにも許せない対応だと思っております」
北陸新幹線の延伸をめぐっては「小浜ルート」での計画が進められています。しかし、上水道の約8割を地下水でまかなっている交野市が「地下にトンネルが通れば市民生活に影響が出る可能性がある」などと指摘したことを受け、トンネルの開通が及ぼす地下水の影響について調査が進められています。
府などでつくる早期開通を目指す協議会は6月、交野市を含む沿線の自治体に対し、8月開く予定の会合に出席を求めましたが、交野市側から「地下水に影響が出ないよう工事を進めるよう述べたい」といった意見が届いたことから、7月17日、出席を拒んだということです。
協議会側はMBSの取材に対し、「機運醸成を図るための会なので、場にそぐわないと判断した」などと説明しています。
監禁中に詐欺電話かけさせたか=練習も、動画で撮影―取引先監禁致傷事件・警視庁
取引先の男性を約3カ月にわたり監禁し、全身に大けがをさせたとして建設業の大城優斗容疑者(24)ら男7人が逮捕された事件で、同容疑者が監禁中の男性に特殊詐欺の電話をかけさせていた疑いがあることが17日、捜査関係者への取材で分かった。
同容疑者は監禁時、男性に借金や保険の解約を迫り、計約200万円を受け取ったとみられている。警視庁捜査1課は同容疑者がさらに特殊詐欺で金を得るため、男性に電話をかけるよう指示した可能性があるとみて調べている。
捜査関係者によると、同容疑者のスマートフォンからは監禁中の様子を撮影した動画が複数見つかった。男性に暴行を加える場面のほか、詐欺の電話をかけさせたり、練習させたりする様子も映っていた。
同容疑者は昨年、受注した内装工事の代金を巡り、元請け会社とトラブルになった。男性は元請け側を代表して同容疑者と話し合いをしていたが、今年1月29日に東京都豊島区内の自宅から拉致された。4月30日に保護されるまで、ホテルやトランクルームなど計十数カ所に監禁され、熱湯を掛けられたり、ドライバーを突き刺されたりするなどの暴行を加えられたという。
男性は肋骨(ろっこつ)や腰の骨折、全身のやけどなど6カ月の重傷を負い、右目がぼやける後遺症も残った。保護された際は栄養失調状態で衰弱していた。「自分は監禁されていない」と話すなど、犯人と長い時間を共有した場合に好意や連帯感などを抱く「ストックホルム症候群」のような症状も確認されたという。 [時事通信社]
歌舞伎俳優の片岡我當さん死去、90歳 5月11日に肺炎のため 片岡仁左衛門の兄、立役で活躍
歌舞伎俳優の片岡我當(かたおか・がとう、本名片岡秀公=かたおか・ひできみ)さんが5月11日に肺炎のため都内の病院で死去していたことが17日、分かった。松竹が発表した。90歳。東京都出身。
すでに密葬を執り行い、弔問、香典、供花は辞退する。
我當さんは十三代目片岡仁左衛門の長男。弟は二代目片岡秀太郎、十五代目片岡仁左衛門。1940年10月大阪・歌舞伎座「近頃河原の達引」のおつるで片岡秀公(ひできみ)を名乗り初舞台。1971年2月大阪・新歌舞伎座「二月堂」良弁大僧正、他で五代目片岡我當を襲名した。
朗々たるせりふ回しに、スケールの大きな舞台姿、そして本人の観実な人柄を映す滋味にじむ演技で、立役として上方歌舞伎から江戸歌舞伎まで幅広い役どころを勤めてきた。
父・十三代目片岡仁左衛門から譲り受けた「近頃河原の達引」の猿廻し与次郎、「沼津」の平作、「新口村」の孫右衛門などは、素朴な人となりに情がにじみ、「仮名手本忠臣藏 九段目」の加古川本藏、「熊谷陣屋」の弥陀六、「輝虎配膳」の長尾輝虎などでは、役の複雑な性根を表現。義太夫狂言への造詣を活かした。
若い頃、二代目尾上松緑に師事したことで江戸の荒事を学び、「車引」の梅王丸なども演じた。上方歌舞伎の継承に熱心に取り組み、「上方歌舞伎会」などで上方の若手俳優の指導にも尽力した。また、長年にわたり関西における学生を対象とした「歌舞伎鑑賞教室」を行い、裾野拡大にも尽力した。
最後の舞台は、2020年2月歌舞伎座における十三世片岡仁左衛門二十七回忌追善狂言「八陣守護坡」佐藤正清。
暗号化データ復元 ランサムウエア対策で新ツール開発 警察庁
警察庁は17日、身代金要求型のコンピューターウイルス「ランサムウエア」により暗号化されたデータを復元するツールを新たに開発したと発表した。警察庁による復元ツールの開発は2例目。欧州刑事警察機構(ユーロポール)などが運営する被害者支援サイトを通じ、無料で利用できる。
復元ツールは、2018年以降に22カ国で少なくとも2000件の被害が確認された「Phobos(フォボス)」と「8Base(エイトベース)」に対応する。国内では、企業や病院、地方公共団体など約90件の被害が確認されている。
警察庁によると、フォボスを販売する犯罪集団の捜査で、米連邦捜査局(FBI)がデータを押収。それを警察庁サイバー特別捜査部が活用して開発した。
復元ツールを利用できる支援サイトの名称は「No More Ransom」で、日本語でも対応。警察庁のホームページでも公開している。暗号化の際にデータが壊れていなければ、ほぼ復元できるとされる。
サイバー特別捜査部は24年2月にも、ハッカー集団「ロックビット」が使うウイルスに対応した復元ツールを開発したと明らかにしている。【山崎征克】
「児童のリコーダーに体液」不同意わいせつ罪などに問われた元教諭、起訴事実認める…児童盗撮グループのメンバーか
児童のリコーダーに体液を付着させたなどとして、器物損壊罪や不同意わいせつ罪などに問われた名古屋市立小の元教諭の男(34)の初公判が17日、名古屋地裁(須田健嗣裁判官)であった。元教諭は起訴事実を認め、「被害者には一生残る傷を負わせてしまった」と謝罪した。元教諭は、教員が児童の盗撮画像をSNSのグループチャットで共有していたメンバーの一人とみられている。
起訴状によると、元教諭は2023~24年、担任を受け持っていた児童ら2人のリコーダーに体液を付着させるなどしたほか、今年1月には同市の駅ホームで女性(当時15歳)が背負っていたリュックに体液をかけて汚したなどとされる。
検察側は冒頭陳述で、元教諭にはグループチャットに投稿し、承認欲求を満たしたいとの考えがあったと指摘。リコーダーに体液を付着させ、その様子をスマートフォンで動画撮影したなどと主張した。
愛知県警は、元教諭のスマホを解析する過程でチャットの存在を把握。10人近くが参加し、教室での着替えなどを撮影した動画や画像が共有されていたという。グループチャットを巡っては、別の小学校教諭2人が性的姿態撮影処罰法違反で起訴されている。
無党派層、比例は立民がトップ 2位は国民と参政が並ぶ
共同通信の参院選情勢調査で「支持政党なし」と答えた無党派層は全体の16.7%に上った。この回答者に比例代表の投票先を聞いたところ、1位は立憲民主党15.0%、2位は国民民主党と参政党がともに11.3%、4位は自民党9.7%となった。自民が無党派層の支持でも苦戦している実態が浮かんだ。政党を上回る諸派もあった。
5位以下は、れいわ新選組5.5%、共産党4.8%、日本維新の会4.7%、日本保守党4.4%、社民党3.0%、公明党1.7%の順。諸派は、いずれも政治団体のチームみらい3.6%、NHK党1.7%、再生の道1.4%などだった。
今回調査で「まだ決めていない」は20.6%となった。
ハンターの50代男性が行方不明 林道で車と猟銃が見つかる 函館市恵山
函館市の恵山できのうから、ハンターの50代の男性が行方不明になっています。現場では男性のものとみられる車と猟銃が見つかっていて警察などがきょうも捜索を続ける予定です。
函館市の恵山付近の林道で行方不明となっているのは函館市のハンター柳原幸政さん52歳です。
警察によりますと柳原さんはきのう午前11時ごろ家族に「山に行く」と言って外出しましたが、午後3時すぎ、柳原さんの知人から「山に行って帰ってこない」と通報があったということです。
関係者によると、柳原さんはシカ撃ちに行ったとみられていて、恵山の林道で柳原さんのものとみられる車と猟銃が見つかっています。
周辺では今月12日にヒグマの目撃情報があったということです。
警察はきのうに引き続き、きょうもハンターなどと連携し柳原さんの捜索をする予定です。
ロシアの情報工作が日本のSNSを支配している…参院選前に自民党閣僚の悪質なデマがバズっている恐ろしい背景
「認知戦」と呼ばれる、私たちの頭の中をめぐるネットでの工作が、日本の民主主義を脅かす形で繰り広げられています。
7月2日の日本経済新聞では、ロシアによる情報工作の影が日本で広がってきたことを伝えています。ロシア当局の思惑に沿ったプロパガンダや偽情報を発信しているメディアの日本語アカウントが拡散しているということでした。(「ロシア情報工作、日本に影 政府系メディア、X拡散数3倍超 ウクライナ侵略で偽情報」)
現在、7月20日投開票日の参議院選挙真っ最中に、大規模な情報工作が日本のSNS空間で激化してきていますが、いま、日本のネット空間では偽情報や印象操作で社会を不安定化させようというロシアなどの工作が強まっているのです。
主戦場となっているのは、私たちが日常的に利用するTwitter(X)、TikTok、YouTubeショート、Instagramといった主要SNSプラットフォームです。ここに、石破茂総理大臣や岩屋毅外務大臣をはじめとする政権要人に対する偽情報や印象操作の投稿や動画に大量のいいねと初期アクセスが集まり、SNSプラットフォームのおすすめに掲載されることで拡散されているわけです。もちろん、その大多数はフェイクニュースや印象操作によるものです。
例えば、6月にはTikTok発で「農林水産大臣の小泉進次郎さんにはスイスで双子の隠し子がいる」という偽情報の動画が410万回再生という途方もないバズり方をしました。このほか、林芳正さんのハニートラップ、岩屋毅さんの中国スパイ説、反ワクチン言説などがあります。いずれも荒唐無稽なガセネタですが、しょうもない零細アカウントからでもハッシュタグをつけて偽情報が流れると、高評価・いいね万超えの大バズり動画が出現します。
もちろん、そこにはカラクリがあります。「その話だけ切り取られたら、誰もが怒る」ように作成された偽情報や印象操作に触れた多くの日本人が、その当事者である政府や要人に対して強い怒りを抱き、さらに批判や罵声を連鎖させますますネット上でバズるという、「不安定工作」の仕掛けが見てとれるのです。
例えば、ネットでよく流れているガセネタに「外務大臣の岩屋毅はスパイ防止法に反対だから中国のスパイだ」という定番がありますが、保守派の多くはスパイ防止法の導入に賛成ですから岩屋毅さんに媚中批判が集まります。
しかしながら、実際にはセキュリティクリアランス法や能動的サイバー防御法など周辺法規が成立し、個人情報保護法などの改正が控えているところでスパイ防止法だけを先行させられないので「慎重である」と岩屋毅さんは外相として述べたまでであって、むしろ、中国の日本EEZ内ブイ撤去や中国海警局による領空侵犯、尖閣諸島領海侵入ではかなり強い抗議をしています。
その点では、親中派とはほど遠い態度であり、同じく親中批判をされてきた前総理・岸田文雄さんも同様に対中国強硬派なのが実際です。
それでも、中国に対して弱腰であるという実態を伴わないネット世論は根強く、YoutubeやSNSで勇ましい反中国の言論をするとネットの視聴者が多く集まることから、排外主義的な動きと簡単にフェイクニュースや印象操作が結びついてしまうことになります。
政府や閣僚の信用を失墜させる目的で多くのネットユーザーに偽情報や印象操作の情報を流通させようとする情報工作の背後には、アメリカで報じられている事例と同様に、日本に対しても複数のロシア系企業やハッキングコミュニティなどが関係していると見られています。
彼らは人間の認知を誤認させる心理トリック(ダークパターン)として「レイジベイティング」や「クリックベイト」という巧妙な心理操作手法を駆使し、人々の感情を意図的に煽り立てています。
「レイジベイティング」とは、人々の怒りを意図的に引き出すコンテンツを作成・拡散する手法です。
古くから、マスコミが政府関係者の発言を切り取りで悪意のあるように報じ、それを見た国民が一斉にブチ切れるといった大衆操作が一般的でしたが、ネットではもっと容赦なく行われており、中にはディープフェイクなど架空の情報も大量に流布されます。簡単な例ではまだ一度も増税したことのないだけでなく、社会保険料の引き上げも行っていない石破茂政権が、消費税減税を見送るコメントを切り取られただけでそれを見た国民は怒り、ネットでは石破さんは増税野郎であるかのように話が流布されてしまいます。
また、「クリックベイト」は扇動的なタイトルで注目を集め、クリックを誘導する手法です。いわゆる釣りタイトルがこれにあたり、ユーザーが「なにこれ」とうっかりクリックやタップをすると、SNSプラットフォーム側は「おっ、このコンテンツにはユーザーは反応してくれる、良いものなのだな」と誤認し「良いものなら、他のユーザーにも見せてやろう」とおすすめ動画やトレンドに乗せてしまうのです。これらの手法は、人間の感情的な反応を悪用する「ダークパターン」と呼ばれる悪質な手法をネットに応用したものです。
こうした情報工作のカラクリで注目されるのは、大手SNSアカウントや、ニュースサイトを装った偽情報発信源です。当局筋によれば、日本でもロシアなど権威主義国との関係が疑われる大手アカウントは少なくとも12件、ソースロンダリングと呼ばれるあたかも中立のように装って正規メディアに交じって偽情報を流すネットニュースサイトは判明しているだけで20件以上あると見られます。
アメリカでは、ロシアによる対米プロパガンダとしてロシア系メディアが流す言説をそのまま掲載するロシア・トゥディ(RT)やスプートニク(Sputnik)といった媒体が工作に使われてきました。そして、SNSでは匿名掲示板「4chan」や大手SNSアカウントを持つ陰謀論系ポッドキャスト配信者、YouTuberなどを利用して、アメリカ政府・州政府や裁判所、警察など、米国社会の信頼の根源となる組織を偽情報や印象操作で攻撃し続けているのが現状です。この仕組みが日本にも上陸し、ここ2年ほど猛威を振るっている状況であると疑われています。
この背景には、日本に世論工作を仕掛けるロシアなどの技術的な進化も見逃せません。かつては日本語という言語の壁が大きな障害となっていましたが、最新の生成AI技術による自動翻訳の進歩により、この壁は完全に克服されてしまいました。裏を返せば、2022年ごろまでロシアなどの対日世論工作が上手くいかなかったことで、ネットを使う日本人の側がプロパガンダに無防備であり続けたとも言えます。
現在、ロシアなどは生成AIと複数のスマートフォンを組み合わせた「クリック工場」のようなボットシステムを運用しています。当局筋によりますと、日本でも現在確認されているだけで、Twitter(X)で約1400以上、TikTokで約2000以上、Instagram(Meta、Facebookリール)で約800以上のボットファーム(ボット群を動かす指令を出すサーバー)を稼働させていると見られています。
これらのボット運用は、各SNSプラットフォームの利用規約に明確に違反しているだけでなく、そこに広告が掲載されることから景品表示法違反や刑法の詐欺罪にも該当する重大な犯罪行為です。トレンドを捏造でき、SNSを使う多くの人を騙すこの手法は、企業のSNSマーケティングとして定着する一方、海外勢力においてはプロパガンダのための手法として、偽情報や印象操作のツールとして利用されることになります。
しかし、公職選挙法や情報流通プラットフォーム対処法などの法規整備が道半ばで、プラットフォーム側の対策が追いついていないのが現状です。プラットフォーム側としても、偽情報だろうがアクセスが増えて多くのユーザーがSNSにつながっていてくれる時間が長いほうが広告が多く再生され利益があるからです。つまり、このような問題について対策を打つ経済的なメリットがないということに尽きます。
工作活動に用いられるボットの運用が特に巧妙なのは、偽情報を拡散する際の手法です。投稿されたポストや動画の閲覧数やいいね、メンション、シェアなどのアクション数を初期段階で一気に増やし、各SNSのトレンドに乗せ、ハッシュタグを拡散させて人為的にバズらせる仕組みが構築されています。特にTikTokやYouTubeショートでは、視聴完走数を初期に稼ぐボットがTwitter(X)など他SNSに向けてシェアするとおすすめに載りやすいアルゴリズムを悪用し、バズらせることで大量の閲覧数を獲得しています。
これらのボットアカウント群はリポストして拡散の一翼を担い続けており、25年6月以降に参院選に向けてネットで流布された政府の不信感を煽るポストやコメント、動画は4億1600万回以上、さらに、政治的に極端なポジションをとる主張を広げる役割を担っています。一度ネット民の怒りに火がつくと、初期拡散したボット以上に「怒った国民が偽情報・印象操作を自ら拡散する」ため、ボットファームは火が消えないように次の偽情報・印象操作のネタを作って拡散させようとするのです。
特にバズった偽情報の投稿は、投稿後10分から15分の間というアルゴリズムが最も重視する「ゴールデンタイム」に、ボットがローテーションを組んで正確に400ずつリポストし、メンションをつけるという組織的な行動を取っています。これによりTwitter(X)で作られた偽情報のトレンドに乗っておすすめ欄に掲載されやすくなり、より多くの一般ユーザーの目に触れることになります。
さらに狡猾なのは、これらの「いいね」やリポストを初期に行うボットの半数以上が、情報拡散源のアカウントのフォロワーですらないという点です。これは、フォロー・フォロワー関係でクラスターを探すGraphRAGなどの検知手法を回避しボットの活動をバレにくくするための意図的な設計になっています。
現在、Twitter(X)でもTikTokでもYouTubeでも、外側からは「誰がいいね・高評価をしたのか」があまりわからない仕組みになっていますが、リポストとメンションはユーザー名とIDがわかるため、SNSのアルゴリズムを騙し爆発的に拡散させる仕組みにどのアカウントが関与したのか、そのアカウントがどのクラスタ(ネット上の特定の興味を持つ集団)に属しているのかがわかります。
アメリカでは2024年7月、ロシア製ボットを統括する二つのドメインが押収されました。そこで使用されていたのは「メリオレーター(Meliorator)」と呼ばれる派生発展型のボット管理ツールで、約2000件のボットを一括管理できる能力を持っていました。
日本で確認されている工作活動も、これとほぼ同じ手口で展開されており、現在視認されるだけで350個ほどのサーバーでボットファームが運用されており、単に高評価・いいねをするだけのボットアカウントも含めて60万件ぐらいが日本用に運用されているのではないかと推計されています。そして、総理・石破茂氏や外相・岩屋毅氏など重要閣僚に対するSNS上での組織的な誹謗中傷に利用されているのです。
このメリオレーターを用いるボットの特徴は、日本人を含む架空のオンライン上の人物を完璧に装うことができる点です。プラットフォーム事業者からのBAN回避のためか、時にはボット同士でさりげない会話を行うこともありますが、クラスター化して発覚するのを避けるため、相互にフォロー・フォロワー関係になることはあまりありません。さらにその下に、機械的にフォロワー数を増やすためだけのボットが存在し、俗に櫓(scaffold)と呼ばれるボットアカウントの多層構造を構成しています。
そして、これらのボットの注目すべき行動パターンとして、相手のペルソナ(人格)を疑う発言を繰り返すという特徴があります。例えば、石破茂総理を評価するアカウントに対して「あなたは日本人ですか」や「反日石破茂の支持者は外国人ファーストだ」などといった、見る側が驚くような短い文言をボットアカウントが投じてきます。これはレイジベイティングの対象となる一般アカウントを探し出すための手法であり、感情的な反応を引き出すことを狙っています。
これらの手法は、大学生から30代ぐらいまでの男性に特に有効とされる手法で、不安を感じやすい人ほど、出身地や通学する大学、勤めている企業などを名指しで攻撃されると偽情報・印象操作に支配されやすくなります。つまり、自分の意見に対して「あなたは日本人ですか」と帰属意識を強く揺さぶられると心理的に動揺し、割と簡単に「やっぱり『日本人ファースト』であるべきだ」と思うようになってしまうのです。
もちろん、日本人ファースト自体は当然のことなのですが、特に違法なことをしているわけではない、普通に日本で真面目に働いている外国人を排斥するような行動をするのは、知らず知らずのうちに権威主義国家のプロパガンダの術中にハマっている可能性があります。
これらの話は、EU(欧州連合)からの独立を求めるイギリスのEU離脱の是非を問う2016年の国民投票で離脱派が勝利した際や、同2016年のアメリカ大統領選挙で共和党・トランプさんが勝利したときにも旧ケンブリッジアナリティカ社によるSNSを利用したプロパガンダが一定の影響を果たしたことと通底しています。技術的には生成AIもボットも進化を続けていますが、行っている手法そのものは古典的なもので、裏を返すと9年前にイギリスやアメリカがやられたプロパガンダ作戦をそのまま、いま日本が喰らっている疑いがあるということです。
2022年に笹川平和財団で私も参加してサイバー空間・SNS上での偽情報対策の取りまとめも行ってきています。ご関心のある方は報告書をご参考いただければと存じますが、私としても「わかっていて、これだけやられてしまうというのは困る」の一語に尽きます。
いま正しい情報のあり方についてはかなり議論が進んでいるところではありますが、適切な形でのプラットフォーム規制が今回の参院選に向けては間に合わなかったというのは重大で、参院選終盤に向けて、また参院選結果を受けて、さまざま議論と対策が進んでいくことを期待しています。
参考
笹川平和財団「外国からのディスインフォメーションに備えを! サイバー空間の情報操作の脅威」
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(情報法制研究所 事務局次長・上席研究員 山本 一郎)
赤ちゃん遺体をゴミ袋に入れ放置か 逮捕された17歳少女「供養してもらいたかった」
集合住宅のゴミ置き場から赤ちゃんの遺体が見つかった事件で、警察は、赤ちゃんを出産した17歳の少女を死体遺棄の疑いで逮捕しました。
死体遺棄の疑いで逮捕されたのは福岡市東区の17歳の少女です。
警察によりますと、少女は自宅の部屋で出産した男の赤ちゃんの遺体を、14日、ゴミ袋に入れ自宅の玄関付近に放置して遺棄した疑いです。
同居する家族が、遺体が入っていることに気づかずゴミ置き場に移動させたとみられています。
少女は「出産時から赤ちゃんは動かなかった」「誰かに見つけてほしくて、供養してもらいたかった」と話し容疑を認めているということです。
一方、ことし3月、太宰府市の自宅で、出産直後に死亡した女の赤ちゃんの遺体を遺棄したとして、西麻紀容疑者(35)が逮捕されました。
「意識がもうろうとしていて出産した認識もない」などと容疑を否認しています
赤ちゃんは窒息死の疑いがあるということで、警察が死亡の経緯についても調べています。
東海や関東で激しい雨のおそれ 静岡県は総雨量500mmに達する可能性も
昨日は東海や関東で大雨となった所がありました。昨夜には一旦小康状態となったものの、今朝は再び活発な雨雲が流れ込み始めています。
明日17日(木)にかけて断続的に激しい雨が降るおそれがあり、静岡県では総雨量が500mmに迫る大雨になる可能性もあるため土砂災害等に警戒が必要です。
今日は断続的に活発な雨雲が通過
夏の高気圧が日本の東から勢力を強めている影響で、高気圧の縁に沿って吹く風が強まり、南から暖かく湿った空気が本州付近に流れ込んでいます。この影響で発達した雨雲が東日本~西日本の太平洋側に断続的に流れ込む見通しです。
今日16日(水)は東海、関東では次第に雨の範囲が広がり、午後にかけて発達した雨雲が次々に通過する見込みです。
今後新たに降ると予想される雨量
昨日大雨となった静岡県内では今日も1時間に50mm以上の非常に激しい雨の降るおそれがあり、今後さらに200mm前後の大雨が予想されます。既に多いところでは300mm以上の雨が降っているため、これまでに降った雨と合わせると総雨量が500mmほどに達してもおかしくありません。平常時よりも少ない雨量でも土砂災害が発生するおそれがあるため、傾斜地など危険な場所には近寄らないようにしてください。
関東でも局地的に激しい雨が降り、道路冠水や低地の浸水、都市河川の増水などの可能性があるため、注意してください。
明日は強雨のエリアが西へ
大雨のピークのタイミング
明日17日(木)は活発な雨雲が西へ移っていきます。東海では午前中を中心に発達した雨雲がかかりやすく、三重県では午後にかけても雨が強まる見込みです。
近畿から九州の太平洋側で断続的に強い雨が降るとみられます。高知県では13日(日)から14日(月)に大雨となったばかりの所に、また強い雨が降ることで災害リスクが高まる見通しです。