無許可で接待営業をしたとして、警視庁は11日、東京都内のガールズバー4店を営む4社を風営法違反(無許可営業)容疑で東京地検に書類送検した。罰則が強化された6月施行の改正風営法による法人の摘発は全国初という。
書類送検されたのは、「FourM」(渋谷区)、「ROGUENATION」(新宿区)、「セカンドフード」(立川市)、「HOPE」(相模原市)の4社。
発表によると、4社は6月28~29日、渋谷区、新宿区、立川市、町田市にある各店舗で、都公安委員会の許可を得ずに女性従業員らに客の接待をさせた疑い。
警視庁は同月下旬、4店を含む都内のガールズバー8店の経営者ら13人を同法違反容疑で逮捕していた。
悪質ホストクラブ問題を受けて成立した改正法では、無許可営業に対する法人への罰金の上限額が、改正前の150倍にあたる3億円に引き上げられた。
鶴保氏に辞職要求=能登4市町議会が抗議文―石川
自民党の鶴保庸介参院予算委員長が能登半島地震に関し「運がいいことに能登で地震があった」と述べたことについて、石川県輪島市など被災4市町の議会は11日、鶴保氏に抗議文を送付し「要職の辞職」を求めた。
抗議文は輪島市のほか珠洲市、穴水町、能登町の各議会議長の連名。「(陳謝の)コメントや態度も反省しているとはとても感じられるものではなかった。(被災者の)感情を逆なでするもので、到底看過できない」と断じた。同党の森山裕幹事長にも文書を送り、対応を求めた。
これとは別に、輪島市議会は同日、単独で鶴保氏に対し「人々の心を根底から深く傷つけるもので、絶対に許すことはできない」とする抗議文を出した。 [時事通信社]
トカラ列島地震1800回超 専門家「再び活動活発になった可能性が高い」鹿児島
地震が続くトカラ列島では11日、10日の4倍近くの86回の地震が観測されています。地震の専門家は「再び活動が活発になった可能性が高い」と話しています。
十島村では先月21日以降、これまでに震度1以上の地震を1861回観測しました。このうち震度5弱以上は8回です。
日ごとの地震回数をみると今月1日から6日にかけて1日100回を超えていましたが、9日は49回、10日は22回と減少傾向で、11日は午後5時までに86回と再び増加しています。
十島村では今月4日から島外避難が行われ、これまでに悪石島と小宝島のあわせて64人が避難しています。
村は避難している住民を島に帰すタイミングについて「震度4以上の地震が5日間以上発生しなかった場合」としています。しかし…
11日午後4時09分ごろと午後4時30分ごろ、悪石島で震度4の地震が発生しました。これを受けて村は「避難者を島に返すタイミングを会議を開いて検討する」としています。
再び地震活動が活発化したようにも見える現状について、測地学が専門の鹿児島大学・中尾茂教授は…。
(鹿児島大学・中尾茂教授)「活発化がまた始まった可能性が高い。21日以降地震が減っていたが、その後急激に数が増えたことがあるので数の推移を見ると同じようなことが起きていると考える」
増減を繰り返す地震。この先の見通しについては…。
(鹿児島大学・中尾茂教授)「少なくとも1週間以上急激な数で増えていかない状況を第一ステップと考えている。1週間くらい見ていかないと推移の変化は分からない」
今後も地震活動の推移を注意深く見ていく必要があると話します。
気象庁は、当分の間、震度6弱程度の地震に注意を呼びかけています。
マンホールのフタ吹き飛び道路大破…エアーハンマー現象か “爆発的”威力のワケ
10日、記録的大雨のさなか、横浜市ではマンホールのフタが吹き飛びました。「エアーハンマー現象」が原因とみられています。
10日午後7時半ごろ、横浜市港北区で撮影されたのは大雨による“恐怖の瞬間”でした。
マンホールから噴き出す水。
そして――
マンホールが吹き飛び、道路がめくれ上がり飛び散ります。
警察などによりますと、飛び散ったアスファルトなどが近くにいた車のフロントガラスを割り、親子2人が軽傷を負いました。
交差点にいた車のドライブレコーダーにもその瞬間が…。
車を運転していた女性は。
車の女性
「赤信号でよかった。タイミング合ったら本当に怖かった」
その後、信号が青に。ゆっくり慎重に進むと、周囲のマンホールのフタも外れたまま。マンホールからは水が出続け、大きながれきが散乱していました。
なぜ、マンホールは吹き飛んだのか。横浜市によると、考えられる原因はエアーハンマーと呼ばれる現象です。
横浜市によると当時、道路の下の下水管には大量の雨水が流れ込んでいて、水位が急上昇していたといいます。
一般的な下水管が耐えられる雨量は1時間あたり40ミリから50ミリでしたが、付近では当時、およそ100ミリの猛烈な雨が降っているとして、記録的短時間大雨情報が出されていました。
つまり、下水管が耐えられる2倍ほどの雨量が流れ込んだということ。
すると、下水管内にもともとあった空気が行き場を失い、マンホールの縦穴へ。次々と空気が流れ込むことで圧力が高まり、吹き飛んだとみられます。
現場をよく見ると、穴の近くにはマンホールのフタがコンクリートの枠にはまった状態で転がっています。
つまり、フタだけが吹き飛んだわけではなく、下水管とマンホールをつなぐ縦穴ごと吹き飛んだため、地面が割れるほどの被害になったとみられます。
東京23区でも猛烈な雨により、マンホールのフタがずれる被害が5件確認されています。
では、どのようにして回避すればいいのか。
撮影者は直前にある異変を感じていました。
撮影者
「水が絶え間なく噴き出ていて、そこから急に地面が地鳴りというか地震のような感じで揺れた瞬間に割れたというか爆発した感じ」
専門家も“音”が危険を察知する合図だと指摘します。
日本グラウンドマンホール工業会・大石直豪事務局長
「事前に空気が逃げようとするので、マンホールのフタ付近から『プシュー』『ゴボゴボ』、あるいはフタがカタカタと動く音。こういう音が聞こえたらもうマンホールには近寄らない」
都市部を中心に全国で起こる可能性があるというエアーハンマー現象。1番の対策は猛烈な雨が降った時は外出を控えることだと指摘しています。
豊洲のタワマン敷地で男性襲撃か=強盗傷害容疑で男3人逮捕―警視庁
東京・豊洲のタワーマンション敷地内で住人の男性に催涙スプレーを噴射し、殴るなどの暴行を加えたとして、警視庁捜査1課は11日までに、強盗傷害容疑で、いずれも職業不詳、小川大輔(44)=大阪府守口市東町、岩崎信明(38)=住居不詳、田中信悟(35)=同府豊中市庄内西町=各容疑者を逮捕した。岩崎容疑者は「身に覚えがない」と否認し、小川、田中両容疑者は「弁護士と話したい」と供述しているという。
同課によると、小川、岩崎両容疑者が実行役、田中容疑者が運転と見張り役だった。男性と3人の間に面識はなかったとみられ、同課は指示されて襲撃したとみている。
逮捕容疑は1月28日午後8時45分ごろ、江東区豊洲のタワーマンションの敷地内で、住人の40代男性の顔に催涙スプレーのようなものを吹き掛けた上、逃げようとしたところを追い掛けて転倒させ、棒のようなもので複数回殴った疑い。
男性は腰の打撲や顔面のやけどなどで2週間のけがをした。
岩崎、田中両容疑者は兄弟で、小川容疑者と交遊関係にあった。
捜査関係者などによると、3人は1月27日に大阪府から上京し、現場を下見した上で、横浜市内に宿泊。翌日、マンション付近で待ち伏せし、男性が外出先から帰宅して車から降りたところを襲った。男性に抵抗されたため、何も取らずに車で逃走し、同課が行方を追っていた。 [時事通信社]
SNSに溢れる「切り抜き動画」合計動画再生数が一番多いのは“第三者による投稿” 各党の対応は?【Nスタ解説】
党首や候補者の発言を短く編集した動画は日々、SNS上に投稿されていていまや選挙戦を左右するほど影響力が増してきています。誰が、どのような目的で作っているのでしょうか。
SNSに溢れる「切り抜き動画」
日比麻音子キャスター: “切り抜き動画”を見かける方も多いかと思います。公式の会見や演説などを短く編集し、SNSに投稿するというものです。
TBS報道局岩田夏弥政治部長: “切り抜き動画”はものすごく増えています。元々の会見や演説の一部を切り抜いているので事実は事実ですが、短い言葉でインパクトを出したり、字幕のスーパーを入れたりと、いろいろな工夫がされています。しかし、前後の文脈が気になります。
日比キャスター: 数秒、数十秒の動画が多いですから、短い時間にまとまっているように見え、それで理解した気持ちになってしまうという特徴もあると思います。
TBS報道局岩田夏弥政治部長: 本当ではありますが、奥深いところまでは理解できないというリスクはあります。
選挙×SNS 影響力は? 合計動画再生数を投稿者別にみると第三者が93.5%
日比キャスター: SNSの影響は過去の選挙戦においても出ていました。例えば、2024年7月の「東京都知事選」です。
TBS報道局岩田夏弥政治部長: 2024年はSNSと選挙がクローズアップされ、関心を集めた1年間でした。
「東京都知事選」では、石丸伸二氏がSNSを活用して2位に入りました。2024年11月の「兵庫県知事選」では、斎藤元彦氏が知事に再選しました。
いずれも、本人よりも支持者や様々な人たちによるSNSへの投稿がありました。量がかなり多く、情報の真偽がわからないまま選挙戦に突入し、選挙当日を迎えました。これでいいのかという議論にもなりました。
日比キャスター: SNSは“発信”だけではなく“拡散”や“共有”もできることが大きな特徴の1つです。
選挙戦におけるSNSの影響ですが、2024年の都知事選関連の「合計動画再生数」を投稿者別にまとめると▼政党3.4%、▼候補者3.1%でした。
残りの動画再生数を占めていたのは「第三者」による“切り抜き動画”。93.5%を占めていたということです。
TBS報道局岩田夏弥政治部長: 驚くほど多くの人たちが沢山の動画を作って、アップしているということです。動画制作者はどのような狙いで“切り抜き動画”を作っているのかを考える必要があると思います。ただ見ているだけだと、色々なリスクがあると思います。
日比キャスター: 再生回数と投票率が比例しない現象がありますよね。
TBS報道局岩田夏弥政治部長: 再生回数が多い“切り抜き動画”を一種の情報源として得ていても、投票に行くなどのハードルもあります。多く見られたから、必ずしも選挙の結果に繋がるとは言えません。ただ、相当な影響力を持っていると思います。
日比キャスター: 各党の対応をまとめました。「容認」が3つの党で、「条件付きで容認」が5つ、「その他」が2つとなっています。
【容認】 維新 条件なし 共産 拡散呼びかけ 国民 拡散呼びかけ
【条件付きで容認】 自民 偽・誤情報などは対応を検討 公明 党ガイドラインを順守 立憲 営利目的外のみ可 参政 党へ届け出必要 保守 悪意あるものは削除要請など
【その他】 れいわ 期限内に回答なし 社民 公益福祉に反する場合は対応
今後、ルールの整備はどうなるでしょうか?
TBS報道局岩田夏弥政治部長: 2024年の都知事選と兵庫県知事選を受けて、SNSの規制について与野党双方で議論となりました。やはり表現の自由の問題や、何を規制したら良いのか・悪いのか線引きがもの凄く難しいです。
公職選挙法の改正により、品位のない選挙ポスターについては禁止されましたが、SNSの発信については今後課題を認識して必要な措置を講じるという目標を明記しましたが、実際に制度化されていない状況です。
日比キャスター: 動画を見ると、誤っていない情報でも、誤った方向に捉えられかねない編集がされているものもありますよね。
TBS報道局岩田夏弥政治部長: 大勢の人たちが、いろんな動機や思惑で動画を投稿しています。中には、再生回数を増やして儲けたいと考えている人もいます。応援したい方であれば、その候補者にとって良い情報ばかり流してしまいます。逆に足を引っ張りたい人であれば、ある政治家の発言を悪意を持って流そうとするかもしれません。
ですので、もともとの動画は事実でも、扱われ方でどのような影響が出るのかについて、見る人は立ち止まって考えるべきだと思います。
参議院選挙 参考にしている媒体・情報の集め方は?
日比キャスター: 参院選で参考にしている媒体を聞いた世論調査の結果があります。
<参院選で参考にしている媒体は> ▼テレビ 31% ▼SNS・動画共有サイト 27% ▼新聞 17% ▼いずれも参考にしない 15% ▼政党・候補者HPやビラ 9%
<世代別参考にしている媒体は> 18~29歳 1:SNS 2:テレビ 30代 1:SNS 2:テレビ 40代 1:SNS 2:テレビ 50代 1:テレビ 2:SNS 60歳以上 1:テレビ 2:新聞
JNN電話世論調査 調査:7月5・6日 対象:全国18歳以上有効回答1010人
SNSを参考にしている世代が幅広いですね。
TBS報道局岩田夏弥政治部長: 50代の方もそうですし、60代の方でも増えています。SNSあるいはYouTubeといった動画共有サイトから様々な情報を得る中で、政治の情報もそこから見る方がどんどん増えている状況です。
南波雅俊キャスター: 実際に街頭演説に行くのと、切り抜きの一瞬を見るのだと印象も得られる情報も全く違います。でも、その印象って投票行動に繋がりますよね。例えば、スマートフォンで候補者の名前を調べると、ホームページを見るだけでも主張もわかるので、情報を一つ一つしっかりと判断して投票に結び付けたいと感じます。
TBS報道局岩田夏弥政治部長: 政治を身近にする、プラスな点がある一方、気をつけて使わなければならないこともまだまだあると思います。
========== 〈プロフィール〉 岩田夏弥 TBS報道局政治部長元官邸キャップ 小渕総理以来、主に政治取材を担当
スマホを握りしめた拳で…妻を暴行しけがさせる 傷害の疑いで男を逮捕 北海道栗山町
北海道・栗山警察署は2025年7月9日、栗山町の男(50)を傷害の疑いで逮捕しました。
男は9日午後11時すぎ、自宅で50代の妻の頭をスマートフォンを握りしめた拳で殴打し、けがをさせた疑いが持たれています。
警察によりますと、妻は軽傷で、「父親が母親を殴っている」と娘から110番通報が入ったことで事件が発覚しました。
当時、2人は自宅で一緒に酒を飲んでいたということで、調べに対し、男は「些細なことで口論になり腹が立った」と容疑を認めているということです。
兵庫・元県民局長死去から1年 斎藤知事、直接謝罪の思いも「ご遺族の意向」で実現せず 私的情報漏洩で謝意
兵庫県の斎藤元彦知事(47)が9日、県庁での定例会見で、自身のパワハラ疑惑などを告発した元県民局長の男性が死去してから7日で1年が経ったことについて問われ「元県民局長がお亡くなりになられまして1年が過ぎたという形になります。改めてお悔やみを申し上げたいというふうに思っておりますし、県政への、県職員におけるご尽力とご貢献には、感謝を申し上げたいというふうに思っております」と述べた。
その上で「県としては先般の、外部に県保有情報が漏洩したということで、管理すべき立場にある県として、元県民局長、それからご家族にご迷惑かけたということについては、先般よりお詫びを申し上げているところです。ご遺族に対して、県の人事課などからそういった謝罪の意というものは伝えさせていただいているという状況です」と説明。元県民局長の私的情報が漏洩したことについて、遺族に謝罪の意を伝えたことを明らかにした。
斎藤氏は「直接謝罪をさせていただくということも話の中では出ておりますけれども、ご遺族の方の意向もありまして、対応についてはそういった状況になる」として、遺族への直接謝罪は実現していないとした。
謝罪の意を伝えた時期などについては「詳細については、ご遺族の意向もありますので、差し控えておいた方がいいかなと思います。人事課の方から、ご遺族の代理人を通して、話をしてるということですので、ご遺族に直接、お話をしているというわけではないというふうに聞いています」と、詳細は明かさなかった。
記者団から「知事の名前で、何らかのメッセージを送られたのか」と問われた斎藤氏は「そこの詳細はお相手もあることですから、差し控えた方がいいかなとは思います。県として、漏洩したということについてはご遺族の代理人に対して、お話をさせていただいているというふうには聞いています。(時期は)今回の、漏洩問題についての第三者委員会などの後にだとは思います」とした。
一方で、元県民局長への懲戒処分については「それはこれまで申し上げさせていただいた通りです。変わりありません」として、見直す考えがないとした。
斎藤氏は「やはり、県保有情報が漏洩したということで、本来県として管理すべきものが外部に漏洩してしまったという点について、元県民局長そしてご遺族の方に、管理をできていなかったという意味を含めまして、代理人を通じて、遺族に対して、県としての思いを伝えさせていただいたということです」と真意を語った。
「私としては直接(謝罪を)させていただくという思いはありましたけども、県とご遺族の代理人が話をさせていただく中で、現時点では私が直接、接させていただくことになっていない。会見の場でも謝意はお伝えしましたし、代理人を通じて謝意についてもお伝えさせていただいていると確認しています。(直接謝罪は)思いとしてはあります。ご遺族の意向を踏まえて対応していくことが大事」と話した。
(よろず~ニュース・杉田 康人)
〈浜松ガールズバー2人刺殺〉「クソガキがなめやがって…」“刺青男”は鉄パイプで元同僚を殴って足を折り、通報しようとしたらナイフで恐喝…最近は借金、失職、ぼっちに
〈〈浜松ガールズバー2人刺殺〉元黒ギャングを名乗り「少年のとき事件おこしたんだけどよ~」とワル自慢をしていた“山ちゃん”投資詐欺にあいキレて「殺してやる」と包丁を研ぎだして… 〉から続く
静岡県浜松市のガールズバーで店長と従業員の2人を刺殺した容疑で無職の山下市郎容疑者(41)が現行犯逮捕された事件。「彼は弱い人間には“とことんやる”」。知人が語ったその言葉通り、山下容疑者は14年前にも後輩に対し、凄惨な暴力事件を起こしていたという。
〈画像〉腕に入ったイカツイ刺青をみせながらハイボールを飲む自称・“元黒ギャング”の山下容疑者
「僕の足めがけて鉄パイプをフルスイングしてきたんです」
静岡県浜松市のガールズバーで店長の竹内朋香さん(27)と同店従業員の伊藤凜さん(26)が「ククリナイフ」と呼ばれる特殊な刃物を持った男に刺殺された事件。現行犯逮捕されたのは、無職の山下市郎容疑者(41)。
#5では、山下容疑者が10代の頃“黒ギャング”に所属し強盗事件を起こしていたという証言や、20代の頃に投資詐欺に遭ったことに怒り狂い「殺してやる」と包丁を研いでいたといった証言を紹介した。
そんな山下容疑者について、
「本当に上の立場の人間には弱く、下には強いという人でした。カッとなると止まらないので亡くなった女の子たちは本当にかわいそうですが、あいつならやりかねないと思いました。自分が下だと思っている人からバカにされると異常なほど怒り狂うので、女の子たちに馬鹿にされたと思えばやりかねないなと……」
と語ったのは、容疑者が20代半ばの頃に塗装会社でともに働いていたという後輩の男性だ。
「山下が27歳とかそのくらいの年齢で、僕がまだ10代の頃の話になります。その頃、袋井市内の塗装会社に勤めていて、僕の先輩が山下でした。山下は“黒ギャング”に所属してその時代に一度パクられたこともあるワル。でも、地元で有名な不良っていうのとはちょっと違くて……。
同じワルからも、『あいつは狂ってるから』と、サイコパス扱いされているタイプで、孤立している感じでした。僕とか下に見ている人間には、自分のつけているアクセサリーを見せて『これたけーやつだぞ。すげえだろ』と自慢したり、執拗に電話で飲みに誘ったりしてくるのですが、電話に出ないととんでもない剣幕で『俺の電話に出ねえとかなめてんのか。この野郎』と怒鳴り散らす感じです」
さらにこの後輩の男性は、「実は、僕自身も山下容疑者に暴行を加えられています」と打ち明ける。
「ある朝、僕が寝坊してしまい慌てて職場に行くと山下が突然、僕の足めがけて鉄パイプをフルスイングしてきたんです。痛くて立っていられず病院に行くと、足が折れていることがわかり、2カ月間の松葉杖生活を余儀なくされました。
しかし、山下は謝りもしない。それどころか、会社からは騒ぎにしないでほしいと言われましたよ。山下は前社長の息子に拾われたとかで、そういった理由で守られたのかもしれませんが……」
「あんまなめてるとマジで…」ナイフを突きつけられ恐喝
納得のいかない男性は山下容疑者に対し、「警察に全部話す」とほのめかしたのだという。
「すると、山下は『クソガキがなめやがって。近くのコンビニにいるから来い』と。こちらも引くつもりはないので、指定されたコンビニまで行きましたが、山下に近寄ったところで彼がナイフを持っていることに気づきました。それもよくある小型のナイフとかではなく、刀剣というか若干湾曲した刃の長い特殊なナイフでした。
山下は『あんまなめてるとマジで殺すぞ』と僕にナイフを向けてきて……。さすがに恐ろしくて、『警察に言うのはやめる』と言うと、逆にお金を請求されました。給料が入るたびに月々10万円をとられるようになったんです。
『お前、俺と一緒に来い』とやたらと連れ回されるようになり、2回に1回くらいの割合で、持ってきたナイフを向けられたりもしました。さすがに耐えられず、山下より立場が上の人に間に入ってもらったら、それっきり僕には近寄ってこなくなりました」
逮捕時は無職だった山下容疑者。だがその職歴をたどると、塗装業、運送業、そしてまた塗装業などを転々する生活だったようだ。社会人になってから山下容疑者と知り合ったという知人は、彼の意外な一面を語る。
「知り合った頃の山下容疑者は、いわゆる強面の元反社とかそんな感じは一切なく、どちらかと言うとゲームが趣味で、内向的な性格に見えました。ゲームはドラゴンクエストが好きでしたよ。
見た目はあんな感じで強面ですが、言い方は悪いですが社会人デビューなのかなって思ったくらいですから。ただ、メンヘラ気質というか、承認欲求が強かったように思います。『会社にとって俺は必要ねえのかな』とかたまに言っていましたから」
この知人が山下容疑者と交流があったのは、1年前くらいまで。当時、山下容疑者は建設業で働いていたという。
「仕事自体は真面目にやっていましたし、本人も仕事のことや将来のことを考えている部分もあって、建設に関する国家資格をとったりもしていました。資格に関しては、詳細は伏せますが、何の勉強もせずにとれる資格ではありませんでしたから、努力はしていたと思います。
建設業の前は運送会社で働いていたのですが、そこは飲酒運転で捕まって退職していて、ちょうど1年前くらいは免許についても取り直しをしていましたね。お酒に関しては報道に出ている感じで飲み歩いていました。ファッションは好きで、洋服を買ったり、ナイキのエアフォ―スワンを収集したりしていた」
寂しい思いやお金のこと、仕事のことがチリのように積もっていって…
その一方で、山下容疑者は厳しい金銭事情を抱えていたようだ。
「山下容疑者はこの建設会社をクビになっているのですが、彼が辞めてから何社からも消費者金融から会社に電話がかかってきたそうです。彼と同じ職場で働いていた知人によると、今年になってからようやく、そういう電話がなくなったとか。山下容疑者が借金を払ったのか、新しいところで働きだしたのか、その後どうなったのかは知りません。
本人は『仕事を続けたい』と言っていましたが、ちょうどこの頃から私も疎遠になっていったので、結局その先、山下容疑者がどうしたのか、わからないんですよ」
結婚歴があり、子どももいたという山下容疑者。この知人は仲間でバーベキューをした時に、別の家族の子どもが山下容疑者になついていた姿が忘れられないという。
「本当によく遊ばせてやっていて、面倒見がいいって感じなんですよ。子ども好きだったんだと思います。確かにメンヘラ気質なところがあり、執着心は強かったかもしれないけれど、人を殺すとか、そんな風には思えない。
なんとなくではあるのですが、寂しい思いや、お金のこと、仕事のことがチリのように積もっていって、犯行に及んでしまったのかなって。私はそんな風に思います」(知人)
山下容疑者が今回の犯行に及んだ動機については、被害者2人のスマートフォンでのやり取りの内容に怒りを覚えたからとも伝えられている。
思い通りにならない生活の中、プライドを傷つけられたという理由で女性に暴力の矛先を向けたのだとしたら、あまりにも身勝手だ。何が彼を凶行に駆り立てたのか――。事件の真相解明が待たれる。
※「集英社オンライン」では、今回の事件についての情報を募集しています。下記のメールアドレスかXまで情報をお寄せください。 メールアドレス: [email protected] X(旧Twitter) @shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
「どうぞ!あなた嘘つきですね」法廷に響いた和久井被告(52)の“ブチギレ罵声”…「同じ目にあわせたい」メッタ刺しにされた25歳被害女性の“元夫”の言葉に示した「まさかの反応」【新宿タワマン殺人・公判】
東京・新宿のタワーマンションの敷地内で2024年5月、当時25歳だった元ガールズバー経営者の女性・Aさんが刃物で刺され、殺害された事件。殺人などの罪に問われ起訴されていた川崎市在住・配送業の和久井学被告(52)の裁判員裁判の第2回公判が、7月7日に東京地裁で開かれた。
初公判では、証拠映像を見た裁判員も思わず眉をしかめる、被告人の衝撃的な犯行内容などが明らかになった。一方で、被告人がAさんに1600万円もの現金を渡した経緯など、被告人サイドから語られた情状も目を引くものであった。
第2回公判では、検察官による立証が行われた。法廷に立ったのはAさんと被告人との関係を知るAさんの元夫・Bさんだった。Bさんの話からは、Aさんと被告人との歪(いびつ)な人間関係が浮かび上がった裁判を傍聴したライターの普通氏がレポートする。【全3回の第1回】
被告人の視線の先には、Aさんの元夫・Bさんの姿
Aさんには離婚した元夫・Bさんがいた。今回、このBさんが検察側の証人として尋問を受け、Aさんと被告人の関係性などを語った。
プライバシーを配慮して、証言台と傍聴人との間についたてが設けられる。こういった場合の多くが、証人と被告人との間にもついたてが設けられるが、今回はそのような措置はとられなかった。
AさんとBさんは、同じキャバクラ店で働くキャストとボーイとして2019年ごろ知り合い、2022年に結婚した。その交際期間である2021年にAさんはガールズバーをオープンし、Bさんは店のスタッフとして働いていた。
和久井被告はオープン当初から週に1度ほどのペースで店に訪れていた。Aさんは被告人に対し、Bさんと交際中であることも伝えていたが、店での様子に特に気になる点はなかったという。
同年、AさんとBさんは一時的な喧嘩により、別居状態になるが、のちに復縁する。その時にBさんはAさんから、和久井被告が「手を繋ぎたい」「一緒にいたい」などと恋愛感情を表に出すようになってきたことを告げられたという。
シャンパンタワー1600万円の行方
同年の年末にAさんはキャバクラ店をオープンさせ、その運営にBさんも裏方として関わっていた。同店への被告人の訪問は、週に数回ほどと以前よりも多くなっていた。
そのころから、被告人は店内で大声を出す、暴れる、ビンを割るなどの行動を起こすようになった。警察からは被害届を出すことを勧められたが、表沙汰にすることで被告人を刺激してしまうことを恐れ、届けは出さなかった。同じく、AさんはBさんと復縁したことも、和久井被告に伏せ続けていた。